あとがき 作成経緯と執筆後の感想
本作品を最後までお読み頂き、誠にありがとうございます。今作の作成経緯について、簡単に書きたいと思います。
私は一年前から、じゃぱちぇリアンという、大学将棋を舞台にした初心者用の将棋普及漫画を描いていました。(目次の一番下のリンクで読めます)そして、ありがたいことに家族や友人から沢山のご感想を頂きました。
その中に、ストーリーを描いた方が良い、という意見がありました。ルールを覚えたい人は興味が最初からあるし、わざわざ漫画という体裁をとる必要も無い、という事です。一理あると思いました。
そこで前から温めていた、詰将棋の力で人々の悩みを解決する神社の話を、形にしたいと思いました。漫画には将棋を題材にしたものが多くあるのですが、詰将棋に絞ったものが無く、寂しい気がしました。詰将棋も将棋と並ぶ、素晴らしい歴史があるからです。
しかし、漫画を描く工程は、構想、下書き、ペン入れ、仕上げ、とかなり時間がかかります。仕事で行うならまだしも、趣味として隙間時間で描くなら、完結は何年も先になるでしょう。実際、じゃぱちぇリアンも八ページ描くのに一か月以上かかっています。
であるから、私は小説として書くことに決めました。それにせっかくなら、じゃぱちぇリアンと対になるものを書きたい。つまり、漫画で書けなかったものを表現するのです。
だから、男主人公で和風の雰囲気があって、恋愛も含めた話の構想を練りました。色も緑と赤で対になっています。
だが、小説の執筆は難航しました。私は多くの本を読んできたのですが、これほどまでに大変な作業とは思いませんでした。神道や詰将棋の知識、モデルになる場所の裏取り。何より私自身、国語力が無く、文法も語彙も一から学ぶ必要がありました。本当に作家の方々は、偉大だと思います。
結局、文庫本一冊程度を書き終わるのに、半年以上もかかりました。しかも、最終回直前まで、添削作業が終わりませんでしたし、連載が終わってからも、もう一度読み直して誤字脱字の修正をしました。(エピローグも三日前まで空白でした)
読み返すと、プロローグとエピローグでだいぶ文体が違うと感じました。もし、次に小説を書く機会があるとするならば、もう少し読みやすい文章を書けるように頑張ります。
さて、詰将棋を題材にした本は世の中に多くあります。その中で、特に影響を受けたものを紹介しましょう
小説では、井上ねこ【著】『盤上に死を描く』(宝島社文庫、2019年)が有名でしょう。『このミステリーがすごい!』大賞第17回優秀賞を受賞した名作で、読まれた方も多いのではないでしょうか。物語と詰将棋の関わり方が実に見事で、感嘆させられるばかりでした。
実用書では、齋藤夏雄【著】『詰将棋の世界』(日本評論社、2021年)があります。文字通り詰将棋の世界を知るには必読の一冊で、私自身、詰将棋の奥深さを再認識させられました。お恥ずかしい話、フェアリー詰将棋や悪魔詰はこの本で初めて知りました。こうした、聞きなれない単語にも丁寧に解説がされている名著です。
もちろん、詰将棋の問題集も詰将棋パラダイスをはじめ、たくさんあります。只今の将棋ブームに加わって、詰将棋ブームが来ることを願ってばかりです。
また、本作品ではあえて、出版元の分かる詰将棋を使用しています。これは、詰将棋の図を発表した時、過去に発表された問題と誤って被ってしまい、権利問題に発展することを防ぐためです。また、オリジナルの詰将棋を三つほど掲載していますが、一つは失敗作ですし、他の二つは、誰でも作れる価値の低いものであり、問題は無いと思います。何卒、ご了承願います。
最後に、本作品はたくさんの人々のおかげで完成された作品だと思います。それは、将棋や詰将棋の文化を守り続けた人々、神社を守る神主もそうですし、僕の人生に影響を与えた人々や本など、挙げればきりがありません。
その中でも、特に小説を書くことを勧めてくれた友人のY君には、とても感謝しています。おそらく、「君は絵よりも文章の方が上手い」という一言が無ければ、この小説は存在しなかったでしょう。
そして、何より、忙しい時間の中から本小説を最後までお読み頂いた読者様。本当にありがとうございました。皆様方の生涯が、より良いものになるよう祈っております。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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