第41話
「ちょっと、このくらいで顔真っ赤にしておこちゃまね」
「お、おこちゃまとか関係ない……。変なこと質問しないで」
「変なことじゃないでしょ? いずれはぶち当たる問題じゃない」
「それなら、シーフィだってそう。兄さんとはどうなの?」
「は、はぁ?」
アリシアからの反撃に、シーフィは僅かに赤面する。
アリシアがにやりと笑い、追撃する。
「兄さん、朴念仁だからアピールしないと一生関係が進まないよ?」
「そ、それは……その……っ。今はいいでしょ!? 今は、あんたたちの話をしに来てるのよ!」
無理やり話を打ち切って、シーフィはぷいっとそっぽを向いた。
それから、シーフィはじっとこちらを見てくる。
「ねえ、フェイクはどうなのよ? アリシアとの関係、どこまで行きたいと思ってるのよ?」
「ど、どこまで行きたいって……何がですか」
「えー、それ言わせようとしてんの? ね、アリシア。どこまで行きたいのよ?」
「へ、変な聞き方しないで。……フェイクも無理に答えなくてもいいからね。うん、無理には」
無理にはと言っているが、何やら伺うような視線だ。
これ、答えろと言われているのと同義ではないだろうか。
二人の視線から逃げるように外を見ると、レフィと目が合う。もちろん、彼女からもじーっと探るような目を向けられる。
ここには俺の敵しかいないようだ。リガードさんがいれば助け舟を出してくれたかもしれないのに……っ、と思ったけど、あの人もたぶん敵に回るか……。
俺は恥ずかしさこそあったが、答えないわけにはいかなかったので、仕方なく口を開いた。
「……そ、それはまあ、えーっと、許されるならどこまで、でもっていうか……」
「なるほど。だそうよ、アリシア」
「も、もう……フェイクのエッチ」
エッチって。
別に具体的なことは表現していなかったが、アリシアは頬を染めていた。
「まあでも良かったわ。変な奴じゃなくて。変な奴だったらぶん殴ろうかと思っていたのよね」
危なかった。
強気なシーフィさんの言葉に頬が引きつる。
「ていうか、リガードは相変わらずねぇ。しばらく会わない間に変わったかと思ったけど、相変わらず情けないっていうか」
「……兄さんは、まあ、そう」
「……魔剣のことも、大丈夫なのかしら? 何か、いい作戦が思いつきそうだとか言っていたけど……信用できるかどうか」
「リガードさん、何か作戦を考えているんですか?」
「そうみたいよ。今は作戦を詰めたいからって追い出されたのよね。あいつ、本当に作戦なんて思いついたのかしらね。本当はあたしを追い出したいだけなんじゃ……あ、あいつそんなにあたしのこと嫌いなの……?」
不満そうにしていたシーフィさんはどんどんと落ち込んだ様子になっていく。
最後には泣き出しそうなほどになってしまっていて、アリシアがため息をついていた。
「そんな顔するなら、兄さんにもっと本音をぶつければいいのに。好きなことアピールしないのが悪い」
「あ、アリシアみたいにはできないわよ! 恥ずかしい!」
「人を恥ずかしい呼ばわりしないで……っ」
むぅっとアリシアがシーフィさんを睨む。
「ま、まあ二人とも落ち着いて。リガードさんなら、きっと良い作戦を思いついたに違いありませんよ。シーフィさんだって、リガードさんがなんだかんだ優秀なのは分かっていますよね?」
「……まあ、そうね。情けないことばっかり言うんだけど、本気だせば凄いし、まあ情けない顔も可愛く見えるし、別にあたしはいいんだけどね」
「……そ、そうですか」
恥ずかしそうに惚気るシーフィさんに、俺はリガードさんの言っていたことを思いだす。
リガードさん、シーフィさんの気持ちにまったく気づいていないんだな……。
「シーフィさんって、リガードさんのこと大好きなんですね」
「だ、大好きじゃないわよ! 勝手なこと言わないで……っ」
「い、いやだって、今だって好意駄々洩れだったじゃないですか」
「そ、そんなことないわっ。す、好きくらいよ……」
「立派に好きじゃないですか」
しかし、シーフィさんんはそれを否定するように首を横に振っていた。
その姿に苦笑する。
シーフィさんが来た時は落ち込んでいるように見えたが、ひとまずは元気な様子で良かった。
アリシアの表情も明るくなっていて、本当に良かった。
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