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<R15>15歳未満の方は移動してください。

子ウサギ王女は溺愛される。

作者: ひろ

溺愛ものが描きたくなって描きましたが、オチがなくて……

とりあえず、連載にして、どこかでオチを入れたいと思います。

ユルフワ設定ご了承ください。

 ラウロ聖国、神聖で大陸中の信仰を集める小さな国だ。


大陸に囲まれた小さな国は、大陸全土が信仰する女神が降臨した聖地として永く栄えてきた。


周辺国と不可侵条約を結び、王族が持つ聖なる力を駆使して民を守り、国を守ってきた王家は、近年急激に力をつけ、領土を広げているアステーラ帝国からの書状に絶望していた。


長々した文章を要約すると、王女を人質に寄越せという内容だ。


王家には2人の王女がいる。

上の王女は美しいプラチナブロンドのふわふわした髪で、肌は白く透き通り、ピンクローズの瞳はキラキラと輝いて、庇護欲を唆る外見をしている。


下の王女はまだ幼く、姉と同じ髪色だが、プラチナブロンドで真っ直ぐな髪と、エメラルドグリーンの瞳を持ち、意思の強そうな見た目である。


外務大臣や宰相、騎士団長など国の重鎮が顔を揃え、謁見の間の壇上には国王と、王妃が悲痛な顔をして座る。

両サイドに長男である王太子、そして長女の第一王女、次女の第二王女がたち、帝国へどちらが行くか話し合いの場を設けた。


重苦しい場で口を開いたのは、第一王女のフローラルだ。


「私が人質で参りましょう。エメラインはまだ幼く、他国に1人で暮らすことは無理ですわ。帝国語も私なら習得済みです。」


書状には侍女などの付き添いは不要と記されている。

名目上は留学生として帝国に受け入れだ。


フローラルは15歳、エメラインは12歳だが、第二王女は身体が弱く通常7歳から始める王女教育を遅らせていたし、ゆっくり体調を見ながら進められていた。

そのため、外国語の勉強を始めたばかりだった。


「エメラインは最近では体力もつき、勉学もかなりのスピードで習得していますが、帝国へ行って体調を崩さないとは言い切れません。

エメラインの能力は『知識』です。きっとお兄様を支える素晴らしい王女になります。

私の能力『緑の手』は植物の成長促進や治癒力の向上です。国に残るならエメラインの方が確実に役立ちます。」


儚げな外見に反して、はっきりとフローラルは意見を口にする。

結局、この後の話し合いで、フローラルの意見を上回るものは出てこず、人質として第一王女が決定した。


半年後、出発式ではエメライン王女の涙を優しく拭うフローラル王女の姿に国中の民が心を痛めた。

帝国までの道中は多くの騎士や侍女に囲まれて移動し、国境で帝国の騎士に引き渡された。


フローラルは最後まで背筋を伸ばし、王女として毅然とした態度で過ごしていた。


「皆さん、ここまで付き添い大儀でした。どうか怪我なく無事に王都に帰ってください。わたくしは元気に帝国へ入ったと国王陛下にご報告ください。」


気丈に述べるフローラルの言葉に、多くの騎士や侍女は目に涙を浮かべ、ラウロ聖国へと引き返して行った。


これより先、国に帰れる保証はない。

手紙も届くかわからない。

本当にたった1人で帝国へと入ったフローラル王女は、それから馬車で1週間かけて移動した。


あくまで留学生という位置づけで移動すると1人の騎士がフローラルに告げた。


「道中、何か要望などあれば、遠慮なく申して下さい。」


「分かりました。道中、宜しくお願い致します。」


帝国には様々な国から人質として王族や、それに準ずる高位貴族がやってくる。

国境から首都までの移動で相手がどのような人物か報告する為、騎士も侍女も精鋭部隊として組まれている。


泣き喚く者、怒り狂う者、逃亡する者、様々な人物に対応できるよう訓練されていた。


今回、フローラル王女は両親や兄に溺愛されて育ち、傲慢ではないが世間知らずの姫として事前に知らされていた。


騎士たちは実際フローラルを見て、儚げな外見から体調を崩して、嘆き悲しむのではと予想したが、まったくそんなことはなかった。


宿も王女が泊まるような部屋ではなく、馬車も通常の庶民が乗るようなものだった。

食事も質素で、休憩は最小限、見知らぬ侍女や騎士に囲まれ、旅の道中フローラルが周囲に要望したことは簡易な服を買って着替えたいということだけだった。庇護欲をそそる儚げな王女が不平を言わず、嘆くそぶりもなく、いつも周囲に感謝を述べる姿に護衛を任された騎士や侍女たちは、すっかり絆されていた。


