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宮廷鍛冶師の幸せな日常 ~ブラックな職場を追放されたが、隣国で公爵令嬢に溺愛されながらホワイトな生活送ります~  作者: 木嶋隆太
第一章

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18/202

第18話


「それでは、私はここまでにさせてもらいます。お二人の時間をお楽しみください」


 何か、意味深な言い方をしてレフィは再び姿を隠した。

 アリシアの護衛兼、専属メイドであるレフィは、さすが護衛といえるほどの身体能力をしている。

 

 ちなみに、彼女は俺とアリシアの関係についても知っているようで、何か困ったことがあれば彼女に相談するようアリシアからは言われていた。

 

 アリシアをちらと見ると、彼女の頬は赤く染まっていた。


「大丈夫、か?」

「う、うん。大丈夫、だよ。それで……さっきの続きなんだけど。お父さんへのアピールの一環で、その……手を繋いでもいい……かな?」


 アリシアが顔の横まで手を持ち上げる。その白く柔らかそうな手がアピールするように開いては閉じてを繰り返す。

 細くしなやかな指だ。思わず見とれるようなその手に、俺はこくりと頷いた。


「……ゴーラル様へのアピールには必要なんだよな?」

「うん。ど、どこでお父さんの騎士に見られるか分からない……から」

「そうだな」


 この街はゴーラル様の騎士が巡回を行っている。だから、アリシアの言葉は的外れではない。

 もしかしたら騎士たちも、ゴーラル様から監視するように命じられているのかもしれない。


 アリシアが俺の隣に並ぶ。その手をぎゅっと握りしめる。


「あっ……」


 アリシアが短い声をあげる。その声はどこか嬉しそうだったのは、俺の気のせいだろうか? それとも、驚きだっただろうか?


「わ、悪い……いきなり握って……」

「……だ、大丈夫。その異性の方とこうして手を繋いで歩いたことがなかったから、ご、ごめん。汗ばんでない……?」


 気にするのはそんなところなのだろうか。

 触れた瞬間は僅かに冷たいなと感じていたアリシアの手は、五分と経たずに熱を持ち始めた。


 ……照れているのだろうか。そして、それは彼女だけではなく俺もだった。もしかしたら、俺の熱がアリシアに伝染してしまったのかもしれない。

 そう考えると、途端に恥ずかしくなってくる。これまでまったく女性と関わってこなかったのが、完全に裏目と出ている。


 彼女の白い頬に朱色が混じり、俺を見上げるどこか照れたような笑顔に心臓がどくんと跳ねた。


 ……落ち着け。落ち着くんだ俺。

 俺たちはあくまで偽装の関係なんだ。可愛いとか、このままずっと見ていたいとか思ってはいけない!


 俺は何度も深呼吸をして心を落ち着けながら、アリシアとともに街を歩いていく。

 初めこそ緊張していたが、今は随分と慣れたな。

 ……こうして街を目的もなく歩くのはいつぶりだろうか。


「……ゆっくり出来るって、いいな」


 俺がそういうと、アリシアの俺の手を握る力が強くなった。

 そちらを見ると、彼女はすべてを受け入れてくるような笑顔を浮かべていた。


「これからは、こうやってゆっくりしていて大丈夫、だからね」


 ……アリシアは優しい言葉をかけてくれたが、さすがに怠惰なままではいられない。

 今の生活を続けるには、まずゴーラル様に認められる必要があるからな。


「まあ、前ほど余裕なく仕事はしないけど、それでも鍛冶師としての腕は磨いていかないとだからな」

「……うん。でも、無茶はしないで。約束」


 アリシアの言葉にすっと頷き、俺はそのまま街を歩いていった。

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