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宮廷鍛冶師の幸せな日常 ~ブラックな職場を追放されたが、隣国で公爵令嬢に溺愛されながらホワイトな生活送ります~  作者: 木嶋隆太
第一章

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第31話




 部屋に戻ると、アリシアがいた。……風呂の後なのだろう。僅かに髪は湿っている。薄着というのもあって、とても色っぽく見えた。

 ……部屋には彼女の香りと石鹸の匂いが混ざり、眩暈がするような良い匂いで充満している。


 ……ちょっと、ドキドキしてきてしまった。


「お父さん、認めてくれた?」


 アリシアが少し体を傾ける。その動きで胸元の緩い衣服だったのもあり、少し見えてしまった。

 も、もうちょっと意識してほしいものだ。アリシアは自分が世界でも上位に入る美少女であることを自覚しているのだろうか? いや、していないんだろうな。


 だからこんな無防備な姿をさらせるのだ。……そりゃあ、ゴーラル様も心配するか。


「まだ早いって。まあ、普通の鍛冶師なら一日でそのくらいは売り上げるからな」


 俺はあくまで週に一度だ。

 まずはどうにかして店舗を持ち、もっと販売数を増やす必要がある。


 とはいえ、いきなり店舗を持ったところでお客様が来てくれるとも限らない。

 店舗を持つとその維持費もかかってしまうため、ある程度固定客が出来るまでは、市で売っていくのが良いだろう。


 アリシアの正面に座った俺は、それから彼女をじっと見た。


「な、なにかな……変なところ、あるかな?」


 彼女は恥ずかしそうに前髪をいじっている。俺は笑みを浮かべ、改めて彼女に礼を伝えた。


「……宮廷をやめたら、行くところがないと思っていたけど、アリシアのおかげで助かったよ」

「そ、そう? 良かった」

 

 だからこそ、彼女の力になる必要がある。

 俺は先ほどゴーラル様から聞いていた話を思いだす。


「そういえば、明日レベルトという貴族が来るそうだ」

「……うん、知っている。明日はレベルトに会う必要がある」


 アリシアの眉間にしわが寄る。それだけで、彼女があまり会いたくはない存在なのだと分かった。


「……そうか。その、悪いな。そういう人を遠ざけるために俺に婚約者の申し込みをしてきたっていうのに、まだ全然力になれてなくてさ」

「そ、そんなの気にしないで!」


 強くアリシアが言ってきた。俺を気遣ってそういってくれたのだろう。嬉しさはあったのだが、気遣わせてしまったという申し訳なさもある。

 アリシアは、そのままさらに口を開いた。


「た、ただ……レベルト苦手だから……その、話が終わったあとは会いに行ってもいい?」

「……ああ、分かった。明日は鍛冶工房にいるから、いつでも来てくれ」

「うん」


 嬉しそうにアリシアが微笑む。それから、アリシアは体を軽く動かした。


「どうした?」

「そ、その……今日、いつもと少し格好が違うんだけど……ど、どう?」


 いつもと違う……。

 確かに、普段の彼女はもう少し肌の露出が控えめの服を着ている。


 しかし今日は、先ほども言ったように動けば胸元が見えるような服だ。それに、半袖を身に着けているため、彼女の健康的な腕がさらけだされていた。


 しっかりと運動しているのだろう。程よく筋肉のついた腕は、見とれるほどに美しい。

 正直な話をするのなら、触ってみたいと思うほどだ。


「……そ、そのどうってどういうことなんだ?」


 俺はアリシアが一体何を聞きたいのか分からなかった。

 とても魅力的で、そして蠱惑的でもある。彼女は俺を試しているのだろうか?


「え、えっと……その。こんな格好したら男はいちころだって……」

「……誰が?」

「……レフィが」


 なるほど、あの人の入れ知恵だったのか。確かにアリシアが普段はしないような恰好だ。

 つまり、感想を聞きたいのだろう。将来の伴侶のために。

 あくまで俺の意見ではあるが……


「……今のアリシアと、結婚なんてしていたら……たぶん、俺は理性が持たなかったと思う」

「つ、つまり……いちころ?」

「あ、ああ……その、部屋入った時に驚いたな」

「……そ、そっか」


 アリシアは嬉しそうに微笑んだ。どうやら望む答えを与えられたようだ。


「……そっか。この格好、フェイク好きなんだ」

「い、いやその……」

「わ、私……その、あんまりお胸とか大きくないけど……その、フェイクは……問題ない?」


 問題ないというのはどういう意味だ。その発言自体が問題ではないだろうか。

 ただ、別に俺はサイズについて気にしたことはない。しかし、それをはっきりと言うのはまた恥ずかしい。

 俺が声に出せずにいると、アリシアがさらに顔を寄せてきた。


「好きじゃない?」

「……嫌いじゃない」


 ……やめてくれ。自分の好きな人の顔が目の前まで迫って、よくそんな声を絞り出せたと思う。

 まったく言葉を詰まらせることがなかった俺を褒めてほしいくらいだ。


 俺の返事を聞いたアリシアは少し照れ臭そうに笑いながらも、上機嫌に部屋を去っていった。



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[良い点] アリシア可愛いなあ
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