ドレスは1人で着替えることができないため、侍女の手を煩わせたくないからと説明した彼女に侍女たちが猛スピードで衣類店に駆け込み、フローラルにに合いそうなワンピースを購入した。


王女の要望通り飾りの少ない実用的なワンピースが数枚用意され、初めて袖を通したフローラルは恥ずかしがりながら変なところはないか侍女に尋ねると、多くの者が内心あまりの可愛さに悶えたが、そこはぐっと我慢して控えたのだった。


口数は決して多くなかったが、周囲と会話しながら帝国の首都まで愚痴一つ溢すことなく、無事旅を終えたのだ。


留学生と言う名の人質は、それぞれ、後ろ盾となる貴族の邸で暮らすことになる。

貴族の管理下に置かれ、怪しい動きをすれば直ぐに検知できるようになっている。手紙類も勿論管理下に置かれ、外部からの情報は常に操作されていた。


フローラル王女は道中つつがなく過ごし、評価も高かった為、後見人はすぐに決まる手筈だ。

ひとまず離宮の客室へと通され、今後の事は外務大臣から連絡があるまでゆっくりと過ごすこととなった。





通された客間に1人フローラルが立っている。

常に周囲からの目に晒されてプライバシーがほとんどなかった彼女に訪れた初めての空間。


部屋には侍女もいない。

勿論どこかに見張りは隠れてはいるだろう。

しかし、それでも長年王女として育ったフローラルには、待ちに待った瞬間だった。


『これで………これで、やっと理想の王女から解放されたのね!』

内心ガッツポーズを決めながら、道中購入したワンピースをクローゼットにかけていく。侍女たちが選んでくれたお気に入りのワンピースは首都に着く頃には10枚以上になっていた。


『5歳で前世を思い出して、10年、長かった!辛かった!苦しかった!』


フローラルは前世、日本という島国のさらに小さな島で生まれ、蜜柑農家の両親の手伝いをしながら、のんびりと、グータラと過ごしていた記憶を持っている。


高熱から復帰して、前世の記憶が混じり合って、グータラした性格が強く出ることがあり、ちょっと怠けた姿を見せると、周囲が大騒ぎし、やれ病の後遺症だの、まだ回復してないだの大変な目にあった。


儚げな見た目も良くなかった。

フローラル=美しく、優しい心の持ち主と周囲は理想の王女を求めた。


本当はダラダラしたい!

昼寝したい!

コタツでみかん食べてゴロゴロしたい!

口を開けてギャハハって笑いたい!


記憶が蘇ってから溜まりに溜まったストレスだったが、帝国から留学生という名の人質要望に光を見出した。


『このチャンス、逃すわけにはいかないわ!』


フローラルは全力でプレゼンし、チャンスを勝ち取り、そして念願叶って帝国へと足を踏み入れた。

そして前世ぶりに着たワンピースに感動し、喜びを噛み締めたのだ。


『これでドレスとコルセットから解放される!』


根っからの庶民根性は魂に刻まれたまま。

王女フローラルの生活は苦痛と申し訳なさでいっぱいだった。


高貴な両親は子供たちを分け隔てなく愛し育ててくれた。

生活も王族として、いつも品位を下げない物を用意されて、家庭教師を沢山つけてくれた。


前世では公立の小学校、中学校に通い、塾には必要ないと通わせて貰えず、高校はなんとか卒業させて貰えたが大学に行くお金はなく、地元のスーパーで働きながら実家の手伝いをした。

