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ワンコはいつも寝てばかり  作者: レゲーパンチ
3/21

2. 2~3才のはなし ②

【『ふゆ童話祭どうわまつり2024』ようつくった連載文章れんさいぶんしょうです】

【この物語ものがたりはフィクションです】

登場とうじょうする人物じんぶつ団体だんたい名称めいしょう架空かくうであり、実在じつざいのものとは関係かんけいありません】

【メスのワンコ視点してんでの物語ものがたりです】

 日本にほんのどこかの、とあるまちにて。

 これはいまから、14~15ねんほどまえはなし。そしてここは、わたしいえ



「よい・・・しょ、っと」

 おい、無理むりしなくていいぞ。

「いいの。わたし、ひとりでも、できるもん」

 いや、おまえはまだ3さいだろ。だから、

「ようちえんで、おぼえたの。きれいにする、って」

 幼稚園ようちえん?・・・ああ、そういえば最近さいきんのおまえは、あさからどこかにかけるのがえたな。でっかいくるまって。なんなんだよあのくるまは。

「うん。あれは、バス、っていうの」

 ふーん。まあ、わたしにはどうでもいいけど。


 あさ。いつもとおなじ。

 なにも、わりはしない。ずっとそうだった。

 だけどここ最近さいきんは、朝早あさはやくからコイツが・・・3さいおんなが、色々(いろいろ)とやってくれている。わたしみずえてくれたり、にわ掃除そうじしたりと。

「ふぅ、おわり。うまく、できたかな?」

 ・・・。

「ん?ノーコメント、って、なに?」

 わたしなにわず、犬小屋いぬごやはいって、ける。

 コイツがやっていることは、しょせんは子供こどもようまねでやっているだけ。だからハッキリえば、ダメ。うまくはできていない。みずがキレイになっているだけマシだけど。

「ねぇねぇ、どうしたの?こっち、みて?」

 いやだね。どうやらコイツには、わたしっていることがかるようだ。だからグルルルと、こえしてやる。

「・・・どう、したの?」

 おいやめろ。みついてやる、とっているはずだ。

「ねえ、どうしたの?だいじょうぶだよ?わたしは、イタッ!?」

 だからっただろ?さすがに本気ほんきすつもりはない。わたしからださわろうとばしてきたから、ほんのちょっぴり、んでやった。

 ・・・あとはなにわない。ほら、こうしてやればお子様こさまいて――って。


「・・・う、ぐすっ」

 ・・・やめろ。そんなるな。

「う、ううっ、うう」

 じいっと。お子様こさまは、わたしている。まれたっこめて、くのをガマンして。それでもわたしている。はなれようともしない。

 ・・・コイツには、なにえない。だからわたしも、コイツをじっとる。いわゆる、にらみい、ってやつだなコレは。

「・・・なかよく、しよ?」

 ふん。らんそんなの。

「・・・そんなに、いや?」

 ノーコメント。なにわない。えない。

「おにいちゃんが、そんなに、ひいっ!?」

 やめろ。アイツなんてどうでもいい、とったはずだ!

「こらっ!いいかげんにしなさい、ってってるでしょ!」

 チッ、ついつい大声おおごえしてしまったじゃないか。あぁあ、また母親ははおやがおっかないかおをしてやがる。だけど父親ちちおやは・・・あれ?いない。そういえばここ数日すうじつてないな。また仕事しごととおくにったか?

「アンタもいいかげんにしなさい!このちかづいたらダメ、ってったでしょ!?ああもう、どうしてうことをいてくれないの!?」

 母親ははおやに、ふく首元くびもとつかまれて。

 お子様こさまきずられるように、いえはいっていった。

 ・・・だけど、最後さいごまで。わたしをずっと、たままだった。


 しばらくして。

「おう、おはよう・・・ってオイ!?」

 べつ人間にんげん・・・ランドセルだとかいうへんなものを背負せおったボーイがいえからてくる。だから、こうする。

「お、おいやめろ!あさっぱらからそんなにえるなって!」

 らんそんなの。ガルルルル。

「ううぅ、やっぱりおまえ相変あいかわらずだな・・・」

 たりまえだ。今日きょうという今日きょうはマジでゆるさん。

「ま、まあでも、最近さいきんはアサミと仲良なかよく、おおおぉい!?」

 それが、ダメだ、って。ってる、だろ?

 おまえはアイツのにいちゃんだろ?5さいうえの、おにいちゃんだろ?たしかいま小学しょうがく年生ねんせいだとかってたよなぁ?

 どうして、幼稚園ようちえんはいったばかりの3才児さいじが。あさっぱらから、1人(ひとり)で、いぬのウンチを片付かたづけて、おもたそうにみずえていると、おもってんだ?

 おまえだよなぁ?本当ほんとうなら、おまえがやるべきことだよなぁ?

