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宮廷鍛冶師の幸せな日常 ~ブラックな職場を追放されたが、隣国で公爵令嬢に溺愛されながらホワイトな生活送ります~  作者: 木嶋隆太
第一章

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第47話


 ゴーラル様に呼ばれ、彼の部屋へと向かう。

 一体何だろうか?

 俺から特に報告するということはないし、何か問題を起こしたという記憶もなかった。


 俺が知らない間に何かしてしまったのだろうか?


 憂鬱な気持ちとともにゴーラル様の部屋をノックする。

 返事があり、中へと入るといつもの厳しい視線でこちらを射抜いてきた。


「お久しぶりです」

「ああ、そうだな。早速だがおまえに手紙が届いている」


 ……手紙? わざわざ俺に手紙を送ってくる人間に心当たりがなかった。

 俺が首を傾げながらその手紙を受け取る。

 文字の読み書きは一応できる。その送り主の名前を見ると……レベルトだった。


「一応、オレ宛にも同じ内容の手紙をということで送ってきたのだが……簡単に言えば、おまえに会いたいという話だな」


 手紙を開いて中身を確認する。

 ゴーラル様が言った通りだ。


 レベルトは俺に「鍛冶の依頼をしたい」そうだ。


「どうする?」

「はい。鍛冶の依頼であれば喜んで受けさせていただきます」


 俺がそういうと、ゴーラル様は頷いた。


「そうか。それならばそのように返事をしておこう」

「承知しました、よろしくお願いします」


 ゴーラル様に一礼をした後、俺は部屋を後にした。

 それにしても、鍛冶の依頼か。

 一体どのような依頼なのだろうか?




 それから三日が過ぎた。

 俺の鍛冶工房へと訪れたレベルトが満面の笑みを浮かべた。


「エイレア魔鉱石が手に入ったんだ。だからキミに依頼をしようと思ってね」


 なんだって!? 驚いてそちらを見る。

 レベルトとともについてきた騎士が俺のほうに一つの箱を運んできた。


 中を確認すると、確かにレベルトが言っていたようにエイレア魔鉱石が入っていた。


 魔鉱石は魔物の体内から回収できる。しかし、強い魔物が必ずしも高レアな魔鉱石を持っているわけではない。

 運に左右されるというのもある。弱い魔物が優秀な魔鉱石を体内に持っているということも稀にあるからだ。


 だから冒険者たちは、日々そんな夢を見て魔物を狩っているそうだ。


 そして、エイレア魔鉱石ともなると、本当に本当にレアだ。エスレア魔鉱石と比較すればもちろん劣るが、エスレア魔鉱石自体がまず流通しない。エスレア魔鉱石で作った剣などは、家宝として大事にされるような代物だ。


 そして、目を見張るべき点はそこだけではない。

 箱の中に入っていた素材へと目を向ける。エイレア魔鉱石とともに入っていたのはビーレア魔鉱石だ。そちらはそこまで有名ではない。


 問題なのはその次だ。

 ……そこにあった爪と牙。その立派なそれを俺は一度だけ見たことがあった。


「……ドラゴンかこれは?」

「ああ、そうなんだよ。領内にドラゴンが出現してね。その討伐を行ったんだ。その際にエイレア魔鉱石が手に入って、その牙と爪を手に入れたんだ。だから、キミに鍛冶を依頼したい」


 またもやあっさりと言ってのけた彼だが、ドラゴンの討伐なんて非常に大変なものだ。

 優秀な冒険者たちが集まり、ようやく討伐できるような魔物なんだ。


「一人で討伐したのか?」

「いやいや、一人は無理無理。騎士たちと連携してどうにかこうにか討伐したんだよ。それでまあ、僕もそれなりに活躍したってことで報酬を分けてもらえることになったんだよ。それがこれね」


 なるほどな。


「エイレア魔鉱石を核としつつ、ビーレア魔鉱石で足りない分を補うということは可能かな?」


 ビーレア魔鉱石が入っていたのはやはりそういう意図があるのか。

 エイレア魔鉱石だけで剣を作るにはさすがに少し足りない。


「もちろんだ。でも、その場合だとさすがに純粋なエイレア魔鉱石の剣と比較すれば劣るけど大丈夫か?」

「ただ、この量じゃ作れて短剣が精々だろう? まあ、ある程度妥協するのは仕方ないと思っているよ。僕が欲しいのは剣、だからね」


 ……そうか。

 俺は手に持ったエイレア魔鉱石を見て、興奮していた。

 何度かエイレア魔鉱石を加工したことはあったのだが、再びこうして依頼されるとは思っていなかった。


 やはり、鍛冶職人としての血だろうか。

 ドラゴンの牙と爪もそうだが、これほどの素材を目の前にすると興奮が抑えられなくなる。


 ……早速鍛冶を始めようか。

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