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ワンコはいつも寝てばかり  作者: レゲーパンチ
15/21

14. 13才のはなし

【『ふゆ童話祭どうわまつり2024』ようつくった連載文章れんさいぶんしょうです】

【この物語ものがたりはフィクションです】

登場とうじょうする人物じんぶつ団体だんたい名称めいしょう架空かくうであり、実在じつざいのものとは関係かんけいありません】

【メスのワンコ視点してんでの物語ものがたりです】

 日本にほんのどこかの、とあるまちにて。

 これはいまから、4ねんほどまえはなし。そしてここは、おおきな公園こうえん



 ふあぁあぁ。今日きょうも、いい天気てんきだ。昼過ひるすぎだから、あたたかいし。

「・・・なんだ、兄貴あにきてたの?」

「おう。なんだ、おまえ相変あいかわらずだな」

 まったくだよ。兄妹きょうだいそろって、わりはしないな。

 ベンチにすわる『あるじ』と、それを見下みおろすイサム。わたしは・・・はら丸出まるだしにして、芝生しばふっころんでいる。友達ともだち雑種ざっしゅ一緒いっしょに。

「まったく、だらしのねぇワンコどもだな。いくら天気てんきいからって」

ちがうよイサム、これは信頼しんらいあかしだよ。みみ口元くちもと様子ようすによってはちが意味いみにもなるけど、この場合ばあいはリラックスしている・・・もとい、安心あんしんしてリラックスしていられる、って意味いみなの。人通ひとどおりのおお公園こうえんでこんな体勢たいせいるのは、アサミちゃんを信頼しんらいしている、って証拠しょうこなんだよ?」

 イサムのとなりには、彼女かのじょさんが。しゃがんで、私達わたしたちている。

「やめてよ、おねえちゃんったら。これはただたんに、おねえちゃんのがちゃんとしつけられてるからだよ。・・・とっても、わたしほうがお利口りこうさんだけどね。このあたりは長年ながねんわたって面倒めんどうてきたところもあるけど」

「まあ、そこはみとめるかな?わたしはどうしてもあまやかしたくなるからなぁ。・・・だけどウチの相棒あいぼうほう可愛かわいいわよ、ふっふっふ」

「ええぇ、おねえちゃんのはどちらかとえばカッコいい路線ろせんでしょ?」

 ・・・この2人(ふたり)も、わらないな。そんなにめるなよ。


「やめろ。それ以上いじょうはやめろ。おまえらがそのはなしはじめたらマジでれるからやめろ。それより・・・そろそろこうぜ」

 イサムはあきがおだ。わるいな、いつもいつも、最後さいごまで。

 『あるじ』は、っていたリードの1ぽんをおねえさんにわたす。すると友達ともだち元気げんきよくえながら、みずからのあるじのもとへとった。わかいっていいなぁ。もう13さいになるわたしには、2~3さいのワンコがうらやましくおもうよ。

「じゃあなおまえら、俺達おれたちいそがしいんだ。あとはおまえ2人(ふたり)仲良なかよくやってろ」

「・・・チッ、クソ兄貴あにきが。どうぞ、お達者たっしゃで」

 『あるじ』、舌打したうちはやめてやれ。まったく、素直すなおじゃないなぁ。

 そしてイサムは彼女かのじょさんと、そのワンコと一緒いっしょに、仲良なかよあるいてった。あとにのこるのは、わたしと、『あるじ』と、もう1人(ひとり)。サッカーボールを小脇こわきかかえた、ジャージ姿すがたのボーイが、こっちにちかづいてる。るからにボロボロだな。

「ううぅ・・・最後さいごまで、ダメだったよ」

 『あるじ』のとなりすわるボーイ。距離感きょりかんはそこそこちかがする。

最初さいしょころくらべたら、はるかにマシになったとはおもうけど?」

「そうか?だけどアサミにサッカーのことなんてかんないだろ?」

「おにいちゃんの影響えいきょうで、そこそこかるんだけど?わるい?」

 ・・・おにいちゃん、か。

 いまとなっては。イサムのまえでは、絶対ぜったい使つかわない言葉ことばだ。


「なあアサミ。これで、本当ほんとうにいいのか?」

 『あるじ』はなにこたえない。

「イサムにいちゃん、明日あした夕方ゆうがたには出発しゅっぱつするんだろ?」

 『あるじ』はなにこたえない。

「とても、とおくに。いつかえってくるかもからない、ってってたぞ?」

 『あるじ』はなにこたえない。

「あ、そうか。出発しゅっぱつまではまだ時間じかんがあるから、明日あしたひるとかに」

「どうぞ、お達者たっしゃで。とは、っておいたから」

 ・・・今度こんどはボーイが、なにわなくなった。

出発しゅっぱつまでは、おねえちゃんのおうちごすだろうからね。・・・一緒いっしょに、あの2人(ふたり)のジャマをしにく、っていうのなら。いにってもいいけど?」

「・・・それは、無理むりだよ。にいちゃんたち明日あしたにはわかれちまうのに」

 イサムは、サッカー関係かんけい仕事しごと。あのひとは、大学だいがく進学しんがく

 私達わたしたちは13さいだけど、あの2人(ふたり)は5さいうえの、18さいだから。高校こうこう卒業そつぎょうしたいま、またあたらしい場所ばしょへとかなければいけない。

