2-10 もふもふクッションをてにいれた!
プリンを食べ終わってお皿を洗っていると、白玉の方から「くぁ」と大きなあくびが聞こえてきた。
振り返るとウトウトしているのが見えたので、こっちまで眠くなる。
「天気も良いですし、縁側でのんびりしますか?」
尚君が和室の向こう側の廊下の窓ガラスを開けると、穏やかな風がそよそよと吹いている。
陽気な風に誘われたのか、白玉がのそのそと縁側に近づいてゴロンと寝そべった。
「くぁぁ……」
「ふぁぁ……ハッ!?」
しまった! 白玉のあくびが移った!
白玉のそばに立った尚君が手招きするので、私も食器の片づけを終わらせて、縁側にいる白玉の隣に座って足を伸ばしてみた。
私の隣に座った尚君と一緒に庭先で揺れるすずらんを眺めていると、穏やかな時間を実感する。
「おやつ食べた後ものんびりできるなんて、思わなかったなあ」
「本来は休日なんですから、これくらいのんびりしているのが良いんですよ」
「……そうかもね」
あのまま会社に行っていたら、今頃心が擦り切れていたかもしれないから。
「……プリンの食べ比べするぞ……むにゃ……」
「白玉ってば、寝言まで食いしん坊すぎる」
「たくさん食べてくれるので、用意し甲斐がありますね」
「作る量が多いから大変じゃない?」
「そうでもないですよ。それに、美味しいと言って笑ってくれるところが詩乃ちゃんにそっくりで、なんだか面白いなって思います」
「飼い主ならぬ契約主と似ている件」
私は「ふわぁ」ともう一回あくびする。
せっかくなので、白玉のもふもふも堪能する。
毛をわしわししても起きないのは、気を許してくれてるのか、それとも夢の中でプリンを食べ比べているのか……。
どっちにしろ、フェンリルとしての威厳はない気がする。
まあこの世界じゃいらないものだけどね、威厳。
「寝過ごしたわりには、こうしてると眠くなるー」
「色々あって疲れたんだと思いますよ。ふぁ……」
「ふふっ。尚君にまであくびが移ってる」
「夕飯の準備するまで休みましょうか」
「そうだね、ふたりで作ればすぐ終わるからね」
もふもふに抱き着いて目を閉じる。こんなに幸せで良いのかなあ……なんて思ってしまう。
きっとそう思ってしまうのは、異世界に行く前も行ってからも、頑張ることが癖になっていたからかもしれない。
穏やかな空気に包まれて、私たちは気づいたら寝てしまっていたらしい。
起きたら、尚君が幸せそうな顔をして私にもたれかかっていた。
彼がこんな風に穏やかに寝ているところを見るの、久しぶりだなあ。
ちなみに、微笑ましく見守っているうちに、私の顔がニヤニヤしていたらしい。
いつの間にか起きていた白玉が、「はやく結婚しろ」と言わんばかりの生暖かい目で私たちを見ていた……。




