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ワンコはいつも寝てばかり  作者: レゲーパンチ
14/21

13. 12才のはなし

【『ふゆ童話祭どうわまつり2024』ようつくった連載文章れんさいぶんしょうです】

【この物語ものがたりはフィクションです】

登場とうじょうする人物じんぶつ団体だんたい名称めいしょう架空かくうであり、実在じつざいのものとは関係かんけいありません】

【メスのワンコ視点してんでの物語ものがたりです】

 日本にほんのどこかの、とあるまちにて。

 これはいまから、5ねんほどまえはなし。そしてここは、おおきな公園こうえん



 おひる。あたたかい。

 芝生しばふのうえで、ゴロゴロと。っころがる。

「あーチクショー!やっぱりてねー!」

「オイオイ無理むりすんな。そのままてろ」

 すこしはなれたところで、少年しょうねんっころがっている。いつものことだが、サッカーというものは、そんなにおもしろいものなのか?

 あんなにつかれるまで、フラフラになるまで、ボールをいかけて。少年しょうねんのすぐそばには、すこし年上としうえの・・・おにいさんとおねえさん、とでもんでおくか。

 少年しょうねんとおにいさんは、ジャージだとかいうスポーツようふく。おねえさんは、ワンピースとよばれるもの。るからに、スポーツようふくではないな。

「よぉし、もう1かいヤってやる。今度こんどこそ・・・」

 おっと。またボーイがちあがって、ボールを足元あしもところがしはじめた。

 そしていきおいよくはしし、む。おねえさんのほうに。

「う、うぐ、やっぱり、けな、ギャン!?」

 しかし数秒すうびょうもたたずに、地面じめんっころがるボーイ。ボールはおねえさんの足元あしもとおさまっている。・・・もう一度いちどうが、このひとはワンピース姿すがたである。


「う、うう。イサムにいちゃん、なんかアドバイスない?」

「アドバイスもなにも、無理むりだな。だっておれでもてねーんだよ」

「もう・・・わたしのこと、なんだとおもってんの?」

 おなどし彼氏かれしや、その弟分おとうとぶんよりもつよおんな、かな?

 ・・・ここの公園こうえんは、本当ほんとうにいいなぁ。ここはおねえさんのいえくついでにった、おねえさん近所きんじょにある公園こうえんだけど。わたし近所きんじょにある公園こうえんくらべたら、とてもひろくて、自然しぜん綺麗きれいで。いつても、ててきない。

 そして。この公園こうえんは、とてもおおきいから。

 あちこちから、こえがする。わたしいぬだから、よくこえてしまう。

 本来ほんらいわたしだったら。こんなところでは、こうしててはいられない。うるさくて、になって、どうしようもない。おちつかない。

 だけど、ていられる。とても気分きぶんがいいんだ。おまえも気分きぶんがいいだろ?

「クゥゥン・・・」

 わたしのすぐそばには、べつのワンコが気持きもちよさそうにている。

 コイツはおねえさんのワンコで、雑種ざっしゅだとかいういぬだけど。おねえさんが男共おとこども相手あいてをしているあいだは、『あるじ』があずかっているんだ。

「・・・ふふっ」

 そしてベンチにすわって。たのしそうに、私達わたしたち見下みおろしているおんな

 2ほんのリードをった、わたしの『あるじ』。いぬぬしわたしおなどし。『あるじ』がうには、私達わたしたちは12さいらしい。


「なんだ、おまえ相変あいかわらずだな」

 そんな、わたしのそばに。イサムがた。

「――チッ、こっちないでよ」

 イサムは、わたしていない。『あるじ』をている。

「なあ。たまには一緒いっしょにやってみないか?」

 『あるじ』は、イサムのかおようともしない。

「うるさい。わたしはこのさえいれば、それでいいの」

「いや、そんなにいやがることはねぇだろ・・・?」

「ふん、だ。さっさとサッカーのつづきをすれば?」

 まあ、これも。いつものこと・・・いや。

「ハァ、すこまえまでは、おにいちゃん、って。あまえてたくせに」

「うるせぇ。わたしだってもうすぐ中学生ちゅうがくせいなんだ。さっさとってよ、クソ兄貴あにきが」

 ここ最近さいきんになって、そうなったんだ。

 イサムはほかにもなにってきたが、『あるじ』はなにこたえず、イサムをようともしない。しばらくすればイサムはあきらめて、また3にんでサッカーをはじめた。

 ・・・『あるじ』。本当ほんとうに、いいのか?

