表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワンコはいつも寝てばかり  作者: レゲーパンチ
18/21

17. 15才のはなし ②

【『ふゆ童話祭どうわまつり2024』ようつくった連載文章れんさいぶんしょうです】

【この物語ものがたりはフィクションです】

登場とうじょうする人物じんぶつ団体だんたい名称めいしょう架空かくうであり、実在じつざいのものとは関係かんけいありません】

【メスのワンコ視点してんでの物語ものがたりです】

 日本にほんのどこかの、とあるまちにて。

 これはいまから、2ねんほどまえはなし。そしてここは、いえ玄関げんかん



 はるあさあたらしいとした。

 『あるじ』も今日きょうから高校生こうこうせいか。小学校しょうがっこうはいったときにはランドセルを自慢じまんしてきて、中学ちゅうがくがったときには制服せいふくがどうだとかってたなぁ。わたしにはいろというものがからないけど、『あるじ』がたのしそうにしていたのはおぼえている。

「おはよう。みず、キレイにするね」

 おう、おはよう。・・・ん?

「どうしたの?なにか、になることでも?」

 なぁ『あるじ』。そのかみ、ちょっとへんじゃないか?

「そう?・・・まぁ、はじめてヤってみたから、へんかもしれないけど」

 それに、いつもとちがうにおいがする。これって・・・もしかして、化粧けしょうをしているのか?オイオイ、そんな母親ははおやみたいな真似まねをしてどうするんだよ。そういうことをするのは、もっと大人おとなになってから、じゃないのか?

「いいじゃん、今日きょうから高校生こうこうせいなんだから」

 ・・・そういう、ものなのか?

「そうよ。これくらいは普通ふつうよ」

 そう、か?ううむ、『あるじ』がそううのなら間違まちがいは、

「――おい、アサミ。なんだよ、それ」

 ・・・やっぱり、間違まちがっていたのか。


 こえけてきたのは、近所きんじょ制服せいふく姿すがたのボーイ。かお馴染なじみだ。

「・・・なによ。今日きょうからおまえべつ学校がっこうでしょ?」

「ああ、だけどつい、いつものくせで・・・ってはなしはどうでもいい。なんなんだよその格好かっこうは。茶髪ちゃぱつで、化粧けしょうして、ついでにみみにピアスまでけて」

 そういうボーイは・・・あたままるまっている。かみ全部ぜんぶったのかな?

「いいのよ。わたし高校こうこうは、そういうところなんだから。おまえみたいなエリートこうとはちがうからね。・・・わたしかまってるヒマがあるなら、さっさとったら?」

 『あるじ』はボーイにけて、玄関げんかんかう。

「・・・おばさんは、なんてってるんだ?」

なにってこないよ?ちょいとにらんでやったら、だまってくれるし」

 ・・・うん。わたしむかしからっていることだけど、『あるじ』のおこったかおは、とてもこわいんだ。だから母親ははおやも、あのおとこも。『あるじ』にはなにえないんだ。

「じゃあね、ってくる」

 玄関げんかんから荷物にもつってきた『あるじ』は、そのままボーイのとなりを、

「いいかげんにしろ。いままでなにわないでおいたけど、もうてられない」

 ・・・とおけようとしたけど。ボーイが、『あるじ』のジャマをする。

「――ジャマ、するな」

「そんな不良ふりょうみたいなことはやめろよ、みっともない」

 いま、『あるじ』のおこったかお唯一ゆいいつえるひとはボーイしかいない、けど、

「なぁアサミ、おまえはそんなじゃなか、うわっ!?」

 ・・・今回こんかいは、見届みとどけておこうか。


 『あるじ』は荷物にもつ地面じめんほうって。ボーイに、おそかる。

「ちょ、おま、それはやめろって!」

「――おまえに、わたしの、なにが、かるの?」

 ボーイはいま上下じょうげさかさまになっている。『あるじ』が両手りょうてげてるんだ。片手かたてまたあいだを、もう片手かたてあたまつかんで。

「おまえうらやましいよ。おとうさんとおかあさんが仲良なかよしで」

 ボーイはジタバタしている。だけど、意味いみがない。

「そんなおまえに。わたしの、なにが、かるのよ!?」

「ゴフッ!?」

 『あるじ』はまたあいだれていたを、ボーイのこしまわして、ボーイもろともななよこたおれ――お、おい。いくらなんでも、それはヤりすぎでは・・・?

「い、いだ、あが、ががが」

 ボーイは背中せなかから地面じめんたたおととされて、くるしんでいる。

「あらら、あたらしい制服せいふくよごれちゃったね。だけど、もっとよごしてあげるよ。今度こんどはどんなわざらいたい?一発いっぱつげられただけじゃりないでしょ?」

 ダメだ、このままだとボーイがあぶない!・・・ひさしぶりだけど、できるか?最近さいきんあまりこえせなくなったからなぁ、ってそんなことはどうでもいい!ガウガウガウガウガウガウガウガウガウガウウウウンンン!

