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ワンコはいつも寝てばかり  作者: レゲーパンチ
9/21

8. 7~8才のはなし ③

【『ふゆ童話祭どうわまつり2024』ようつくった連載文章れんさいぶんしょうです】

【この物語ものがたりはフィクションです】

登場とうじょうする人物じんぶつ団体だんたい名称めいしょう架空かくうであり、実在じつざいのものとは関係かんけいありません】

【メスのワンコ視点してんでの物語ものがたりです】

 日本にほんのどこかの、とあるまちにて。

 これはいまから、9~10ねんほどまえはなし。そしてここは・・・ぐぅ。



「よいしょっと。つきあわせて、ごめんね?」

 ・・・、んー・・・。

 わたしねむたくてじているけど、においでかる。ああ、ここはわたしいえの、玄関先げんかんさき犬小屋いぬごやだ。そしてこの感触かんしょくは・・・まあ、いまさらおまえにからださわられるのはにしないよ。あたまでたいのならきにすればいい、ぐぅ。

「・・・そろそろ、かな」

 ・・・あー、昼過ひるすぎから、だれかがるってってたっけ。

 なるほど。だからせっかく市内しないって、父親ちちおやいにったのに、はやめにウチにかえったのか。あのおとこがウチに・・・。

 って、て。おもわずけて、からだこす。

「えっ。どうしたの?」

 いいのか?おまえをれてドライブするだとかってたぞ?

「うん、しってる。だから、たたかうの」

 ああ、そう。それなら・・・ってて。

 たたかう、って。いったい、なにって――。

「このいえに、はいっていいおとこは。2人(ふたり)だけ」

 ・・・なに、その、かおこわい。とても、こわい。

 てられない。犬小屋いぬごやおくはいって、まるめる。

「――ヤって、やる」

 し、らない。こんなお子様こさまなんてらない。

 だからじて、おやすみなさい!・・・ううぅ、だけどこんなのれるわけねぇだろ、それにコイツがなにをするかはらないけど、しょせんはしょう2のおんななんだから、そんなヘンなことになったりは・・・。


 ――というのが、昨日きのうはなし

「よしよし。いい、いい

 ここは、いえ裏側うらがわ玄関げんかんとは反対はんたいにあるところ。普段ふだんなら、わたしだけでなくこのいえ人間にんげんでも、こんなところに理由りゆうなんてい。

 そんなところで。わたしは、アサミのむねかれている。

 だれにもられないであろう場所ばしょで。私達わたしたちは、こうしている。

「よしよし。もう、なかないで?」

 普段ふだんわたしなら。こんなお子様こさまなんかにかれるなんていやだ、とか。やめろあたまでるなウザい、とでもえるのだが。いまはとても、そんなことはえない。

 だから、こうしている。アサミの両腕りょううでからだささえてもらいながら、このちいさなむねなかに、うずをうずめて、いている。

「・・・もう、なかないで?」

 無理むりくのが、まらない。

 馬鹿ばかだろ、おまえ。自分じぶんなにをしたのか、わかってるのか?

「うん。だから、ああしたの」

 ・・・この、大馬鹿者おおばかものが。

 わたしいぬだけど。そういうはなしは、何度なんどいているから。おまえの母親ははおやも、毎日まいにちのようにっているから、っているんだ。

 くるまが、どれだけあぶないのか、だなんて。散歩さんぽしているときも、とおりすがりのオバサマに、くるま注意ちゅういしなさいよ、って。何度なんどわれたかもおぼえていないよ。

 ・・・なんで。自分じぶんから、くるまに、んだんだ?

