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ワンコはいつも寝てばかり  作者: レゲーパンチ
6/21

5. 4~5才のはなし ③

【『ふゆ童話祭どうわまつり2024』ようつくった連載文章れんさいぶんしょうです】

【この物語ものがたりはフィクションです】

登場とうじょうする人物じんぶつ団体だんたい名称めいしょう架空かくうであり、実在じつざいのものとは関係かんけいありません】

【メスのワンコ視点してんでの物語ものがたりです】

 日本にほんのどこかの、とあるまちにて。

 これはいまから、12~13ねんほどまえはなし。そしてここは、近所きんじょ公園こうえん



 昼過ひるすぎに、いえて。すこあるいたところに、この公園こうえんはある。

 人間にんげんからしたら・・・わたしぬしや、その父親ちちおやうには、この公園こうえんはそれほどひろくはないそうだが。いぬわたしにとっては、とてもおおきくえるよ。

 そんなわたしのすぐそばには、幼稚園児ようちえんじおんなが。にはリードをっており、そのさきっぽはわたし首輪くびわけられている。やっぱり散歩さんぽはイイなぁ。

「ねぇねぇ。なにして、あそぶ?」

 うーん。あそこにある・・・遊具ゆうぐってったか?あれではわたしあそべないからなぁ。それに、おまえも遊具ゆうぐあそぶのは無理むりだろ?ちっちゃいから。

「ええぇ。わたしだって、100センチになったんだよ?」

 っている意味いみがわからない。とにかく、お子様こさまだけで遊具ゆうぐあそんだらダメだ。おまえのにいちゃんか、もしくは大人おとな見張みはっていないと。

「・・・いつも、ひとりだもん。おにいちゃん、がっこうがいそがしい、って。おとうさんも、おしごと。おかあさんはウチにいるけど、おこってばかりで」

 もういい。やめろ。そんなかおをするな。わかったわかった、わたしあそんでやるって。今日きょう気分きぶんがいいから、わたしにできることならなんでも――。

 ん?前方ぜんぽうに、これまたちっちゃいヤツがいるぞ?

「おーいアサミ、いっしょにあそぼ・・・なんだコレ?」

 それはこっちのセリフだ。だれだ?このボーイは。


 いまこの公園こうえんにいるのは、わたしと、お子様こさまが2めい。この2人(ふたり)からだおおきさはおなじくらい。ボーイはへんなものでもるかのようなをしている。

「どうしたの?そんなヘンなかおして」

「いや、その。このワンコ、なんなんだよ」

 ふむ。どうやらこの2人(ふたり)いのようだな。

「このこは・・・おにいちゃんがね、このこをわたしにくれるって。だからわたしが、おさんぽしてるの」

 いやて、おまえのいぬになったつもりはないぞ?

「ふーん。おまえだけで、だいじょうぶか?」

「しんぱいしないで。もうわたしもねんちゅうさんだもん。だからひとりでおさんぽぐらいできるもん。じゃあね、わたしはいそがしいの」

 ――そうだ。ちょっと、になることがあったんだ。

「・・・コイツ、うごかないぞ?」

「え?」

 わたしはそので、おすわりをする。

 あとは、なにもしない。なにわない。かおげて、お子様こさま・・・ではなく、アサミをじっとる。お子様こさま2人(ふたり)もいるとややこしいから、今回こんかいだけはこうんでやろう。さて、どうだ?

「――ふむふむ、なるほど。そういうことか」

「・・・どういうことだよオイ」

「どうせだから、みんなであそびたい、って。このこがいってるの」

「は?」

 ふむ。まあ、こんなところか。


 ボーイはわたしたり、アサミをたりと、ちつきがない。

「え?わかんないの?このこのいってることが」

「わかるわけがねーだろ。いぬのことばなんて、どうやってわかるんだよ。ていうかコイツ、ほえてすらねーだろ。ただにらみあっているだけで・・・」

 まあ、その。ボーイのいたいことも、わかるよ?普通ふつうはわかるわけがないにまっている。わたしだって不思議ふしぎおもうよ。このおんななんなんだよ、って。

「めをみれば、わかるの。このことは、いっしんどうたい、だから」

 おい、調子ちょうしにのるな・・・って。もしかして、こういうのもバレてたりするのか?いかんいかん、コイツのまえではヘタなかんがえはやめたほうがいいな。

「・・・いっしん?・・・どういういみ?」

「なにがあってもいっしょ、っていみよ。そんなこともしらないの?」

「うるせぇ。おないどしのくせに、おとなぶってんじゃねーよ」

 まったくだよ。いったいどこで、そんなへん言葉ことばおぼえたのやら。

「まあいいや、いっしょにあそぼーぜ。――そうだ、こんなのはどうだ!?」

 そううと。ボーイはアサミのふく・・・スカートってったかな?スカートをいきなりつかんで、りはじめた。

「きゃっ!?ば、バカッ!なにするのよ!?」

「ふっふっふ。これ、イサムにーちゃんにおしえてもらったんだ」

 ボーイは両手りょうてでスカートをつかんでいる。一方いっぽうのアサミは片手かたてでスカートをさえている。もう片手かたてはリードをっているから、両手りょうて使つかえないのだろう。