 おまえはわたしぬしだよなぁ?ずっとそうだった。ここしばらくはいもうとが、色々(いろいろ)とやってくれているが。おまえは4~5にちに1かいしかやらなかったよなぁ?最後さいご散歩さんぽをしたのはいつだったかなぁ?それすらもおもせないよ。

 なんでかなぁ?なんで、あんなにちっちゃいが、できるかぎりのことをやってくれているのに。どうしておまえは、なにもしてくれないのかなぁ!?

「うわわわ!?やめろって!うるさいだろうが!」

 なんで!?わたしってること、間違まちがってる!?おまえだよなぁ!?おまえがやれよ!おまえはわたしの『あるじ』なんだから、もっとわたしのことを、

「じゃ、じゃあな!ってくる!」

 ・・・げるようにきやがった。ふん、はなしにもならん。

 まあでも、これが普通ふつうか。人間にんげんには、いぬはなしなんて――。


 ・・・うーん、ふあぁあぁ。

「ハァ。アンタは気楽きらくでいいわねぇ」

 ・・・母親ははおやこえがする。からだこす。

 ああ、わたしはいつのまにかてたのか。

「ふふん。ただいま」

 母親ははおやと、いもうと。なるほど、幼稚園ようちえんからかえってきたのか。いもうとはまだお子様こさまだから、いえかえってくるときには、いつも母親ははおや一緒いっしょだ。

「ねぇねぇ。おさんぽ、していい?」

 おい、あさっぱらにんでやったのをわすれたのか。こっちんな。

「ダメよ。こののお散歩さんぽは、おにいちゃんでもダメなのよ。うことをいてくれないから、勝手かってはししたり、えてばかりだって・・・」

 は?なにってんだ?

「えっ?・・・おにいちゃん、そんなこと、してたの?」

「えっ?アサミったら、なにを、ってるのよ」

 クゥン、クゥン。あまえたこえしてみる。

「・・・うん。おにいちゃんが、わるい」

「ねぇ、アサミ?あぶないから、そのからははなれて」

「このこが、いってるの。ぜんぜんたりない、って」

 そうなんだよ。ちょいとあるいて、それでわり。ひどいときにはやどこかにリードをくくりつけて、わたしほうったらかしにして、おなどしのボーイたちとサッカーであそんでやがるんだよ。そんなことより、わたしあそんでくれってっ・・・てはいないからな。べつにさびしくはないぞチクショウが。

「あー。わかるわかる。わたしも、そうなの。おにいちゃんとおるすばんしていても、おにいちゃんはどこかにいっちゃうの。ウチには、ばんけんがいるから、おまえひとりでもだいじょうぶ、って。だからわたしも、いつもひとりで」

「えっ?・・・おにいちゃん、そんなこと、してたの?」

 おっと。また母親ははおやが、おっかないかおをしてやがる。


 またしばらくして。そろそろエサの時間じかん、だけど。

「アサミはまだちいさいから、ちゃんと2人(ふたり)留守番るすばんしてなさい、ってってたでしょ!?あのほうったらかしにしてなにをやってたのよ!アンタおにいちゃんでしょ!?ああもう、どうしてウチのたちうことをいてくれないのよぉっ!」

「ギャアアアアア!?おふくろ、それはちがうって!」

 なんからないけど、いえなかがうるさいなぁ。

「ふふ。はい、ごはん」

 おう。・・・これも、おまえの仕事しごとになっちまったなぁ。

「いいの。わたしはすきで、やってるの」

 ふぅん。まあ、それならそれでいいけど。

「ねぇねぇ。ダックスフンド、ってわかる?」

 ・・・わたしのことか?いぬにはいろんな種類しゅるいがいて、わたしはそういういぬだとはいてはいるけど。それは人間にんげん勝手かってめたことだから、わたしにはどうでもいいよ。

「あのね。ダックスフンドには、スタンダードと、ミニチュアと、カニンヘンがあるんだって。それで、おまえはミニチュア。ちっちゃい、っていみ」

 アァン?おまえにだけは、ちっちゃいとはわれたくないな。

 ていうか、なんだよ。子供こどものくせに、そんなむずかしいことをって、

「なかよくなりたいから、おぼえたの」

 ・・・。

「いぬのこと。べんきょう、してるの。だから」

 ごめん。今日きょうはもう、ねむいんだ。

「うん、わかった。じゃあ、またあした」

 ・・・すこまえまでは、ロクにおしゃべりできなかった、はずなのに。



 そしてまた、あさになって。

「おう、おはよう・・・って。あれ?」

 ランドセルだとかいうへんなものを背負せおったボーイがいえからてくる。だけどらん。わたしねむたいんだ。ふあぁあぁ。

「お、おお。やっとえなくなったか」

 ・・・ふん。

 もう、おまえなんてどうでもいい。おまえにえたり、みついたりすると、アイツが心配しんぱいするからな。べつにアイツもどうでもいいけど。

 あぁあ、ヒマだ。だけどアイツが幼稚園ようちえんからかえってくるのは・・・。

 い、いや。アイツなんてどうでもいいし。ただ、わたしは――。

童話というよりは児童小説みたいになっているけど、このまま続けてもいい・・・?

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