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宮廷鍛冶師の幸せな日常 ~ブラックな職場を追放されたが、隣国で公爵令嬢に溺愛されながらホワイトな生活送ります~  作者: 木嶋隆太
最終章

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第24話



「……途中で声をかけてくれても良かったんだぞ?」

「夢中だったから、邪魔したら悪いと思って」

「……そっか。ありがとな」


 儀礼剣に求められるのは大きく分けて二つだと感じた。

 一つは、一般の人に向けた見た目での豪華さ。こちらは、鞘を中心に装飾に拘っていくことで作れるだろう。

 もう一つ。こちらが結構問題だ。

 それは、儀礼剣を手にする主役の人に、その剣を手にする覚悟を確認させることだ。


 これははっきり言って難しい。儀礼剣を手にする覚悟=今回であれば俺がバーナスト家に入るということで、アリシアは妻になるという覚悟。

 それを儀礼剣を持った人たちが自覚できるようにする必要がある。


 儀礼剣を打つ俺が、その剣を握る人に負けないほどの熱意を込める必要があるというわけだ。


 かなり大変ではあるが今後儀礼剣を作るようになるなら、避けては通らない道だ。

 頑張らないとな。


「第四話 儀礼剣のために」


 次の日。

 ひとまず店へと向かった俺だったが、まだ儀礼剣を作る予定はない。

 

 とりあえずは、冒険者たちと関わりたいと思っていた。

 フェイクの鍛治工房へとついた俺はとりあえず店を開ける準備を始めるため、裏口から中へと入った。


 室内は……綺麗だ。

 しばらく来ていなかったが、中は使用人たちが掃除をしてくれていたそうだ。

 その証拠とばかりに、埃などは一つもなかった。


 さすがの腕前だ。

 それでも、店を開く以上念のために一応中を確認し、汚れなどがないかを確認する。


 あとは、作った剣でも並べていこうか。

 こちらに戻ってきてから、店で並べるための剣は作っていた。


 それらはすべて箱に詰め、俺と一緒に来ていた護衛たちが運んできてくれている。

 店の方まで持ってきて箱から剣を取り出し、並べていく。


 それにしても……一人で開店作業をするというのは初めてかもしれない。

 今日はアリシアもレフィもいない。

 というのも、アリシアは屋敷でゴーラル様の手伝いがあるそうで、レフィもそちらについている。


 アリシアがいないと、寂しい部分はあったがアリシアも用事があるのだから仕方ない。

 商品を並べたところで、店内をじっと眺めた。


 とりあえず、商品の準備は終わった。

 さすがにそこまで充実した品揃えとは言えないが、今日はひとまずお店を開くのが先決だ。


 さすがに一ヶ月近く店を空けていたからな。

 もしかしたらもう皆この店の存在さえ忘れてしまっているかもしれない。


 店を閉める前は、たくさんのオーダー依頼が来て、受けきれずに断ってしまっていた。

 ……それらのお客さんが再び来てくれるかどうか。

 今後はオーダー依頼を中心に受けていくのか、それとも今みたいに汎用的な武器を並べるのか。

 今日の客入りを見て、今後のお店の方針を決めていこうか。


 時間になったところで店の入り口を開けると、すぐに一人がやってきた。

 イヴァスだ。


 入り口の辺りできょろきょろと覗き込んできていたのだが、カウンターにいた俺と目が合うと、彼は嬉しそうな表情とともに中へと入ってきた。


 久しぶりに見かけるイヴァスは、前よりもなんだか逞しくなったように見える。

 ひとまわり体が成長したというか、冒険者向きの体になったように思える。


 装備も武器以外は一新したようだ。防具などは、かなり立派なものになっている。

 俺がいない間にさらに力をつけたのだろう。

 短期間でここまで変わるなんて、イヴァスの努力は凄まじいものがあるな。


「フェイクさん! やっぱり戻ってきてたんですね!」


 やっぱりってどこかで見かけたとかだろうか?

 確かに屋敷に行くまでの道で見かけている人もいるだろうし、情報も出ているだろう。

 それにしても元気な声だ。

 無邪気な子どものように目を輝かせているイヴァスに、訊ねる。


「戻ってきたの、知ってたのか?」

「はい! フェイクさんたちのと思われる場所が街に来たって聞きました! それから毎日開店時間に様子を見にきていたんですけど、会えてよかったです!」


 なるほど。

 それですぐに来てくれたのか。

 毎日とはありがたい限りだ。もっと早くお店を開けに来ればよかったと、ちょっと後悔だ。


「イヴァスも元気そうで何よりだよ」

「まあ、それだけが取り柄ですからね! あの、フェイクさんってまだ武器のオーダーとかのお願いをしても大丈夫なんですか?」

「え? ああ、別にいいけどどうしたんだ?」


 わざわざそんな質問をされるなんて思っていなかった。

 今は工房を開けたばかりなのでオーダーも入っていない。

 依頼してくれるのなら、むしろこちらから頼みたいほどだが、イヴァスはどうしてそんな質問をしてきたのだろうか?

 そもそも今日工房を開けたのは、オーダーが多いようならそれをメインに、少ないようならまた店頭に武器を並べる方式にしようと思っていたからだしな。

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