第29話
すでにこれだけで前回の稼ぎよりも増えている。
「イヴァスさん。先ほどロングソードで解体などもしていると話をしていましたが、ロングソードを見せてもらってもいいですか?」
「あっ、はい」
イヴァスにそういった俺は彼からロングソードを受け取る。鞘からロングソードを抜き出し、魔力情報を確認する。
……うん、だいぶプログラムが崩れ始めているな。
「エンチャントって知っていますか?」
「えーっと確かロングソードを強化するために鍛冶師さんがしてくれる奴ですよね?」
「そうですね。内部の魔力情報をプログラムというんですけど、大分無茶な使い方をされたようですね? 結構崩れ始めてしまっています」
「そ、そうなんですか……それって直せるんですか?」
「はい。鍛冶師であれば直せますね。このエンチャントによって、ロングソードの質は大きく変わります。今回はサービスで直しますが、次回からは一度で5,000ゴールドになりますので、あまり無茶な使い方をしないようにしてくださいね?」
「はい……分かりました。ありがとうございます!」
イヴァスのロングソードを修復した俺は、彼へとロングソードを戻した。
「それじゃあ、また今度来ますね!」
「はい。もしも、まとまったお金が出来たら鍛冶のオーダーなども受けますので気軽に声をかけてくださいね」
「分かりました!」
イヴァスとウェザーがすっと礼をして、立ち去っていく。
それを見ていたアリシアが嬉しそうな声をあげる。
「凄い。先週よりももう稼いだね」
「そうだな。……それに、あの二人の冒険者がこれから俺の武器を使って結果を出してくれたら、純粋に嬉しいな」
「鍛冶師は、そういうところの楽しみもあるんだね」
一度昼休憩を取り、午後にまた販売を開始する。
すると、行商人風の男がこちらにやってきた。
恐らくだがここで仕入れを行い、別の街で販売するのだろう。
「……ふむ、ロングソードとナイフを売っているんだね?」
「はい。見てみますか?」
俺はそういって彼に机の商品を見せた。彼はじっとナイフを見てから、驚いたように目を見開いた。
「……これは、イーレア魔鉱石を使って作ったね」
「よく、分かりましたね。良い目をされているんですね」
鍛冶経験があれば分かると思うが、すぐに見破れるのは良い商人の証だ。
「ふふ、これでも行商をして長いからね。……いいね、これ。ナイフとロングソード、それぞれ1本ずつ頂いてもいいかい?」
「分かりました……金額ですが――」
それから多少の交渉をした。
俺としては合わせて五万ゴールドくらいで売りたかったが、向こうも商売人だ。
「もう、敵いませんよ。それでは、合わせて三万五千ゴールドで。その代わり、フェイクの鍛冶屋の宣伝お願いしますよ?」
「ああ、もちろんだよ。ありがとね」
にこっと、行商人は微笑み俺は代金を頂いた。
行商人が立ち去り、俺は小さく息を吐いた。
もしかしたら、彼のおかげで今後お客が増えるかもしれないからな。
それから、陽が落ちるまで
今日の売り上げは――
「ロングソード二本とナイフ二本……合わせて、七万五千ゴールド……やったね、フェイク」
「ああ、アリシアのおかげでもあるな」
あれからさらに売れることはなかったため、今回の売り上げはこんな感じだ。
先週よりも一気に増えたため、悪くはないだろう。
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