「こら。うるさいでしょ、近所きんじょ迷惑めいわくで・・・あっ」

「な、なによ、これ。どういうことなのよ!?」

 ぜー・・・はー・・・ふ、ふぅ。ボーイにはわるいが、みずませてもらう。あとはけてくれた母親ははおやとオバサマたちが、どうにかしてくれるだろう。


 玄関げんかんからは母親ははおやが。そとからはオバサマたちが、私達わたしたちている。

「あ、アサミちゃん、いったいなにを・・・ひっ!?」

 しかし、だれなにえない。おもえば、この『あるじ』を・・・いかりをとおして、こころそこからブチれた『あるじ』を、ご近所きんじょさんたちせるのもはじめてだな。いままではずっと、ご近所きんじょさんたちまえではニコニコしてたのだから。

「どきやがれ、ババアどもが。見世物みせものじゃないんだよ」

 こんな言葉ことばも、ご近所きんじょさんたちにはったことはかったというのに。

「・・・じゃあね、今度こんどこそってくる」

 『あるじ』は何事なにごとかったかのように、荷物にもつってあるいてった。だれも、なにも、えない。みんなったまま。ボーイもたまま。

 たまらずわたしはボーイのそばにり、あまえたこえして、オバサマたち視線しせんおくる。おい、ボーっとってないでボーイをたすけ・・・って。

「うう、ぅ。まだ、あたまがグラグラ、する」

 ボーイはどうにかからだこして、わたしあたまでている。

 ・・・すまん。『あるじ』が、ここまで、するとは。

「よしよし。おれ大丈夫だいじょうぶだから、心配しんぱいするなよ。・・・かあちゃん、入学にゅうがく初日しょにちだけど、やすんでいい?こんな格好かっこうだと登校とうこうできないし、からだいたいしで」

 ・・・あとは、人間にんげん大人達おとなたちまかせよう。わたし犬小屋いぬごやもどる。


 そのは、犬小屋いぬごやきこもっていたからからない。しいてえば、母親ははおやがボーイに何度なんどあやまっていたな。ウチのむすめわるいことをした、って。

 だけどボーイは。おれなんかにあやまるより、アサミにあやまれ、と。アサミはしょう1のころから、ずっとなやんでいた。だれにもわないでくれとっていたから、だまっていたけど。アサミがどんな気持きもちで、いままできてきたとおもってんだ、と。

 アサミがどんな気持きもちで、覚悟かくごして。浮気うわき相手あいてくるまに、自分じぶんからんだとおもってるんだ、と。・・・ボーイも、っていたのか。アレを。

 それをいて、大人達おとなたちはまたポカーンとったまま、ボーイは自分じぶんあしかえってった。・・・わたしいぬだから、人間にんげんのすることなんて理解りかいできないよ。

 だから、わたしなにていない。なにからない。それでいいんだ。

 わたしには、なにもできない。わたしはただのいぬだ。毎日まいにち世話せわをしてくれるひと・・・『あるじ』がいないときていけない。わたしは、そういうものだ。

 わたしには、なにうことはできない。そもそも、わたし言葉ことばなんてだれにもかりはしない。それが普通ふつうなんだ。だからわたしには、なにえないんだ。

「ふふん、ただいま」

 『あるじ』のこえこえる。だけどわたしは、じたままだ。

「やっぱりコレで正解せいかいだったよ。わたし高校こうこうって、どいつもこいつもアレな格好かっこうをしててさ、むしろわたしなんて地味じみなほうだったよ。となりせきなんて」

 ・・・いいかげんにしろ、アサミ。

「ん?どうしたの?気分きぶんでも――なによ、そのかおは」

 ああ、最悪さいあくだよ。おまえのせいで、な。



 あやまれ。ボーイに。

「・・・おまえまで、そんなことをうの?」

 これだけは、絶対ぜったいゆずらない。さもなくば、二度にどとおまえのことを『あるじ』とはばない。もう、おまえなんてどうでもいい。ずっと無視むししてやる。

「・・・そこまで、おこることは」

 わるいことをしたら、おこる。当然とうぜんだろ?

「――わかったよ。だけど今日きょうはもうおそいから、明日あしたでもいい?」

 ふん。今日きょうはそれでゆるしてやろう。ちゃんとあやまっておけよ?

 ・・・『あるじ』にいきれるのは、かれしか、いないのだからな。

エ●ラルドフロウジョンの描写って、これで合ってる・・・?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