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宮廷鍛冶師の幸せな日常 ~ブラックな職場を追放されたが、隣国で公爵令嬢に溺愛されながらホワイトな生活送ります~  作者: 木嶋隆太
最終章

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200/202

第41話



「それでは、着替えのお手伝いをさせていただきます」

「……ああ、分かった」


 立派な服だ。

 これ俺に本当に似合うのだろうか? そんな疑問とともに着替えを行われていく。

 あっという間に服を着替えさせられた俺は、それから鏡と向かい合う。


 鏡に映る俺は……まだどこか緊張しているというか服に着られているように見えた。

 俺が自分でそう見えるのだから、他人から見ればさらにそう見えるかもしれない。


「どこか息苦しさはありませんか?」


 メイドの問いかけに、俺はその場で軽く動いてみる。

 似合う、似合わないはともかくとして、体にはぴったりと合っていた。


「……そうですね。とりあえず、問題ありませんね」

「そうですか? とりあえず、少しの間その服を着てもらって、動いてみてください。何かご気づきの点があれば、遠慮なくいってくださいね」

「分かった」


 少なくとも、今の体格を維持できればまったく問題はなさそうだよな。

 結婚式までもうそれほど時間はないんだし、ここから大きく体が変化することはないはずだ。


 メイドはしばらく俺の服をじっと眺め、全身を確認してくれている。

 俺も鏡を使い、背中側などを確認していると、部屋の扉がノックされた。


 メイドが扉を開けに行くと、そちらにはリガードさんがいた。

 リガードさんに一礼をして、メイドは一度部屋から出る。二人きりになったところで、リガードさんがこちらをじっと観察してきた。


「フェイク、似合っているじゃないか」

「……ちょっと、着られている感じがしませんかね?」


 鏡を見ていて気になったのはその点だ。

 俺の言葉に、リガードさんは大きく笑った。


「まあ、まだ慣れていないようには見えるがそれは何度か着ていれば慣れるはずさ。窮屈さはないか?」

「そうですね。とりあえず、問題ありません」

「それなら良かったよ。とりあえず、フェイクのほうは問題ないとすればあとはアリシアのほうか」


 苦笑しながらリガードさんは部屋に置かれていた椅子に腰かける。

 俺は汚したら大変なので着替えたかったが、しばらく着用してみてくれとも言われていたので、そのままの格好でリガードさんの向かいに座る。


「やっぱりウエディングドレスのほうが調整は難しいんですかね?」

「どうだろうな? まあ、腕がよいからそう大きく変えることはないと思うが……でも、この数ヵ月でアリシアが太っていたら話が変わってくるかもしれないな!」

「アリシアに直接確認してみますか?」

「言えるわけないだろう。結婚式の前に葬式が開かれるかもしれんぞ」


 なんでそんな体を張って冗談を言うのだろうか。

 リガードさんは苦笑しながら、言葉を続ける。


「それにしても、いよいよアリシアも結婚かぁ。ウエディングドレスまでできたとなると、実感が増すものだな」


 感慨深そうにリガードさんは隣の部屋を見ている。そちらでは、今頃アリシアが着替えを行っているはずだ。

 俺もつられるようにリガードさんの視線の先を見ていると、リガードさんは懐かしむような表情になる。


「昔は兄の後ろを追ってくる可愛い子だったな」

「……そうなんですね」

「そうなんだ。昔はオレのことを慕ってくれていたのだが、いつからだろうな。あんな冷たくなってしまったのは」


 冷たい、というかしっかりするように事実を伝えているだけのような気がするが。


「亡き母に似て少し引っ込み思案なところはあったな。ただ、あれだけ物をずばずばいうのは、オルレーラに似たのかもしれないな。……お兄ちゃんとしてはもう少しオレに優しくしてくれたら嬉しかったのだが」

「十分、優しいと思いますよ」

「まあ、そうだな。シーフィに比べればかわいいものだな」


 はっはっはっと大きな声を上げて笑う。


「そういえば、シーフィさんは一緒じゃなかったんですね」

「結婚式に向けて衣装の準備もあるからな。家のほうも落ち着いているし、一度帰らせたんだ」

「そうですか。お二人の結婚式はまだなんですか?」

「むぅ……それはどうだろうな。オレとしてはまだ籍を入れたくはないんだが……何やら父は乗り気だし、向こうも乗り気だし……フェイク、何かいい策はないか?」

「……おめでとうございます」


 やんわりとリガードさんから逃げるようにそういうしかなかった。

 しばらくリガードさんと話していると、部屋の扉がノックされた。

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[一言] 祝、200話 \(^o^)/
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