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宮廷鍛冶師の幸せな日常 ~ブラックな職場を追放されたが、隣国で公爵令嬢に溺愛されながらホワイトな生活送ります~  作者: 木嶋隆太
最終章

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第4話



「はは、早く作らないといけないだろう? 跡継ぎをさっさと産んでもらって、とっととオレは譲るんだ!」

「そ、それは…………はぁ……」


 シーフィさんの照れたような笑顔は一瞬で呆れ顔に。

 その変化に気づかず、リガードさんはのん気な様子で自分の考えに感動していた。


「……そうか。さっさと跡継ぎを作れば、オレの仕事も減らせる……な。今まで、考えたこともなかったぞ!」


 じろっとした目を向けるシーフィさんと、それに気づかないリガードさんに苦笑しながら、俺は一つの心配事について考えていた。


 それは、俺がアリシアにとって相応しい人間になれたのかということだ。


 わざわざゴーラル様から結婚式についての手紙が来たのだから、ゴーラル様は俺を認めてくれたということなんだろう。

 結婚式自体はまだ先になると思うが、今の俺がアリシアの隣に立てるだけの人間になれたのか……それが心配だった。

 未だ能天気に跡継ぎについての妄想を膨らませるリガードさんの話に耳を傾けながらも、俺の心にはそのことが引っかかっていた。


「第一話 悩み」



 次の日の朝。

 朝食の後、特に予定もなかった俺は鍛冶工房へと来ていた。


 うだるような暑さの外を乗り越え、鍛冶工房へと到着した。

 入り口を開け、中へと入る。鍛冶工房内も外とそう変わらない暑さだ。

 汗をぬぐいながら、俺は鍛冶を行うための準備を始める。


 シーフィさんの問題が片付いてから、特にこれといって仕事というものはなかったので、鍛冶をする必要はなかった。

 今の俺は自由に過ごしてもいいと言われていたので、わりと自由には過ごしていたが、時間があるときはいつも鍛冶工房に来ていた。

 一日一回は鍛冶をしないと感覚が鈍ってしまうからだ。


 軽く深呼吸をしてから、俺は素材へと視線を向ける。

 今日の鍛冶へと臨む気持ちは、いつもの数倍はあった。

 ……アリシアと結婚する以上、今以上の鍛冶師にならなければ周りは認めてくれないはずだ。

 ゴーラル様は、多少俺に対して優しく、あっさりと認めてくれたが、他の家はそう簡単にはいかないだろう。


 平民の俺がアリシアとの結婚を認めてもらうには、努力するしかない。

 早速、剣でも作ろうか。

 リガードさんに何か作るものがないかと聞いたところ、一応、バーナスト家に仕えている兵士の剣などは新しいのを用意するつもりだと話していた。

 だから、彼らの武器ならば自由に作っても問題ないと言ってもらっていた。


 俺は素材として用意されていた魔鉄をいつものように溶かしていく。

 準備を終えた俺は鎚を振るいながら昨日のリガードさんの書斎でのやり取りについて考えていた。


 結婚式、か。

 結婚式の日程について、現在日程を調整しているらしいが、しばらく先になるだろうということだった。


 その最大の理由は、結婚式当日に俺とアリシアが身に着ける正装にある。

 特に、ウエディングドレスがどれだけ早くても六ヵ月ほどかかるらしい。


 日付に関しては、この際どうでもよい。

 確実に分かっていることは、俺とアリシアの結婚式が行われるということだ。

 

 結婚式を終えれば、晴れて俺とアリシアは婚約者から夫婦になる。

 それは、とても嬉しいことではあるが……喜んでばかりもいられないよな。

 俺は、一平民からバーナスト家に婿入りした人間として見られるようになるんだ。


 俺は打ち終わった剣を手にもって、仕上げの風魔法で研ぎながら、首を横に振る。


 出来上がった剣は……ダメだ。こんな剣では、とてもアリシアの夫として相応しくないはずだ。

 見た目はしっかりとしているのだが、エンチャントに乱れがある。

 魔鉄の声に耳を傾け、エンチャントを細かく調整していく。


 しかし、なかなかうまくいかない。結局、調整を終えるのにかなりの時間がかかってしまった。

 なんとか出来上がった剣のエンチャントも、とりあえず形にはなっているがいつもよりも不安定なものだ。

 ……やっぱり、ダメだよなぁ。


 出来上がった剣を一度テーブルに置き、ため息を吐きながら椅子に座る。

 俺がアリシアと結婚できるのは、鍛冶師としての腕を見込まれているからだ。


 つまり、こんな剣しか作れない鍛冶師では、バーナスト家に貢献できるはずがない。

 いつでも最高の剣を作れるように、さらに研鑽を積まないといけない。

 バーナスト家に入ればより一層、それが求められるはずだ。


 新しく剣を作ったり、エンチャントの訓練を行っていたとき、鍛冶工房の入り口が開いた。

 ちょうど一息ついていたところだったので、手に持っていた剣をテーブルに置いてそちらへと視線をやる。

 リガードさんだ。こちらに気づいた彼は、少し申し訳なさそうに視線を下げた。


「邪魔してしまったか?」

「いえ、大丈夫です。ちょうど休憩していたので」


 俺は近くに置かれていたタオルへと手を伸ばし、汗を拭う。

 リガードさんがこちらへと来ながら、製作した剣たちを見る。

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