「いいのよ。このほうが、おにいちゃんがしあわせだもん」

 ・・・そう、か。


 だけどやっぱり、あきらめられないんだろ?

「うるせぇ。やっとあきらめがついたんだから、もうわないでよ」

 イサムのためなら、んでもいい。そう、ってたくせに?

「それで、おにいちゃんがしあわせになるのなら、ね」

 ・・・いまのイサムは、しあわせだと、おもうか?

「そりゃあそうでしょ。彼女かのじょとはラブラブで、手間てまのかかるいもうとはなれてって。どこをどうても、ハッピーじゃん。だから、これでいいのよ」

 ・・・たった一言ひとことえばいいだけだろ。おねえさんのように。

「・・・うるさい」

 あのひとのように。イサムをあいする、と。えばいいのに。

馬鹿ばかじゃないの?兄妹きょうだいあいだのなんだの、えるわけないでしょ?・・・それだけは、ってはいけないのよ。わたしは、つながった家族かぞくなんだから」

 だからといって、あそこまで毛嫌けぎらいはしなくてもいいだろ?

「・・・おにいちゃんは、やさしいから。こうでもしないと、わたしからはなれない。おにいちゃんのジャマだけは、したくはない。だからジャマないもうとは、こうしたほうが」

 やめろ。自分じぶんのことを、そううな。

 むかしから、ずっとそうだ。本当ほんとう気持きもちを、ずっとかくして。イサムのしあわせがなんだとかんがえるまえに、自分じぶんしあわせをかんがえろよ。『あるじ』だって、すこしくらいは、

わたししあわせは、おまえ一緒いっしょにいること。・・・ダメ?」

 ・・・クゥン。


 わたしは、ねむたいので。グルルルと、こえすだけ。

「ん?・・・ああ、それはボチボチかんがえようかなぁ、って」

 いいのか?そっちも、あきらめるなんて。

「おとうさんも、おかあさんも、どうしようもなかった。だから離婚りこんする。そして子供こども2人(ふたり)いるから、半分はんぶんこになるだけ」

 イサムは何度なんどっていただろ?一緒いっしょらさないか、って。

「だから、そうしたらおにいちゃんのジャマになるでしょ?」

 ・・・それなら。『あるじ』がしあわせになる方法ほうほうを、おもいついた。

 『あるじ』も、彼氏かれしつくってラブラブすればいい。

無理むり。おにいちゃんよりイイおとこなんて、いないもん」

 いや、ハッキリうなよ・・・って。

 ふとおもったが。そもそも『あるじ』って、彼氏かれしがいたよな?もう何年なんねんもの、ながいになるおとこが。ほら、あそこに・・・ヒイッ!?

だれが、アレが、彼氏かれし、だって?」

 う、うう、だけど『あるじ』とボーイって、むかしから一緒いっしょあそんでいるし、あさはほぼ毎日まいにち一緒いっしょ学校がっこうってるし、今日きょうもこうしてデートをヒイィィやめろ、そんなこわかおはやめてマジでこわいですやめてください。

「アレはただの友達ともだち。・・・ほかになにか、いたいことはある?」

 う、ううう、えっと。ああ、その。いい、天気てんきだなー。

「・・・そうだね。いい天気てんきだね」



 このころが、一番いちばんたのしかったとおもう。

 アイツと、アイツと、あのひとが、サッカーボールをいかけて。そしてそれを、ベンチでながめている『あるじ』。

 『あるじ』は、本当ほんとういたいことがあったのに。ただ、てるだけ。おもっていることを、わないから。おうとしないから。

 ――それでも。そういう『あるじ』をるのが、きだった。

 わたしまえだけでは正直しょうじきになる、普通ふつうおんな

 まるでわたし子供こどもか、いもうとのような。可愛かわいい、年頃としごろのおじょうちゃん。

「は?わたしが、おじょうちゃん、だって?」

 ふふん。こんなことでおこるだなんて、お子様こさまだなぁ。

サブタイ分かりづらくない・・・?

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