第37話
しかし、午後はそれ以上売れることはなかった。
……うーん。武器のランクを分けた効果はそこまで出なかったかもしれないな。
これは反省点だ。
結局、今日の売り上げは五十一万二千ゴールドだ。
……前回からかなり伸びたのは、言うまでもなくあのリグという行商人のおかげだな。
また来た時に購入してもらえるように、次回の市でもそれなりのものをいくつか用意しておいたほうがいいかもしれないな。
「今日はたくさん売れたね」
「……ああ、アリシアも接客お疲れ様。アリシアのおかげもあるよ」
「そんなことない。フェイクの商品が良いものだから、これだけ売れたんだよ」
そんな話をしながら片づけを終え、市を出ようとした時だった。
イヴァスとウェザーがこちらへとやってきた。二人とも笑顔だった。
「こんにちは、フェイクさん!」
「はい、お久しぶりです」
イヴァスが元気よくそう言ったと思ったら、ウェザーが俺の方に顔を向けて来た。
彼の目はとても輝いていた。
「この剣、凄いな! まさか、こんなに使いやすいなんて思っていなかった!」
「そうですか、良かったです」
俺がそう返事をすると、イヴァスがこちらを見て来た。
「それで、ちょっと相談なんですけど……オーダーメイドとかって出来るんですか?」
「ええ、できますけど……何か注文したい感じですか?」
「はい。その、剣は非常に使いやすいんですけど、僕はもう少し短いものが欲しいなぁ……と思って。そういうのって可能ですかね?」
……なるほど。ロングソードよりも短い剣か。ダガーとかだろうか?
「可能ですよ。ただ、どのようなものを求めているかはっきりとさせる必要があります。オーダーメイドになると多少金額も上がりますし……また後日詳しい話を聞くというのは可能でしょうか?」
今日はもう遅いのでそう提案すると、イヴァスがこくりと頷いた。
「はい。お願いします!」
「そ、それなんだけど……オレは逆にもうちょっと幅広の長剣が欲しいんだ。そういうのも可能なのか?」
ウェザーがすっと手を挙げてきて、そんなお願いをしてきた。
「はい、大丈夫ですよ」
俺が答えると彼の目がぱっと輝いた。
「空いている日とかありますか?」
「そうですね……いつでも大丈夫ですよ」
「そ、それなら明日とか冒険者ギルドの掲示板前に集合とかどうですか!? 僕たちもいつでも都合のつく時間で大丈夫ですよ!」
「それなら、明日の午前九時に集合して一緒に冒険と武器屋巡りをしませんか?」
「え!? 冒険ですか!?」
「はい。実際に戦っている場面を見させてもらって、どのような剣を作るか考えたいです。また、武器屋を巡って似たような剣があれば、それを参考に出来ますし」
「……わかりました! それじゃあ明日はよろしくお願いします!」
二人はぺこりと頭を下げて来た。
「それではまた明日」
「はい!」
イヴァスたちとはそこで別れ、俺はアリシアへと視線を向けた。
「というわけで、明日は予定が入ったな」
「うん。それじゃあ、明日は一緒に冒険、だね」
「え、アリシアもついてくるのか?」
「……フェイクって戦闘も出来る、って言っていた」
「まあ、宮廷に入る前は自分で素材を集めていたしな……」
「それも含めてみてみたい」
「……分かったよ。アリシアもそれなりに戦えるんだよな?」
「うん、大丈夫。足手まといには、ならないよ」
それなら安心だな。
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