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ワンコはいつも寝てばかり  作者: レゲーパンチ
7/21

6. 7~8才のはなし ①

【『ふゆ童話祭どうわまつり2024』ようつくった連載文章れんさいぶんしょうです】

【この物語ものがたりはフィクションです】

登場とうじょうする人物じんぶつ団体だんたい名称めいしょう架空かくうであり、実在じつざいのものとは関係かんけいありません】

【メスのワンコ視点してんでの物語ものがたりです】

 日本にほんのどこかの、とあるまちにて。

 これはいまから、9~10ねんほどまえはなし。そしてここは、わたしいえ



 ふあぁあぁ。ねむい。まだ昼前ひるまえだけど。

「・・・アンタはなになやみがくて、いいわねぇ」

 いえ玄関先げんかんさきで。犬小屋いぬごやなかっころがるわたしと、わたしをじっとている女性じょせい犬小屋いぬごやまえでしゃがんでいるこのひとを、わたし母親ははおやんでいる。

「あぁあ、かんがえるのも馬鹿ばからしいわ。わたしだって、きにやっていいでしょ?」

 クゥン、とだけいておく。

「やっぱり、わたしにはしんじられないわ。あのひともイサムも、おかしいのよ。あんなうそみたいなはなししんじるなんて。いくらアンタとアサミがなかがいいからって、いぬしゃべれるだなんてありえない。まあでも、アサミはへんだから――って」

 グルルルル。からだこして、母親ははおやにらみつける。

「やっぱりアンタ、わたしっていることは理解りかいできているのよね?ちょっとアサミのことをわるっただけで、コレだもの。・・・わたしが、間違まちがっていたの?わたしだけがわるいの?だけど、わたしだって、やりたいようにやって、いいでしょ?あのひとおなじことをやって、なにわるいのよ。それにあのひとは、何年なんねんまえから」

 らんそんなの。いぬわたしに、人間にんげん生活せいかつだなんてかるわけががない。そういうことは近所きんじょのオバサマにでも相談そうだんしやがれ。

「ワンワンえられたところで、なにからないわよ。やっぱりいぬ言葉ことばなんてかるわけがないわ。アサミじゃあるまいし。・・・じゃあね、ってくる。またかえりはおそくなるかもしれないから、ちゃんとアサミと留守番るすばんしてなさいよ?」

 ふん、われるまでもない。


「やあ、おまたせ。それじゃあ、こっか?」

 ・・・グルルルル。いきなりやってたこのおとこにもえていいよな?コイツはここ最近さいきんウチにやってくるへんなヤツだ。父親ちちおやとはちがおとこだ。

「ちょっと、やめなさいよ。むやみにえるな、ってアサミにわれてるんでしょ?アサミのうことがけないの?」

 ふん、あんなお子様こさまうことなんて・・・ハイハイ、だまってればいいんだろ?だけど、それは母親ははおやとしてアリなの?あたまたからふてしてやる。

「ねぇねぇ、今度こんど休日きゅうじつはアサミも一緒いっしょにドライブしない?」

 母親ははおやは、おとことイチャイチャしてやがる。まだ昼前ひるまえだぞオイ。

「え。だ、だけどおれにもむすめがいるから、そこまでヤるのは・・・」

大丈夫だいじょうぶよ。アサミはまだ子供こどもだから、わたしがいくらでもいくるめて・・・ハァ。あのなやみがさそうで、毎日まいにちたのしそうでうらやましいわぁ」

 ・・・もうなにになれない。勝手かってにしやがれ。

 しばらくして、くるまのエンジンおんがした。わたしがいる玄関先げんかんさきからはよくえないけれど、おとでわかるんだ。父親ちちおやくるまか、母親ははおやくるまか、それ以外いがいくるまか、ぐらいはけられるよ。

 そしてこのおとは、それ以外いがいくるま。・・・ふん、どうぞごゆっくり。


 ・・・ヒマだ。母親ははおやってから、どれだけったか。

 だけど、そろそろかな?うん、やっぱりだ。

「ただいま。まっててね、すぐにきがえるね?」

 ランドセルを背負せおったおんなかえってきた。わたしはしっぽをフリフリさせ・・・みとめる。やっぱり散歩さんぽちきれない。だってわたしいぬなんだから。

「おまたせ。それじゃあ、いこっか?」

 おう。首輪くびわにリードをけられて、私達わたしたちあるす。

 あるはやさは、気分きぶんしだい。私達わたしたちなにわなくとも、今日きょうはこれくらいのはやさであるこうだとか、今日きょうはちょっととおくまでってみようか、とか。いちいちはなさなくても、かりえ・・・まあ、これもみとめるしかないか。