島から出ていくのは、頭が良く、奨学金で大学に通うことができる一握りの人間で、それ以外は実家の農家を手伝いながら、片手間に働く人間が殆どだ。


その環境から、王族になったのである。

感謝しかないが、いつまで経っても馴染めない王族生活にストレスを感じる自分に、また申し訳なくなり負のスパイラルとなっていた所の人質生活だったのだ。


フローラルはベッドにワンピースのまま、そっと座り、そのまま横になった。


『さ、さ、さ、最高ですわーーーー。』

誰もはしたないと注意しない。

服を着て横になる、これだけで喜びを噛み締めた。



一方、その頃、皇帝の年の離れた弟であるザラスが兄に呼び出されていた。

フローラル王女の後見人にと言われたのだ。

ザラスは身分の低い母から生まれたのだが、先祖返りと呼ばれる力を持ち、騎士団長として長年国に貢献している。

臣籍降下し、王位継承権も返上し、兄弟仲も良好だが、この力のせいで、貴族たちに要らぬ思惑を抱かさぬよう婚約者も定めず、兄の子が15歳で無事立太子しても、浮いた話は一つもなかった。


アステーラ帝国は銀狼を始祖とした小さな国から始まった。

獣人と呼ばれ、力のある者が王になり、少しずつ領土を広げ、今では巨大な帝国にまでなった。

見た目は既に獣人の特徴はなく、人間と変わらない姿をしているが、稀に先祖返りと呼ばれる者が誕生する。

もともと力第一主義のアステーラ貴族達は、本能で先祖返りのザラスに従ってしまうのだ。


30歳を目前にして、未だに独身を貫く弟に、皇帝は聖国の姫フローラルを与えようと考えたのだ。


「ザラス、フローラル王女は留学生として、其方の邸から学園に通わせて、卒業後はそのまま妻とするが良い。ラウロ国には返さず、帝国で暮らさせる。他国も聖国の姫君がいる帝国に手が出しづらくなる。」


