エピローグ 雨上がりの空と虹
事件が解決した次の日の天気は晴天。
梅雨を飛び越え、一気に夏が来たような陽気だ。
通学路には昨日の雨の足跡が残っており、青一色の空模様を鏡のように映し出している。
「いぬくん、見てよ、雲一つない青空! 気持ちいいねぇ」
背伸びをしながら隣のぬいぐるみに語りかける少女。
その表情もまるで天気を表すかの様に陰りひとつない笑顔である。
「ふぁぁぁ……こんないい天気だとお昼寝したくなっちゃうなぁ」
「もうっ、もったいないよ。晴れの日ぐらいしっかりと授業受けないと」
「フェルトだっていつも寝てるでしょ」
「そ、そうだけど……今日は寝ないもん!」
たまにある水たまりを避けながらゆっくりと彼女たちはいつもの場所を目指し歩く。
目的を同じとした生徒たちが足早に横を通り過ぎる。
それでも彼女は速度を変えずにマイペースで進んでいく。
これはいつものこと。
パートナーに歩幅を合わせるからこうなるのだ。
「フェルト。時間は大丈夫? 遅刻しない?」
その言葉に時計を見る。HRまであと十分ちょい。
確かにこのペースでは間に合いそうにはない。
「んー、まあ、今日ぐらいいいんじゃないかな?
こんなにいいお天気だし。先生も寝坊してくるんじゃないかな?」
「それはないと思うんだけど。みんながフェルトみたいじゃないんだし」
「もう、それってどういう意味よ! あっ!」
剣幕で視点を変えた少女の目の端に映ったもの。
それは彼女の動きを完全に止める。
「見て見て! 虹だよ、虹! うわぁ、すごいなぁ!」
「えっ? どれー?」
「ほらほら、あっちの空っ!」
先ほどの怒りなどどこに行ったのやら、
彼女はパートナーと共にその場に立ち止まって空を見上げていた。
「ねえ、いぬくん」
「ん? なに?」
「これからも、ずっーと、いっしょにいようね」
「ふぇ? 何言ってるのフェルト?」
彼はそれが当たり前と言わんばかりに、惚けた態度を取る。
そんな態度を見て、少女も笑うのであった。
「遅刻ですわー!」
その時、目の前を少女が横切る。いつもながら慌ただしい様子である。
その後ろを駆ける白クマの様子もいつも通りだ。
「あっ、フリル。それじゃあ私たちも行くよ!」
「ふぇ? 遅刻してもいいんじゃ?」
「前言撤回。フリルに負けちゃいけないの! ほらっ、走るよ」
「うわっ、フェルト。待ってよー!」
彼女は駆け出した。水溜まりを避けて。
ということでこのお話はおしまいです。
稚拙な文&誤字脱字が目立つとは思いますが、読んでくれた読者の方に感謝感激です。
「まじっくじゃすてぃす」より気合を入れて書いたつもりが、こっちのほうが人気がでないと個人的には残念な結果に終わってしまい複雑な心境ですが…………
書くのが楽しかったし、まあいいか(笑)
こんな文章で新人賞に出そうと考えていたのは秘密ですよ(汗)
時間があれば、続編を考えたいのですが、何せ、就職活動中なのでいつになるやら…………
まあ、その辺は状況を見ながらボチボチと決めていきたいと思います。
以上 千ノ葉からのあとがきでした