 わたし世話せわをしてくれるものが、コイツのにいちゃんから、コイツにわってから。わたしはそれなりに、たのしい毎日まいにちおくることができている。だから今日きょうもこうして、

「おいアサミ。今日きょうこそはオレといっしょに」

「うるせぇせろ。わたしはいま、いそがしいの」

 なんかへんなのがいたけど、今日きょうはそういう気分きぶんじゃないのでほうっておく。いや、このボーイとはいまでは友達ともだちってもいい関係かんけいにはなったけど・・・その、

「おいまてよ。なぁアサミ、すこしははなしを」

「――おまえに、わたしの、なにが、かるの?」

 すまんなボーイ。いまのアサミは、そういう気分きぶんなんだ。


 ボーイはほうっておいて。まだ散歩さんぽつづける。

 わたしまえいているから、アサミの表情ひょうじょうはよくえない。

 ――と、うよりは。最近さいきんのアサミは、その、

「あっ・・・アサミ、ちゃん」

「こんにちは、おばさま」

 オバサマが3めい。それぞれにはリードをって、いぬ散歩さんぽさせている。いまはそういう時間帯じかんたいだから、いぬ散歩さんぽをしているのは私達わたしたちだけじゃないよな。どちらかとえばこれは散歩さんぽではなくて、オバサマたちはない、だけど。

 ・・・アサミは、そういう気分きぶんか。なら、まろう。

「・・・ふふっ」

 そうか。よそのおたくのワンコをるのが、そんなにきか。ワンコたちも、アサミにってやがる。まあべつにきにすれば?わたしにはどうでもいいよ。

「やっぱりアサミちゃんは不思議ふしぎねぇ。いぬのことにかんしては大人おとなよりもくわしいし、らずのワンちゃんともすぐに仲良なかよくなれるし」

「このまえアサミちゃんがおしえてくれたしつけをやってみたら、ウチのえるのがすくなくなったのよ。アサミちゃん、将来しょうらいいぬのプロになれるんじゃないの?」

「そう?だけどわたしは、ふつうにしているだけだよ?」

 ・・・アレはだれのセリフだったかなぁ。

 おまえのような小学しょうがく年生ねんせいがいてたまるか。もはやこれは犬好いぬずきってレベルじゃねぇ。これぞまさに、ハンドラー。・・・ハンドラーって、なに


「――アサミちゃん。最近さいきん、どう?」

 くちひらいたのは、オバサマの1人(ひとり)だ。

「イサムくんと、おとうさんが、ってから・・・その・・・」

「えっ?べつに?おにいちゃんは、とおくの中学ちゅうがくにいくために。おとうさんは、おしごとのために、ていっただけでしょ?どう、ってわれても・・・」

 オバサマどもは、おそおそる、といった表情ひょうじょうだ。

「えっ・・・い、いや、アレは、不倫ふりんで」

馬鹿ばかっ!そんなことうんじゃないわよ!」

 オバサマどもあわててやがる。だけどアサミは、たのしそうだ。

「ふりん?ごめんなさい、わたしにはよくわかんない、けど・・・」

 アサミがわたしを、チラっとてくる。ハイハイ、こうすればいいんだろ?ガウガウガウガウガウガウガウガウガウガウウウウンンン!

「きゃっ!?ちょっと、いきなりどうしたの!?」

 ふはははは、きゅうにうるさくえてやったもんだから、オバサマどももビックリしてやがるぜ。ついでだからジタバタしてやる!

「ご、ごめんなさい。このがちょっとヘンだから・・・よしよし、はやくウチにかえろうね?じゃあね、みなさん。さようなら」

 アサミにきかかえられて、そのあとにする私達わたしたち

 ・・・ふう。こういうのを、演技えんぎだとか、芝居しばいだとかと、いうのだろうか?わたしへんになったからいそいでいえかえる、という内容ないようのつもりだが。うまくできたかな?



「――われなくても。わかってるよ、そんなこと」

 ・・・やはり、このときのアサミのかおは、ていられない。

「おとうさんも、おかあさんも。2人(ふたり)とも、おかしいよ」

 このかおは、だれにもせることはない。

 わたしと、あのボーイしからない。演技えんぎをしていないときの、アサミだ。

「やる。ヤってやる。わたしが、ヤる。わたしが、おにいちゃんを――」

 ・・・わたしには、なにえない。

 だってわたしは、いぬだから。人間にんげん生活せいかつに、とやかくうのは――。

書いている私ですら理解していないけど、これってどういうジャンルなの・・・?

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