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ワンコはいつも寝てばかり  作者: レゲーパンチ
13/21

12. 今(いま) ①

【『ふゆ童話祭どうわまつり2024』ようつくった連載文章れんさいぶんしょうです】

【この物語ものがたりはフィクションです】

登場とうじょうする人物じんぶつ団体だんたい名称めいしょう架空かくうであり、実在じつざいのものとは関係かんけいありません】

【メスのワンコ視点してんでの物語ものがたりです】

 日本にほんのどこかの、とあるまちにて。

 ここは、動物どうぶつ病院びょういん。そして、いまは・・・。



「――ペット火葬かそう説明せつめいは、以上いじょうになります」

 テーブルを、5にん大人おとなかこんで。

費用ひようやすくしたいのであれば、ほかのご家庭かていのペットと一緒いっしょ葬儀そうぎおこな場合ばあいもありますが、この場合ばあいだと遺骨いこつが・・・」

 わか女性じょせいが、淡々(たんたん)と。はなしをしている。

「き、きみ。だからもうすこし、言葉ことばえらびなさい」

 女性じょせいのそばにいるひと――病院びょういん先生せんせいは、でないようだ。

「そ、そうです!ウチのをなんだとおもってるんですか!」

 先生達せんせいたちとは反対側はんたいがわすわっている大人おとなどもも、不機嫌ふきげんそうだ。

なんなんですか、あなたは。アサミちゃんとはいのようですけど、もうすこしウチのむすめのことをかんがえてもらえませんか?アサミちゃんがどんな気持きもちで」

「――ったくちをきくな、クソ親父おやじが」

 ・・・『あるじ』。かりにもそのひと父親ちちおやだ。そんなことはうな。

親父おやじたちは、おかねだけしてくれたらいい。・・・すべてに、う。いきって、はいになって、つちなかめるまで、ずっと。わたしがやる。わたし最期さいごまで、この面倒めんどうる。親父おやじたちには、ジャマはさせないからね」

 部屋へや片隅かたすみに、1人(ひとり)っている『あるじ』。ずっと、いている。


「それに、おふくろ。ウチの、ってなに?」

 『あるじ』は、大人達おとなたちではなく、わたしをじっとている。

わたしがこの面倒めんどうるようになったのは、3さいかそれぐらいのときだったけど。それまで、おふくろは、このに、なにをやってた?わたし面倒めんどうるようになってからは、一度いちどでも、この世話せわをやったこと、あったかな?」

「そ、それは。このが、なつかない、から」

ちげぇよ。マトモに世話せわをしないのがわるいんだよ。まあ、一番いちばんわるいのはおにいちゃん・・・というはなしはどうでもいいか。とにかくこのは、わたしとおにいちゃんのワンコだ。異論いろんみとめないからね、クソ親共おやどもが」

 あのさぁ、『あるじ』。気持きもちはかるが、ここは病院びょういんだから、そううのはやめろって。先生せんせいがどうしていいかとこまっているだろ?

「いいのよ。これぐらいはってやらなきゃ、まない」

 ううむ。だけど、せめてとき場所ばしょかんがえたほうが・・・。

「ふん。おまえだって、うごけるのならあばれてるはずでしょ?」

「・・・えっと。おじょうさんは、だれと、はなしをしているんだ?」

 ほら、先生せんせい混乱こんらんしてらっしゃるじゃないか。

「す、すみません。アサミはこのはなしができるそうなんです」

「は?」

 おい母親ははおや先生せんせいがますます混乱こんらんしちまっただろうが。


説明せつめいつづけても、よろしいでしょうか?」

 くちひらいたのは、わか女性じょせい――研修医けんしゅういさんだ。

「い、いや。だからウチのむすめ気持きもちを、すこしはかんがえてもらえませんか?」

 やはり親共おやども不機嫌ふきげんそうだ。だが、それ以上いじょうに、

「――いいかげんにしろ、親父おやじたちも、おふくろも」

 ・・・『あるじ』。

「このひとが、おねえちゃんが。どんな気持きもちだとおもってんの?」

 2人(ふたり)父親ちちおや――じつ父親ちちおやと、母親ははおや再婚さいこん相手あいてであるかり父親ちちおや。それと、母親ははおや面倒めんどうだから、3にんまとめて馬鹿ばか親共おやどもとでもんでおくけど。

