表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/9

◆◆◆

 ボクは普通の高校に通う、これといって何もとりえの無い普通の学生だった。成績は良くも悪くもなく平均の辺りを保って彷徨っている。自分のことで唯一思いつく特徴といったら、周りより少しだけ背が小さい。ただ、それだけ。学校で問題を起こしたこともなかったし、先生に呼び出されたりすることもなかった。ただ来年からはそうも言っていられないだろう。受験して大学に進学するか、就職するか。決めなくてはいけないのだから。ボクが将来のことを決められないように、他の人も同じように悩んでいる、そう思っていたかった。かといって、そのことを友人に相談しようとは思わなかった。所詮、幾ら相談したところで、人は自分のことで手一杯で他人のことまで考えられないのだから。そんなことするのはよっぽどのお人好しか、世間知らずだけでいい。そうやってボクは意味もなく日々を過ごしていた。

 気がつけば夏は終わり、緑葉は落葉となって枯れて散る、そんな季節になろうとしていた。友達と遊んで、勉強をして、それでも生まれる暇を持て余す、そんな単調な日々。それがいつまでも続くと思っていた。

 ボクはいつものように一人、学校の帰り道を歩いていた。すると、突然、目の前の視界を奪われた。気配を感じなかったのはおかしいと思った。が、それでもこんなことしてくるのは誰か友達の悪ふざけだと思って、おどけてもがいた。

「やめろよ~、誰? 誰なの? 池? それとも拓馬?」

 思いつくだけの友達の名前を挙げてみる。ごつい手の感じからして、男なのは間違いがなかった。けれど、幾ら呼び掛けてみても返答はなかった。

「ねえってば~」

「黙れ」

 野太い声で一気に現実に引き戻される。知ってる友達の声じゃない。けれど、それじゃ一体誰なんだろう……? 視界を塞いでいた手が口の方まで伸びてきた所で、本格的に危機感を覚えた。おどけているのではない、本気で逃げようとしてもがく。けれど、男の力にあらがうには小柄なボクの力ではどうもできなかった。だんだんに薄れゆく意識、たった今のこの瞬間は現実感をまったく持っていなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