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宮廷鍛冶師の幸せな日常 ~ブラックな職場を追放されたが、隣国で公爵令嬢に溺愛されながらホワイトな生活送ります~  作者: 木嶋隆太
最終章

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第6話


 兵士の武器をないがしろにするつもりはないが、例えば今の精神状態のままエスレア魔鉄の加工などをお願いされたとしても……できるかどうか分からない。

 ただ、バーナスト家の鍛冶師ならば、それも当たり前にこなさなければいけないだろう。

 リガードさんは俺が作った剣を手に取ってから、言葉を続ける。


「まあ、鍛冶については自分で納得するしかないとは思うが、一応言っておくな。オレとしては、アリシアがフェイクと結婚してくれたらいいな、とは思っているんだ。オレから見ても二人はお似合いだし、何よりアリシアがお前にぞっこんみたいだからな」

「そ、そう……ですかね?」

「ああ。それになにより、オレの本性を知ったのだからもう逃げられては困る」

「本音はそっちですか?」

「そんなことはないさ! オレとアリシアの間にフェイクを挟めば、アリシアが優しくしてくれるかもーとかは全然考えてないからな」

「考えてるんですね」


 リガードさんの言葉に苦笑する。

 緊張した空気をほぐすために、リガードさんは冗談を口にしている部分もあるだろう。半分くらいは本心の気もするが。

 第一、アリシアのリガードさんへの態度は、俺が間に入ったところでこれまで通り変わらないはずだ。


 この屋敷に来てからもアリシアのリガードさんへの対応は同じだったからな。

 俺がいないときのアリシアとリガードさんのやり取りを知らないため、比較はできないがきっと今以上に優しくなることはないんじゃないかな?

 好き勝手に言い終えたところで、リガードさんは苦笑する。


「まあ、オレだって別に家を継ぐことを真剣には考えていないし……でもまあ、結婚してなんだかんだでやっていくんだろうな、とは思ってる。そのくらいの気持ちでいいんじゃないか?」

「リガードさん、なんだかんだ言って才能ありますよ?」

「それを言ったらフェイクもだぞ?」


 リガードさんはそう言ったあと、さらに言葉を続ける。


「まあ、自分で納得するしかない問題だろうな、これは。結婚式までまだ時間はあるんだし、それまでに心の準備をしていけばいいんじゃないか? それを含めての今の発表なんだろうしな」

「……そう、ですね」


 もしも俺の能力が足りないと判断されれば、きっとゴーラル様から拒否されるはずだ。

 俺は手に持っていた剣を箱へとしまいながら、席を立つ。


「リガードさん、わざわざ心配してくれてありがとうございます」


 ぺこりと頭を下げると、リガードさんは何とも言えないような表情とともに目をそらした。


「あ、ああ気にするな。義弟が困っているというのなら手を貸さないわけにはいかないからな」

「……リガードさん」



 リガードさんの優しい言葉に、胸が熱くなる。

 アリシアはもちろんだが、その家族たちも皆優しいよな。

 俺はなんと恵まれているのだろうか。

 そんなことを考えていると、リガードさんはぽつりと口を開いた。


「……それで、なんなら一つ義兄の頼みも聞いてくれないか?」

「先に言っておきますけど、町の管理とかそういったことの力にはなれませんよ?」

「大丈夫だ……! ……この下着について確認したいんだが」


 そういって、リガードさんは真剣な表情とともにポケットから一枚の下着を取り出した。

 それは可愛らしい女性物の下着だ。

 って、え!?


「り、リガードさんのですか!?」

「違うわ馬鹿者! これはこの屋敷の何者かの物だ!」

「ぬ、盗んできたんですか……?」

「そんなわけないだろうっ。オレは命令すれば堂々ともらえる立場だぞ! そんなせこい真似はしない!」

「た、確かに……」


 堂々と下着をくれ、と言っているリガードさんの姿を想像してしまい、意外と様になっているのではと思ってしまった。

 いかん、リガードさんに失礼だ。

 その想像を頭から追い出し、俺は再度問いかける。


「じゃあ、どうしたんですか?」

「いやな。オレの部屋の前に落ちていてな。どうしようかと思って。……誰のか分からないか?」

「お、俺に分かるはずないじゃないですか! なんでそんなこと聞いてくるんですか」


 突拍子もない質問の数々に困惑していると、テーブルに下着を置いてリガードさんは腕を組んでいた。

 今すぐポケットにしまってほしいのだが、リガードさんにそんな気配は微塵もない。


「もしかしたら、これは――シーフィかアリシアのものじゃないかと思ってな」

「……それは、なぜですか?」


 理由次第では、リガードさんを見る目が変わるかもしれない。

 俺の問いかけに、リガードさんは真剣な表情で言った。


「使用人の仕事の順番的にオレの部屋で服を片付けたあと、シーフィかアリシアの部屋に行くんだ。となると、この下着は二人のうちのどちらかのものではないかと思ってな。それで、ひとまず仕事は終わりだしな」


 リガードさんの冷静な分析に安堵しながら、テーブルにある下着をじっと見る。

 アリシアかシーフィさんのもの、か。

 い、いやあまりじっと見ては失礼だ! 視線を外しながら、口を開く。


「なら、二人のどちらかに確認して届ければいいんじゃないですか?」

「……万が一、ハズレのほうを引いてみろ。きっとあれやこれやと言われるんじゃないか?」


 この状況を見られたらすでにあれやこれやと言われそうだが……。


「それなら、レフィとか使用人に渡すのはどうですか?」


 直接渡すよりも精神的な負担も少ないだろう。


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