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宮廷鍛冶師の幸せな日常 ~ブラックな職場を追放されたが、隣国で公爵令嬢に溺愛されながらホワイトな生活送ります~  作者: 木嶋隆太
最終章

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第10話



「まあでも主役はあんたたちでしょ? 最悪、周りがなんと言おうとも結婚を認めたのゴーラル様なんだし、そんなに難しく考えなくてもいいんじゃない?」

「情けない姿を見せると、ゴーラル様の評価にも繋がりますよね?」

「まあでも、一番はあんたとアリシアが楽しめればいいんだしね。跡継ぎってわけじゃないんだから、何か問題起きてもリガードのせいにしちゃえばいいわよ」


 ぐっと親指を立ててくるシーフィさん。

 シーフィさんらしい言葉に、苦笑する。


「それはさすがにできませんよ」

「まあ、あんたの性格なら大丈夫そうよね」


 そういって、シーフィさんはひらひらと手を振って去っていった。

 リガードさんやシーフィさんが言う通り、もっと気楽に望んでもいいんだよな。

 ……楽しむ、か。

 アリシアとの結婚についてを想像した後、俺は一つだけ。どうしてもやらなければならないことがあると思った。


 結婚の挨拶を、まだしていない人がいるんだよな。

 その話を、オルレーラさんにしにいこうか。





 アリシアと婚約者になったときは……本気ではない、というのは語弊はあるが、あくまで一時的なものになってしまうのではないかという考えもあった。

 それこそ、アリシアが宮廷で俺にそう言ったときはアリシアが俺を気遣っての偽装の関係なのではと思っていた。

 何より、俺は平民で彼女は貴族であり、絶対に結ばれないのではないかと考えてしまっていた。


 ……しかし、日が経つにつれ俺たちの関係は変わっていった。

 ゴーラル様が婚約者として認めてくれたおかげで、今は結婚するという状況にまでなっていた。


 アリシアを想う気持ちに嘘偽りはない。

 まだ残っていた不安な気持ちはあったが、リガードさんやシーフィさんは俺の不安をなくすような言葉を言ってくれた。


 だから、俺も自信を持たないとな。

 ……前に、進まないと。

 宮廷での生活から、自分に自信を持つことができなくなっていたが、そんな俺ではアリシアの隣――バーナスト家の人間にはふさわしくないだろう。


 だからこそ、俺はアリシアと結婚する前にどうしてもやりたいことがあったため、オルレーラさんのもとへと来ていた。

 扉をノックすると、中から物音が聞こえ、オルレーラさんが姿を見せた。


「いらっしゃい、フェイクちゃん。ささ、中に入って!」

「失礼します」


 オルレーラさんが、微笑とともに出迎えてくれ、部屋へと招き入れてくれる。

 綺麗で落ち着いた部屋だ。用意された椅子の対面に腰掛けると、オルレーラ様も向かいに座った。


 ニコニコとした微笑を浮かべていた彼女が、こてんと小首を傾げた。


「それで、どうしたのフェイクちゃん」


 俺の方をみながらそう訊ねてきたオルレーラさんに、小さく問いかける。

 オルレーラさんへの面会について希望し、それを使用人から伝えてもらってはいたが、その詳細については話していなかった。

 オルレーラさんに、直接自分の口から伝えたかったからだ。


「アリシアと結婚式を挙げることになったのは、ご存じですか?」

「うん。聞いたわ。楽しみね」


 やはり既に知っていたみたいだ。とはいえ、これは一つのケジメとして、俺はオルレーラさんに頭を下げた。


「その、改めてになりますが、アリシアを必ず幸せにしてみせます」

「それはもちろんしてもらうわ。でもね、フェイクちゃんも一緒に、ね?」

「……は、はい。ありがとうございます」


 ウインクとともにそう言ってきたオルレーラさんに、改めて深く頭を下げた。


「お話ってそのことだったの?」

「それと、もう一つありまして……アリシアの……その、亡くなったお母様のお墓参りに行きたいと思いまして……それで、場所を教えてほしいんですけど」


 俺の問いかけに、オルレーラさんは微笑を崩さない。

 ……オルレーラさんに挨拶をするのは当然として、アリシアの実母にも挨拶する必要があるだろう。


「リーンのお墓の場所ね。別にそれは教えてあげてもいいんだけど……どうして私に聞きに来たのかね?」


 オルレーラさんはからかうようなそんな調子で言った。

 オルレーラさんの言い分ももっともだ。

 アリシアの実母――リーンさんの墓の場所を聞くなら、恐らくアリシアに聞くのが一番だ。

 別に気まずいとかそういったことではなく、俺は俺一人で一度墓参りに行きたいと思っていた。

 だから、オルレーラさんに聞きに来たのだ。


「アリシアとの結婚について。少しだけリーンさんに話したいといいますか……それがちょっとだけ、恥ずかしいといいますか」

「つまり、さっきみたいな内容をリーンにも、ってことよね?」

「……そうですね」


 別に先程の内容を声に出すわけではないのだが、気持ち的に一人で行きたかった。

 俺がそう言うと、オルレーラさんは納得するように頷いたあと、


「それなら、私に任せてちょうだい。私が案内するわ。もちろん、アリシアちゃんには内緒でね」


 胸を叩き、自信にあふれた笑顔とともに言った。

 もちろん、案内してもらうのは嬉しいことなのだが、当然俺の心情的には複雑な想いもあるというわけで、聞き返す。

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