「名目上の妻ということですか?」


「名目上でも、本来のものでも、お前に任せる。今は離宮で過ごさせている。とりあえず見て帰るがいい。」


「………わかりました。」


歳の差がありすぎるし、相手はまだ少女。

騎士からの評判はすこぶる良かったが、ザラスは気乗りしなかった。

しかし敬愛する兄の命令では仕方ない。


渋々、離宮へと足を伸ばしたのだ。



一方、フローラルは念願の昼寝をした後、庭に出て散歩をしていた。

護衛や侍女はついていない。

離れたところに騎士や見張りが立っていたが、パーソナルスペースは守られている。


『まあ、この木、柑橘類なのね。白い花が可愛らしい』

ゆったりと庭を眺めながら歩いていると、不意に視線を感じ、首を傾げ、後ろを振り返る。


そこには銀色の長い髪を後ろに束ね、アイスブルーの瞳の瞳孔が開かれた大柄な男性が呆然と立っていた。


「あの、もしかして、後見人になってくださる方ですか?」

鈴が鳴るような美しい声に、さらに衝撃を受けるザラス。


身なりからして高貴な人物であると分かるが、フローラルは男性がなぜ衝撃を受けているのかが、分からない。


一方のザラスは、フローラルを見た瞬間、雷に打たれたような衝撃を受けた。


『な、な、な、なんだ、この子うさぎのような可愛らしい生き物は!!』


しかも甘い香りが彼女から漂ってくる。

声もあまりに美しく、内から溢れる欲求にあらがう事ができない。


ザラスは異常な速さでフローラルに近づいたかと思うと、彼女を抱きしめて、頸に口付けると、そのまま噛みついた。


フローラルは何が起きたのか理解できず、突然頸に痛みを感じたかと思うと、身体がなぜか疼き出すのがわかった。


騎士たちは突然のザラスの行動に驚愕し、影は慌てて皇帝に知らせを出し、遠くにいた侍女達は悲鳴をあげて、フローラルの名前を呼んだ。


「フローラル、姫、私の番……決して離さない!」


フローラルは身体の火照りに目を潤ませ、呼吸は浅く、初めて味わう変化に戸惑っていた。


「あの………貴方様のお名前は……」


「ザラス、だ。貴女の夫となる男だ。」


そう言ってザラスはフローラルに口付けをした。


フローラルは突然の口付けに呼吸困難になり、そのまま意識を手放した。

その後は、侍女達の悲鳴を後ろに騎士たちの制止を振り切り、フローラルを抱き抱え、離宮から飛び出した。


知らせを受けた皇帝はザラスの行動に驚きながら、祝福した。


「我が弟は番を得た!相手は聖国の王女フローラル姫だ。」


執務室に呼ばれた大臣たちも、歓喜の声をあげる。

獣人の血が流れる者達にとって、番を得る事はどんな幸福にも勝るのだ。




フローラルが目を覚ますと、目の前は男性の胸板だった。

がっちりと抱きしめられたまま、顔を上にあげると先ほどの男性ザラスと目があった。


「あの、ザラスさま、ここはどこですか?」


「私の邸だ。ここで2人きりで暮らそう。」


「ふ、2人?使用人の方達は……」


「通いの者を数人雇うが、基本2人きりでの生活になる……嫌だろうか?」


「い、いいえ!だ、だ、大丈夫です!」


『いきなりご褒美きたー!この美男子が夫で、しかも2人きりの新婚生活!!』


「で、ではわたくし、頑張って家事を覚えますわ。」


「貴女は何もせず、私の側にいるだけでいい。」


「その、夫、になる方に、手料理を作って差し上げたいのです。ダメでしょうか?」


物理的に上目遣いでしか話ができないフローラルだが、おねだりは効果覿面だった。


「通いの侍女を1人増やして、その者に教えて貰うがいい。」


「はい。ザラス様。」

にっこりと微笑むフローラルにまたザラスは口付ける。


「なるべく婚姻を急いでするつもりだ。それまでは婚約期間となるが、夫婦の契りを交わすため、沢山慣らしていかねば………貴女は小さいから。」


『そ、そ、それって、あれですよね?男女のアレですわね?』


確かにザラスの体格ではフローラルが受け止めるには練習が必要だ。

ザラスと見つめ合うだけで、身体は火照り、下腹部がうずいている。フローラルもザラスに一目惚れしたのだった。


「あ、あの、わたくし、まだ閨教育は受けていませんので、その………ザラス様に全てお任せしたい、です。」

真っ赤になりながら、フローラルが言い終わるやいなや、ザラスの理性は切れて消滅した。


その夜から夫婦の熱くて長い夜が始まったのは言うまでもない。


こうして、フローラルの後ろ盾は無事王弟ザラスが務め、そのまま婚約を交わした後、ザラスの邸で暮らすことになったのだが、当初通うはずの学園にフローラルは通えていなかった。


ザラスが邸に閉じ込め誰とも会わせなかったからだ。


通いの侍女から生存確認は取れている。

日中ザラスは甲斐甲斐しくフローラルの世話を自らこなして、溺愛し、フローラルはザラスの為に家事を覚えているらしい。


しかも、何故か庭に畑を作り出したとの情報も入る。

野菜やハーブ、薬草などを2人で楽しそうに植えているらしい。


影からの報告書には毎回激甘な新婚生活が記されていた。

それをうんざりしながら皇帝レオンは毎日読んでいる。


ザラスは騎士団長の仕事を放り出し、ベッタリとフローラルにくっついて離れない。


2週間たったころには、副団長や騎士達から陳情があがり、皇帝自らがザラスの邸に出向く事になった。

なぜならザラスが呼び出しに一切応じないからだ。


知らせを受けた2人は、嫌がるザラスを何とか宥め、フローラルがザラスと一緒に玄関ホールに立った。


ザラスの愛を一心に受け、満足気なフローラルが出迎える。


「フローラル姫、何か不足はないだろうか?弟は暫く落ち着かないが、婚姻すれば、その、少しは落ち着くはずだ………」


獣人は番と身体を繋げることで、だんだんと落ち着くのだが、まだ少女のフローラルに、そのまま伝える事は憚られた。


「ザラス様が恐れ多くも、いつも気にかけてくださるので大丈夫です。」


少し頬を染めて話すフローラルを見て兄であるレオンは衝撃を受けた。


『ザラスよ!お前はどこまで手を出したのだ!!』


そんな兄の心配をよそにザラスが口を開く。


「私の可愛い子ウサギ。お前のためなら何でもしよう。」


デレデレザラスの降臨に兄は目を疑った。


いつも冷静沈着な弟は見る影もない。


「ザラス様、皇帝陛下もこうして足を運んでくださっています。そろそろお仕事に向かわれてはどうですか?