 そして。それぞれ、このまちくけれど。行先いきさき方角ほうがくちがう。距離きょりもだいぶはなれている。そもそも2人(ふたり)は、あたらしい場所ばしょ頑張がんばらないといけない。

 ――だから、どれだけなかかったとしても。わかれるしか、ない。


「あぁあ。わたしも、ああいうこいがしたいなぁ」

無理むりだろ。アサミってみの男子だんしよりもつよいから、普通ふつうおとこじゃいきれないたいたいやめろやめろみみをつねるのはマジでやめろ」

「・・・ふん。相変あいかわらず、デレカシーがないなぁ」

「うぐぐててて。あのなぁ、だからそういうのをなおせって」

「ふん。らないやつは、ちからずくでねじせればいいのよ。それよりおまえこそどうなの?きなひととかいないの?もしくは告白こくはくされたりだとか」

「うーん・・・そういうのは、いなぁ」

「ふぅん。意外いがいだね、サッカーではエースのくせに」

「それがさぁ。おまえって彼女かのじょがいるだろ、ってわれるんだよ。オレはいままで一度いちど彼女かのじょなんてできたことがい、って何度なんどってるはずなのに」

うね。わたしもだよ。彼氏かれしなんていない、ってつづけている」

小学生しょうがくせいときなんか、よくそれでネタにされてたよなぁ。オレとアサミがってる、だなんて。まったく、どこをどうれはそうなるんだろうな?」

「そうだよねぇ・・・なんでなんだろ?わたしにもかんない」

 ・・・どうせ『あるじ』がおこるだろうから、なにわないけど。

 どこをどうても、ボーイが彼氏かれし、『あるじ』が彼女かのじょで、間違まちがいないよな?公園こうえんのベンチに仲良なかよすわって、しかも距離きょりちかくて、はなしのネタもきない。

 そして、この関係かんけいが・・・ええと、ボーイとったのは何才なんさいときだったかな?とにかく、そのころからいまいたるまで、ずっとこんなかんじ。だけど2人(ふたり)っていない、普通ふつう友達ともだちだとかとっている。これって、どういうことなの?


 それから、しばらくったが。2人(ふたり)のおしゃべりはわりそうもない。

 ・・・ハァ。もう、つかれた。クゥンクゥン、といてみる。

「ん?そろそろかえりたい、って?」

 うん。ボーイも、それでいいかな?

「ねぇねぇ。このが、もういいか?、っていてる」

「うーん・・・オレはもうちょっと練習れんしゅうしてるよ」

 そうか。じゃあなボーイ、怪我けがはするなよ。

怪我けがはするな、だってさ」

「おう。じゃーな、また明日あした

 ・・・ハァ。明日あしたもこの2人(ふたり)なやまされるのか。

 べついやではないんだ。だけどこの2人(ふたり)ていると、もどかしいというか、もういいかげんにいやがれ、って気持きもちになってしまって。マジでしんどい。

 いまだに人間にんげんというのは、不思議ふしぎおもう。あい男女だんじょがくっいたかとおもったら、ケンカしてわかれたり。きなもの同士どうしなのに、わかれないといけなかったり。『あるじ』たちは・・・これもまた不思議ふしぎだ、としかえないけど。

 おもえばわたしまわりにいる人間にんげん男女だんじょは、どれもこれも最後さいごはなれてしまうものばかりだ。『あるじ』の両親りょうしんも・・・ケッ、あぁあいやだ。

 じつえば、いえかえるのはいやなんだよなぁ。わたしも、『あるじ』も。

 ・・・あんなのが、父親ちちおやぶっているいえだなんて。いやだよ。



 いえかえって。首輪くびわくさりけられる。

「ああ、おかえりアサミちゃん。イサムくんは、どうだった?」

 ・・・グルルルル。

「うぐっ。相変あいかわらず、ぼくにはなついてくれないなぁ。仲良なかよくしようよ?」

無理むりだとおもうよ?おとうさんでは、絶対ぜったい無理むり

 『あるじ』にとっては、2人目(ふたりめ)父親ちちおや。そんなおとこ見上みあげる『あるじ』のかおは、普通ふつうればたのしそうな表情ひょうじょう、にえるだろうが。

「ハハハ、まあいいや。おかあさんがっているから、ウチにはいろ?」

 ――『あるじ』のこころなかは。かたるまでも、ないだろう。

コレ期限までに終わるの・・・?

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