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2.ビジネスコンテスト開幕!!

翌朝、目覚めると時刻は6時。

この学園の一時間目は普通の高校に比べると遅い。

一時限目は午前8時50分からで、90分授業。授業も単位制なので、人によって帰る時間も異なる。

まあ一年生は普通科目がほとんどなので、そんなに変わらないのだが。

とりあえず、日課のランニングをするために着替え、ランニングシューズを履いて外に出る。この時間特有の静けさと、ひんやりとした空気が俺は好きだ。

このランニングは中学1年生の春から続けているのでかれこれ3年間続いている。

毎日30分走るというのが俺の日課だ。

「せっかく島なんだし、海辺でも走ってみるか。」

海辺沿いまでくると、そこも綺麗に整備されていた。

所々に屋根つきのベンチがあり、カップルにもちょうどいいだろう。

走っていると浜辺にも降りることができる場所があったので、降りてみた。

「朝の海は気持ちいいなぁ。」

太平洋の真ん中に浮かぶこの島は、周辺に他の島はなく、どこを見ても水平線が見える。

日に照らされて、ゆらゆら揺れる海を眺めていると、心が穏やかになってくる。

こんな穏やかな気持ちになれる場所があるのはいいな。毎朝来たいぐらいだ。


「ジョン〜待ちなさい!」


後ろから声がしたので振り向くと突然タックルをくらい、背中から砂浜に倒れた。


「うわぁぁぁ」

「もう、ジョンったら。ごめんなさいね。大丈夫?」

「ワンワン!!」

「なんとか・・・、にしても大きくて立派な犬ですね。」


抱きつくと150cmはありそうな、ゴールデンレトリバー。そして、その飼い主と見受けられる白いワンピースと麦わら帽子の女性が上から心配そうに俺を覗き込んでいた。透き通った白い肌と、アーモンド形の綺麗な瞳に思わずドキッとしてしまう。


「君は、この学園の新入生?」

「はい。経営コースの藤堂正義といいます。」

「あら、経営コースなのね。私は、時任芹那。経営コースの2年生よ。正義君はどうしてここに?」

「朝のランニングが日課で、今日も時間があったのでせっかくだし海辺でも走ってみるかという感じです。」

「そうなのね。私もジョンの散歩が日課なのよ。いつもここら辺を散歩しているからまた会えるといいわね。ほらジョン、そろそろ正義君から離れなさい。」

「く〜ん・・・」

「ふふっジョンに気に入られたみたいね。ほらまた今度遊んでもらいましょう。それでは、またね。」

「はい、また。」


そう言って芹那さんは優雅に歩いて行った。


「見たことのないくらい綺麗な人だったなぁ。あんな先輩と一緒に学園生活を送れるとはこれから楽しみだ。そろそろ俺も戻るか。」


寮に帰ってシャワーを浴び、学校の荷物を持って食堂へ。

朝ごはんはビュッフェ形式になっており、好きなものを選んで食べることができる。

朝ごはんを食べ終えると8時。

今日は初日だし、早めに行った方がいいだろうと考えて学校に向かう。


寮から学校へは自転車で5分。お気に入りのSHIMANOのシティサイクルにまたがり、学校へ。

経営者コースはAクラスとBクラスとに分かれており、それぞれ40人ずつらしい。

掲示板をみると俺はAクラスだった。

「おはよう。昨日は楽しかったね。よく寝れた?」


教室に入ると凛から声をかけられる。


「えっもしかして俺たちまた同じクラス?」

「なによ。いやなの?」

「いや、そんなことはないけどさ・・・これで幼稚園の年少さんからずっと一緒だろ?もう何かの陰謀が働いているとしか思えないんですけど・・・」


この腐れ縁は一体どこまで続くのかと思いつつも、少し嬉しさを感じる俺。

誰も知っている人がいない中で凛がいるのは正直言うとありがたい。


「二人って幼馴染なん?」

「うん、そうよ。ほんと、生まれた日から同じで、家は近所、幼稚園・小学校・中学校・高校とずーっと同じなんだから。誰かに仕組まれてるとしか思えない。」

「それはすごいやないか。未来創造学園まで同じってたぶんこの学園始まって初めてといってもいいかもしらへんで。あっ俺の名前は新田剛。剛ってよんでくれや。これから1年間よろしくな。」


剛は大阪の出身らしい。小さい頃から野球一筋で、将来はプロ野球選手を目指していること。この学園にどうしてきたのかというと、メジャーリーガーになるためだということ。なにを隠そう、この学園の野球部はメジャーリーグからそのままスカウトがくるのである。


「今は野球選手も野球だけじゃあかん。他にもスキルを身につけとかな。おれは、野球選手&社長になりたいんや。」

「野球選手&社長かぁ。サッカー選手の本田みたいな感じか。なれたらかっこいいな。」

「せやろ?おれは確実になってっみせるで。そいで、お前は将来どうなりたいんや?」

「おれは、世界的に有名な起業家になる。」

「おっ、某海賊漫画みたいでええやんけ。それくらい大口叩くやつおれ好きやわ。俺たちで世界変えてやろうで。」

「やってやるか。わはは。」


「お前ら、いつまでお遊び気分でいるんだ?」

いつの間にか、誰もいなかったはずの教卓に一人の男が立っていた。金髪でサングラスに胸元まで開いた赤いシャツと白のズボン。どう見てもヤクザにしか見えない。

「現在8時55分。一時間目の開始からゆうに5分は過ぎている。それにもかかわらず、全員ぺちゃくちゃ喋りやがって。お前ら本当にここの生徒か?最初に言っておくが、今までの常識はここで全て捨てろ。平等平等言われ育ってきただろうが、それは嘘だ。世の中平等じゃない。億万長者の命と貧乏人の命の価値は違う。そのことを今ここで受け入れろ。唯一平等なのは一日の時間だけだ。これから先、そのことを肝に銘じて1分1秒無駄にするんじゃないぞ。いいな。」

「シーン・・・」

「いいな?」

「はい!!」

「(なに、あいつが担任?時代錯誤も甚だしくない?)」

「(やべーな・・・このクラス大丈夫かよ?)」


「とまあ、最初なんでびびらすことを言ってみました(笑)担任をすることになった、向井達也だ。よろしく。モットーは”いつも心にユーモアを”。どんな状況でもユーモアを忘れない。これが人生を楽しくする秘訣だ。経営者とは、楽しいことも沢山あるが、大変なこともたくさんある。だからこそどんな時でもユーモアを忘れないでほしい。」

見た目は怖そうだけれど、意外といい人なのかもしれないな。


「それでは本題に入ろう。この1年でみんなには経営者として必要なスキルを身につけてもらう。経営者に必要な力はなんだと思う?マネジメント力?先を見通す力?コニュニケーション力?いろいろあるが、その中でもプレゼン力は必要不可欠だろう。投資家から出資を募り、出資を決断させる。そこで1ヶ月後の5月10日にビジネスコンテストを開催する。本物の投資家たちが審査をするのでしっかりとな。個人でやってもチームでやっても構わない。プレゼンのやり方だったり、各種資料や動画教材は既にタブレットに送っているので自由に使ってくれ。以上。」


「ポカーン」


いきなりこれ?

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