わたくし、お仕事を頑張るザラス様にお弁当を作って、持って行きたいのです。」


督促状を何度か目にしていたフローラルはザラスの職場を心配した。


「私の可愛い子ウサギを、騎士団の野獣達の目に晒すなんて、できない!!」


「まあ、ザラス様、わたくし、ちゃんと変装していきます。侍女服なんてどうですか?」


「可愛いのは間違いない。可愛いは正義だ。だが、変な男に絡まれでもしたら!!」


その後も、2人のデレデレな会話に耐えられなくなった兄、レオンは会話をぶった斬るため特例を出す事にした。


「ザラスよ、お前の執務室を大幅に改造しよう。隣にフローラル姫が日中過ごせる部屋を用意する。キッチンもつける。なんだったら、そこで暮らせるようにしてもいい。とにかく仕事をしてくれ。」


最後は切実な願いだ。

戦争は今のところないが、魔獣狩りや要人の警備、国境警備など国を守る騎士団の仕事は多い。

ザラスはその頂点に立ち、最終判断を下すのだ。

いくら有能な部下達がいても長が居なければ機能しない。


国防大臣はその上だが、ザラス不在の穴は大きく、日に日にやつれていき、昨日はとうとう倒れてしまった。



「ザラス様、婚姻すれば、また休暇が必要になりますわ。わたくし、早くザラス様の妻になりたいのです。ですから仕事を早く終わらせて皇帝陛下に婚姻の許可を頂きましょう?」

真っ赤な顔をしてフローラルがザラスに言う。


「私の子ウサギ、貴女の為に人生最速で仕事を終わらせて、兄から婚姻をはやめる許可をもぎ取ろう!」


「はい、お願いします、ザラス様。」


「とりあえず、最速で貴族院に婚姻届を用意させる。それまで我慢してくれ。」

兄レオンはうんざりした顔をしながらも、弟の幸せそうな顔を嬉しく思っていた。


『最愛を見つけたのだな、ザラス。おめでとう。』


いつも、どこか冷めた目をした弟をレオンは気にかけていた。自分が争いの種になる事を憂い、兄である皇帝に絶対の忠誠を誓い、周囲に見せつけ、国内の貴族令嬢と結ばれる事を拒否し、いつも1人でいた弟。


部下からは慕われ、時に力でねじ伏せ、他国にもその力を見せつけてきた孤独な一匹狼が、まるで犬のようにフローラル姫になつき、守る姿に兄であるレオンは安堵した。


守る者ができたザラスは今まで以上に力を発揮して帝国を安定させるだろう。


「私の可愛い子ウサギ、愛している。」


「わたくしも、ザラス様をお慕いしています。」


その後、ザラスの執務室では膝の上にフローラルを乗せて職務に励む姿が目撃されるようになる。



大きなザラスの身体にすっぽりと包まれている姫は嫌がる素振りもなく、いつも幸せそうな顔で過ごしている。


ザラスの溺愛はその後も緩むことなくフローラルを包み、人の前に殆ど晒すことはなかったが、たまに姿を見せるフローラルは溢れんばかりの笑顔をザラスに向けて幸せそうに過ごす姿が目撃された。



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― 新着の感想 ―
[気になる点] 途中まではすごく良かったですが、いきなり頸に噛み付くあたりから気持ち悪くて読んでません。普通の歳の差恋愛ものを求めてました
[気になる点] 傲慢な帝国、傲慢な皇帝、傲慢な皇弟。 結果的に問題なく受け入れられたとて、他国他人の意志はないものと無視する所業が許されるわけではない。
[一言] 1人だけのビッチ?がいい。 田舎はする事ないから、その辺の意識は低いよね。
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