表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワンコはいつも寝てばかり  作者: レゲーパンチ
10/21

9. 9~10才のはなし ①

【『ふゆ童話祭どうわまつり2024』ようつくった連載文章れんさいぶんしょうです】

【この物語ものがたりはフィクションです】

登場とうじょうする人物じんぶつ団体だんたい名称めいしょう架空かくうであり、実在じつざいのものとは関係かんけいありません】

【メスのワンコ視点してんでの物語ものがたりです】

 日本にほんのどこかの、とあるまちにて。

 これはいまから、7~8ねんほどまえはなし。そしてここは、近所きんじょ公園こうえん



 休日きゅうじつ昼過ひるすぎ。公園こうえんすみっこで。

「――という作戦さくせんなんだけど。どう?」

 どう、とわれても。わたしは『あるじ』にしたがうだけだよ。

「・・・命令めいれいする。いたいことがあるならハッキリって」

 べつに、なにも?『あるじ』がやりたいように、すればいい。

「そう。だったら、もういいや。このはなしわり」

 うん。だったら、そろそろ・・・。

「おいアサミ、いつまでおすわりさせてんだよ。かわいそうだろ」

「うるせぇだまれ。私達わたしたちいそがしいの。あっちっててよ」

 『あるじ』。そろそろ、ボーイとあそんでもいい?おすわりはべつつらくもなんともないけど、たまには息抜いきぬきがしたいかな、って。

「なによ。わたしがいつもあそんであげてるでしょ?」

 ・・・クゥン。

「おいアサミ。ここ最近さいきんのおまえは、なんかヘンだぞ。あそびとうよりは、トレーニングみたいなことばかりやってるだろ?」

「ふん。おまえなんかに、なにかるの?」

 『あるじ』と、ボーイが、にらっている。ちなみに2人(ふたり)とも、いまでは小学しょうがく年生ねんせいだ。ハッキリえば、どっちもお子様こさまだな。

「オレはおまえとちがって、いぬはなすことなんてできないけど。どこをどうても、コイツがつかれているようにしかえないぞ?」

「――わたししつけに。文句もんくでも、あるの?」

 ・・・いまのうちに、そむけておこう。


いたいたいたいたい、ギブギブギブギブ!」

「どうしたの?もう、わり?」

 まえで、なにきているかって?いたくもないな。まあ簡単かんたんえば、ボーイがのたうちまわっている。

わたしは、あのから、ずっと。トレーニング、してるのよ?」

 うん。むかしわたしみずえるのにも苦労くろうしていたのに。いまではリードを片手かたてったまま、もう片手かたてでボーイをひとひねり、だ。

「あ、あのなぁアサミ。おまえのようなやつを、脳筋のうきん、ってうんだギャアアアアア!?れるッ!れるからマジやめてくれえええっ!」

わたし、クラスでは成績せいせきトップクラスなんだけど?」

 うん。通信簿つうしんぼ、ってうのか?わたしにはよくからないけど、『あるじ』がいつも自慢じまんをしているからなぁ。ねんに3かいほど、はるなつふゆごろに。あきにはいの?

「う、ぐぐ、そんなんだと、イサムにいちゃんにきらわれちまうぞ?」

 おいボーイ、やめろ。まだわかいのに、いそぐことはないだろうよ。

「そのふく、イサムにいちゃんがてたものだろ?おまえどんだけイサムにいちゃんのことがきなんダアアアアアアアアアア!?」

てるのはもったいないから、てるだけなんだけど?」

 ハァ・・・『あるじ』はどうして、こうなってしまったのか。


 さて、そろそろめるか。ええと、今回こんかいはどうやって・・・。

 よし、アレにしよう。キャンキャンキャン。

「ん?どうしたの?・・・えっ、写真しゃしんりたい?」

 うん。今日きょうはそういう気分きぶんなんだ。

「・・・そうだね。そろそろ、あたらしいのをおくろうかな?ほいっと」

「グエッ!?」

 ボーイをそのへんてて。『あるじ』はポケットから、スマホとばれる四角しかくいものをした。これはすこまえに、父親ちちおやってくれたものだ。

「ねぇねぇ、写真しゃしんってくれる?」

「お、おまえ・・・さっきまで、オレに、なにをしたと、おもって」

「――ってくれる、よね?」

「ハイわかりました、だからもうそんなかおはやめてくださいハイ」

 ボーイは『あるじ』からスマホをって。わたしは『あるじ』にかれて、一緒いっしょにスマホにけて・・・むかしは、これに父親ちちおや母親ははおやと、そしてアイツも一緒いっしょになって、写真しゃしんってたのになぁ。

