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宮廷鍛冶師の幸せな日常 ~ブラックな職場を追放されたが、隣国で公爵令嬢に溺愛されながらホワイトな生活送ります~  作者: 木嶋隆太
第三章

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第43話



「……というわけだ。フェイク。まあ、こうなるだろうとは思っていたのでそこでキミの出番だ」

「……どういうことですか?」

「向こうはグロスか誰かにしろ、確実に勝利するために魔剣を使って戦おうとするはずだ。だから、オレに魔剣と打ち合えるだけの最高の剣を作ってはもらえないか?」


 リガードさんがすっと頭を下げてきた。

 魔剣と打ち合えるほどの剣、か。

 そう簡単に作れるものでは決してない。だが、シーフィさんと何よりリガードさんの力になりたいという気持ちはあった。


「……分かりました。ただ、エスレア魔鉄はないんですよね?」

「……そうだな。一応、いつも仕入れている相手から魔鉄は大量に仕入れて、鍛冶工房には運んである。その中から最高の剣を作ってほしいんだ。頼めるか?」

「やってみます」


 答えると、リガードさんはじっとこちらを見てきた。


「分かった。任せるぞ。……ただ、今回はあまり長い時間はかけられないかもしれない。いずれ、シーフィがここにいることはバレるだろうしな」

「……はい」

「できる限り早くに、剣を作ってほしい。……無理を言って済まないが、頼む」

「もちろんです。早速、工房に行って剣を見てみたいと思います」

「ああ。頼んだ。一応、オレが普段使っている剣も工房に運んである。作るときの参考にしてくれ」

「分かりました」


 リガードさんも趣味程度に鍛冶をすると言っているだけあり、鍛冶師が用意してほしいものというのを分かってくれているようだ。

 俺はリガードさんに頷いて返し、それから工房へと向かった。




 工房に到着した俺は、さっそく運ばれているという魔鉄を見に行く。

 前までなかった箱の中には、たくさんの魔鉄が入っている。

 

 一応、魔鉄の種類ごとに分かれており、部屋にはエイレア、ビイレア、シーレア魔鉄の三種類があった。

 ……エイレア魔鉄はさすがに個数は少ないが、どれもかなり良質なもののようだ。


 まずはエイレア魔鉄を一つずつ確認していくが、どれも質は良いのだが声は微弱にしか聞こえない。

 ……今回作る剣は魔剣に打ち勝てるような剣だ。


 まずは、剣の核になる部分を見つけ出し、それからそれと相性の良い魔鉄を探していきたい。

 できる限り声の強い魔鉄を探すため、次はビイレア魔鉄を一つずつ手に取っていく。


 うーん、ちょっと微妙だ。

 魔鉄自体は悪くないのだが、どれも自己主張が小さい。

 他の魔鉄と組み合わせれば力を発揮してくれそうだが、魔鉄と打ちあいたい強い気持ちを持つ魔鉄たちはいない。


 俺は全員に声をかけるときに、『魔剣と戦いたい子はいるか?』という感じで問いかけている。

 そう訊ねると、『いや、大丈夫っす……』みたいな感じの反応になってしまうのだ。


 魔剣と戦いたいほどの魔鉄はそうはいないのだろうか?

 そう思いながら最後のシーレア魔鉄を確認していく。

 同じように声をかけていくが、それまで以上に否定の声が強くなっていく。


 低ランクの魔鉄のほうが、自信もなくなってしまうのだろうか?

 ……仕方ない。エイレア魔鉄のどれかで妥協して作るしかないかもしれないな。

 

 そう思いながらもシーレア魔鉄を一つずつ手に取っていくと、


「……っ」


 驚くほどの気迫が返ってきた。

 思わず手からこぼしそうになるほどの力強さ。

 俺はそのシーレア魔鉄を改めて確認する。


 ……内包される魔力はシーレア魔鉄なのだが、他の魔鉄たちとは明らかに違う。

 その迫力だけでいえば、エスレア魔鉄に並ぶほどのものがある。


 ただ、これに気づくには魔鉄の声を聴きとれる人間でなければ分からないのかもしれない。

 だからこそ、こうしてシーレア魔鉄の中に乱雑に入れられているんだしな。


「……本当に、いいのか?」


 シーレア魔鉄から感じ取れた、魔剣とやりあいたいという気持ちを確かめるため、再度問いかける。

 俺の問いかけに、シーレア魔鉄は人間でいう頷くような返事を返してきた。


 暴れたいという強い思い。

 ……少々やんちゃすぎる気がしないでもないが、このくらいのやる気があるのは俺としては悪くない。

 持ち主を選びそうな魔鉄ではあるが、加工をしっかりできればかなりの剣ができあがるだろう。


 一体どれほどの剣ができあがるのか。考えただけで緩みそうな口元を引き締めながら、どのように加工していくかを考える。


 このシーレア魔鉄は確かに強い。

 だが、刀身として使うにはさすがに魔剣とやりあえるだけの力はない。

 この魔鉄は核として据えるとして、基本はエイレア魔鉄で加工していくしかない。


 比較的戦いたがっているエイレア魔鉄と、足りない分はビイレア魔鉄で補おうか。


 準備を終えたところで、早速それらを溶かして合わせようとしたところで、シーレア魔鉄が反発した。


 ……やはり、ただのシーレア魔鉄ではない。

 内包している魔力自体はそこまで多くはないので、魔力量だけで判断するならば確実にシーレア魔鉄なんだがな。


 どのような姿になりたいのかを聞いても、まるで反応してくれない。

 ……エスレア魔鉄のときとは、また違う反応だ。


 何の返事もない魔鉄に、しばらく問いかけていくと、シーレア魔鉄はそのままの姿でいたいと答えた。

 ……このままの姿? 一体どういうことだ。

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