「おねえちゃんは、わたしおなじだ。だから、おなじことをした」

 親共おやどもは、らないだろうな。このひとのことは。なにせ『あるじ』やわたしだけでなく、もう1人(ひとり)子供こども――イサムも、ほうったらかしにしてたのだから。

「――おねえちゃんも、とてもつらかったんでしょ?」

「・・・ウチの場合ばあいは、尊厳死そんげんしじゃなかったけどね。それともう1つ、ちがうとしたら。いまのアサミちゃんはこう2だけど、わたしがあのくしたのはこう1のとき。ちょうど、アサミちゃんたち出会であったころだったね」

「うん。だけど、まさかいまさらになって。おにいちゃんのもとカノにうことになるとはおもわなかったよ。・・・6ねんまえかな?」

 ふん、馬鹿ばか親共おやどもがザワついてやがる。そんなこともらなかったのか?


「イサムは元気げんき?」

「さあ?ここ最近さいきん連絡れんらくがないの」

「そうなんだ。・・・イサムがいなくなって、さびしい?」

「ふん、だ。わたしからおにいちゃんをうばったくせに、よくうよ」

「ええぇ、だけどアサミちゃんも納得なっとくしてたでしょ?」

「・・・ふん」

 ――あぁあ。なつかしいなぁ、こういうの。

「あ、あの、アサミ?ちょっとおかあさんたちはなしについていけてない、ていうかイサムって彼女かのじょがいたの!?あ、あの、もうすこくわしいはなしを」

「それよりアサミちゃん、その格好かっこうはどうかとおもうよ?」

 研修医けんしゅういさんは、馬鹿ばか親共おやども無視むししてらっしゃる。

「いいじゃん、かみめるぐらいは。・・・ああ、そう?」

 うん、そうなんだ。せっかくだから、さ?

「お、おい、2人(ふたり)とも、いまはそんなはなしをしている場合ばあいじゃないだろ?このなせるかどうかという、真面目まじめはなしを――うぐっ」

 『あるじ』が再婚さいこん相手あいてにらみつける。おとこは、なにえなくなった。

先生せんせいわるいんだけど、馬鹿ばか親共おやども別室べっしつれてってくれる?ここはわたしとおねえちゃんと、このだけにしてほしい。こうしたほうが、このちつくの」

 ・・・うん。こんなに気分きぶんがいいのは、ひさしぶりだ。


 ほか大人達おとなたちていった。

「――あらためて。アサミちゃん、ひさしぶり」

 いま2人(ふたり)で、テーブルにすわっているようだ。

最後さいごったのは4年前ねんまえ、だったね。なにからはなそっか?」

って。そのまえに・・・おねえちゃん。おねがいが、あるの」

 『あるじ』はこのひとのことを、あね、とんでいるが。べつにつながった家族かぞくというわけではない。ただたんに、そうんでいるだけだ。

「おねえちゃん。もう、いいよ。ガマンしなくても」

 ・・・こえが、する。2人(ふたり)ぶんの。

「――ゴメン。患者かんじゃさんのまえだから、ガマンしよう、って。それで」

「いいじゃん。まだ研修医けんしゅういなんだから」

 それでも、2人(ふたり)は。金属きんぞくはこはいった、わたしてくる。

「・・・ありがとう、って。ってる」

「ふ、ふふ。やっぱりわたしには、いぬ言葉ことばなんてかんないよ。このうらまれることはあっても、感謝かんしゃされる、だなんて」

 あなたをうらむだなんて、とんでもない。もっとも『あるじ』は、

「やめろ。そのはなしはやめて、ってったでしょ?」

 『あるじ』。くのか、おこるのか、わらうのか。どっちかにしてくれ。



 『あるじ』も相当そうとう犬好いぬずきだが、このひともまた、おなじだ。

 それで、大事だいじなワンコをくしたから・・・こういう仕事しごとを、えらんだのだろう?すこしは『あるじ』も見習みならってほしいな。真面目まじめ学校がっこうかよって、それと、

「うるせぇ。ちょっと元気げんきになったからって、調子ちょうしりすぎ」

 わたしえてはいないんだが?こえせないし。

「だからおまえのことはなんでもかる、ってってるでしょ?」

「あはは。2人(ふたり)とも、相変あいかわらずだね。うらやましいなぁ」

 あなたも、くのか、わらうのか。どっちかにしてくれ。

 ・・・ハァ。『あるじ』がどれだけ、あなたをうらやんだとおもってるのか。

効率のいいルビの付け方ってある・・・?

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