 ねんに1かいはるはじまりのに。家族かぞくみんなで、一緒いっしょに。

「――もう一度いちどれるようにしてやる」

「ん?おいアサミ、わらえよ。写真しゃしんなんだから」

 ・・・いつもすまんな、ボーイ。『あるじ』の相手あいてをしてもらって。


 ボーイとわかれて。さあ、かえろう。

 いつもの散歩道さんぽみちあるいて。『あるじ』と一緒いっしょに、いえに・・・って。

「――あっ」

「――あっ」

 『あるじ』と、玄関先げんかんさきにいたおとこが、おどろいている。

「・・・おにいちゃん、おかえり」

「お、おう。といっても、おれはもうかえるけど」

 このおとこはイサム。『あるじ』のにいちゃんだ。

「なんで?せっかくだから、ゆっくりしていってよ」

「い、いや、おれは、その」

 イサムは、こっちをようともしない。

「どうしたの?・・・おにいちゃん、こっちてよ」

わるい。そろそろ電車でんしゃ時間じかんだから、おれは」

 そうだよ。こっちをてよ。

電車でんしゃなんて、あとでいいでしょ?そんなことより・・・って、こらっ!」

「ギャアアアアアアアア!?だからはやかえりたかったんいたあああああい!」

 ひさしぶりだね。一緒いっしょに、あそぼ?


「やめなさい!おにいちゃんからはなれなさい!」

 ねぇねぇ元気げんき最後さいごったのは1ねんくらいまえかな?ひさしぶりだなぁ、うれし・・・べべべべつに、イサムとえるのがうれしいわけじゃないからね?

いたいたうでみつくのはやめろおれはゴールキーパーなんだからうでまれるのだけはてててててて、やめろはなれろやめてくれいたいって」

 さびしかったんだよ?イサムがってから、あんなダメダメぬしでもえなくなるとかなしくなるというかなんというかで。うふふ、またこうしてあそべるだなんて。たのしいなぁ。イサムもたのしいよね?

「こらあああっ!おにいちゃんからはなれろ、ってってるでしょ!?」

 ごめん、アサミ。いまはそれどころじゃないの。

 ねぇねぇイサム、せっかくだから一緒いっしょにどこかかない?なにしてあそぶ?いまならなんでもうこといてあげるよ?ねぇ、いてる?わたしってること、わかる?

「なんでおまえはアサミのうことはくのに、おれにはいつもこうなんだよ!?ギャンギャンえるのはやめろ!おれなにをしたってギャアアアッ!?」

 はあっ、はあっ、イサム、イサムぅ・・・。ダメだみつくのがまらない。やっぱりイサムはいいなぁ。だってイサムはわたしの『あるじ』だからね。ねぇねぇ、あたまでて?背中せなかでもいいよ?でてくれないとんじゃうぞ?ねぇねぇイサムったら、ぎゃあぎゃあってないで、もっとわたしのことを、

「――おい。そろそろ、おにいちゃんから、はなれろ」

 ・・・ハッ!?い、いかん。『あるじ』がおこっている。これ以上いじょうみつくのはやめよう。べべべべつにイサムのことなんてきじゃないんだからね!?


 イサムはげるように、ウチをった。ごめんヤりすぎた。

「・・・さて。どうしてヤろうかなぁ」

 首輪くびわくさりけられたわたしは、『あるじ』にけている。反省はんせいしています、だからそんなないでくださいこわい。

「おにいちゃんが、そんなに、きらいなの?」

 ・・・むかしは、きらいだった。理由りゆううまでもないだろ?

「まあ、ね。そこは理解りかいできる。・・・いま、は?」

 正直しょうじきうと、イサムにあまえたい。だけどいまさら、そんなことをするのは、な。だからつい、ああやってみついてしまうんだ。本当ほんとうはあんなことはしたくはないけど、どうしていいかからなくて。

「・・・そう」

 『あるじ』も、だろ?本当ほんとうは、イサムに。おにいちゃんに、

「それ以上いじょうは、うな。これは、命令めいれい

 ・・・素直すなおじゃないなぁ。

「どのくちってんの?」

 だったら、こうなおそうか?ペットは、ぬしる。

「・・・わたし一緒いっしょは、いや?」

 ううん。一緒いっしょじゃないと、いやだ。



 だけど、『あるじ』。これだけはわせてほしい。

 わたしいぬだから、人間にんげん言葉ことばはなせない。

 だけど『あるじ』は人間にんげんなんだから。はなしを、すればいい。

 素直すなおに。正直しょうじきに。『あるじ』の、本当ほんとうのことを。

えるわけないでしょ。わたしは、これでいいのよ」

 うそ、だな。れば、かる。

「・・・だったら。もう、なにも、わないで」

 クゥン。やっぱり『あるじ』は、素直すなおじゃないなぁ。

犬の名前って出した方がいい・・・?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