 一歩いっぽ間違まちがえたらんでいただろうが!やっていいこととわるいことのちがいもからないのかよ!?なんで、あんな、無茶むちゃなことを――。


「だいじょうぶ。ちょっとだけ、タンコブができただけだから」

 アサミのあたまには、なにかがかれている。そこからは、のにおいがする。

もうわけありませんでした!ウチの旦那だんなが・・・ああ、なんとおびをすればいいか。どうかおさんにも、おびをさせてください」

「い、いえ、そこまであやまられても。おたがいの不注意ふちゅうい、ってことで――」

 いえなかがうるさい。大人達おとなたちはなしをしている。はなしというよりは、見知みしらぬ女性じょせい何度なんど何度なんどあやまっている、というかんじだけど。

「ふふん、いいザマだったなぁ。あのおとこは、これでおわりだね。うっすらとしかおぼえてないけど、パトカーにのせられてたのだけは、おぼえているの」

 やめろ。そんなはなしきたくもない。

「あの時間じかんに、町内ちょうないパトロールをしてくれるのはわかってたからね。それでつい、おもいつきでヤってみたけど。うまくできたかな?」

 やめろ。わらいながら、そんなことをうな。

「だから、もうかないで。だいじょうぶ、わたしは平気へいきだから。あれくらいなら、なんともないの。ゴメンね、しんぱいかけちゃって」

 ・・・だれが、おまえなんかを、心配しんぱい――。

 するに、まっている。おまえはわたしの、『あるじ』だろうが。

「えっ。・・・いや、そんな、おおげさな」

 おおげさなんかではない。おまえは、わたしの『あるじ』だ。

 おまえはわたしの『あるじ』なんだから、これからもわたし世話せわをしてくれよ。あそんでくれよ。散歩さんぽもしてくれよ。いままでどおり、そしてこれからも、ずっと。『あるじ』なんだから、それくらいはやってくれよ。

 そのかわり、わたしにできることならなんでもする。なんでもうことをく。わたしにできることなら、なんだってやってやる。だからもう、こんなことはしないでくれ。

 ・・・もう、ひとりぼっちは、いや、だ。


「ゴメンね。だけど、これがわたしのたたかいなの」

 わたしなみだは、まることはない。

「わたしはまだ、どもだから。大人おとなとたたかうのなら、こうするしかない。なんだってヤってやる。いのちをかけて、ぬまでたたかうの」

 だから、やめてくれよ。そんなことを、うのは。

「こわくはない」

 ・・・かおを、げる。

んでもいい」

 『あるじ』のかおを、る。

「たとえ、わたしがんだとしても。このことがきっかけとなって、おとうさんとおかあさんのがさめて、うわきやふりんをやめるようになったら」

 また、このかおだ。とてもおそろしい、をしている。

「おにいちゃんは、しあわせになる。おにいちゃんと、おとうさんと、おかあさんが、いっしょになる、はず。だから、ああしたの」

 だけど。もう、『あるじ』からは。を、そむけない。

「ほんとうだったら、わたしもいっしょになりたい。もういちどだけ、4にんそろって・・・だけど、むり。よほどのきっかけじゃないと、2人(ふたり)はさめない。おにいちゃんがどれだけいてたのんでも、だめだったから」

 ・・・このほうっておいたら。なにをするかが、わからない。

「だからわたしが、おにいちゃんのねがいをかなえてあげるの。おにいちゃんのためならんでもいい。このいのち、いくらでもささげてあげるの」

 だから。ずっと『あるじ』を、見続みつづける。


 ・・・たたかいは、つづけるなのか?

「うん。おとうさんのおんなも、やっつけないとね」

 ・・・だったら。わたしも、おう。

「ダメ。おまえは、ちっちゃいから」

 やめろ。それ、けっこうにしているんだぞ?われながら不思議ふしぎおもうよ。散歩さんぽをしているときに、よそのワンコをるたびに。どうしてわたしは、ほかいぬくらべて、やたら胴長どうながで、あしみじかいのかな、って。

「それはね、エモノをおいかけるため。エモノがかくれている巣穴すあなに、せまくてちいさなところにはいりこむために、からだあしちいさくなったの。ダックスフンドは、もともとはそういうもくてきでつくられたの」

 いやいやて。つくられた、って。

おおくのワンコは、人間にんげんによって、そうやってつくられているのよ。あるいぬは、をかわいくするために。あるいぬは、ちょっとやそっとのダメージではなないぐらいに、がんじょうに。――くわしく、きたい?」

 ううむ、きたいような、きたくないような・・・。

 だが、それならば。わたしは、たたかうためにまれた、ともえるのでは?

「うーん。だけどそれは、むかしのはなしで」

 私達わたしたちは、一心同体いっしんどうたい。だろ?



 もう一度いちどだけ、う。ひとりぼっちは、いやだ。

 だから。もしこんなことをするときには。わたしも、一緒いっしょだ。

「・・・そうだった、ね。わたしたちは、一心同体いっしんどうたい、だったね」

 そうだろ?それにこれは、『あるじ』がしたことだろ?

「ゴメン、こんどからはいっしょにヤろうね。いっしょに、たたかおうね?」

 ああ。だから、一緒いっしょにやろう。

 たのしいこと、だけじゃなくて。つらいことも、かなしいことも。

 ・・・これからも、私達わたしたちは、ずっと、一緒いっしょだから、な。

これ本当に童話扱いでいいの・・・?

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