「い、いやだ、やめて、ううっ」

「ふふん。オレのかちだギャアアアアア!?いってぇぇぇ!」

 だからわたしが、アサミのになってやろう。調子ちょうしにのるな、クソガキが。


 ボーイはスカートからはなした。いま自分じぶんあしさえている。

「ご、ごめんね!?だいじょうぶ!?」

「う、うるせぇだまれ。ふざけんなよ」

 ふざけているのはおまえだろうが。アサミをかすとはいい度胸どきょうしてるじゃねえか。もう片方かたほうあしみついてやろうか?アアッ!?

「あーあ、オレのズボンがやぶれちゃった。なんだよコイツ、オレがなにをしたっていうんだよ。ちょっとアサミにイジワルしただけで、かみつくなんて」

「・・・ごめんなさい、わたしのせいで」

 おいアサミ。なんでおまえがあやまってるんだ?

「ダメだ。ゆるさない。おまえとはぜっこうだ。もうおまえとはあそばない。おまえなんか、もうどうでも――わ、わかったよ、オレがわるかったよ、だからもうなくなって。それにおまえも、グルルルルってこわいこえをだすなよ」

 ふん。今日きょうはいい気分きぶんだったのに、おまえのせいで台無だいなしだよ。

「ていうかコイツ、ちっちゃいのにきょうぼうだな・・・」

「そういえば、おにいちゃんにはよくかみついてたきがする。わたしにはやさしいのに、なんでだろうね?」

 ・・・い、いや。べつに、おまえにやさしくしているわけでは、その。

「しらねーよ。とにかく、コイツはちゃんとしつけておけよ。あそんでやるだけじゃなくて、わるいことをしたらちゃんとおこれよ?」

「ええぇ・・・でも、そんなことしたら、このこがかわいそう」

「うるせぇだまれ。コイツはおまえのワンコなんだろ?だったらちゃんとやれよ。そうしてくれたら、いつでもあそんでやるからさ」

 ふん。おまえみたいなボーイと仲良なかよくするつもりはない。なぁアサミ、こんなヤツなんてほうっておいて・・・わかったわかった。みんなで、あそぼうか?



 うーん・・・いまになっておもえば。むかしわたしって、ヤンチャがぎていたな。

 いまなら、素直すなおえる。わたしさびしかったんだ。

 最初さいしょぬしはダメダメで、そのおやいそがしくて。

 そして『あるじ』も、さびしかったから、

「お、おい、アサミ。尊厳死そんげんし、って。意味いみを、かってるのか?」

「そ、そうよ。なにを、馬鹿ばかなことをっているの?」

「うるせぇ。親父おやじとおふくろだまってろ。それに、もうわたしだって高校生こうこうせいなんだ。いつまでも子供こどもあつかいしてんじゃねぇよ」

 あぁあ。いつのまにか『あるじ』も、ヤンチャになってしまって。

 病院びょういん一室いっしつで。『あるじ』の、尊厳死そんげんしという言葉ことばいて。1人(ひとり)のぞいて、大人達おとなたちはザワザワしている。

わたしは、このの、ぬしだ。だから、わたしめる」

 わたしいま金属きんぞくつくられたちいさなはこはいっている。いまわたしあるくどころか、ロクにしっぽすらもうごかせないから。このはこはいったまま、病院びょういんひとわたしはこんでくれているんだ。

「おまえらに。おまえらなんかに、口出くちだしする、資格しかくは、い」

 大人おとなめいは、なにえないようだ。病院びょういん先生せんせい馬鹿ばか親共おやども相手あいてまかせてもいいかな?いまそいつらが下手へたなことをってしまったら、『あるじ』がまたヤンチャなことをしてしまうから。そいつらを見張みはっててほしいんだ。

 それと、もう1人(ひとり)の――いまは、研修医けんしゅういさん、とべばいいのかな?



「アサミちゃん。それで、いいの?」

 さすが、だな。あなただけは、わかってくれている。

 尊厳死そんげんしという言葉ことばいても。1人(ひとり)だけ、しずかにいてくれた。

 あなたに、ひさしぶりにえて。本当ほんとうに、よかったよ。

「・・・う、ううっ、うああああああああああああああああ!」

 ・・・こうやって、く『あるじ』も。ひさしぶりだ。

 だけど、それでも。『あるじ』は、わたし見続みつづけている。

 ――たのしいゆめは、しばらくはれそうにない、な。

スカートめくりは年齢制限に引っかかるかな・・・?

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