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宮廷鍛冶師の幸せな日常 ~ブラックな職場を追放されたが、隣国で公爵令嬢に溺愛されながらホワイトな生活送ります~  作者: 木嶋隆太
第三章

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第39話



「……ええ、そうなのよ。それについて詳しいことを話したいんだけど、まず魔剣について皆は知ってる?」


 シーフィさんの問いかけに、リガードさんたちが頷き、代表してリガードさんが答えた。


「魔剣はあれだろう? 特殊な魔鉄を加工したときに生み出されるものだろう?」

「ええ、そうよ。それが、あたしの家にもある、と思うのよ」

「……ある、と思う? どういうことだ?」


 シーフィさんはリガードさんの問いかけに、すっとポーチを取り出した。

 それを開くと、中から二匹のハムスターが現れた。

 ハムスターたちはテーブルへと現れると、リガードさんを見て丁寧に頭を下げていた。


「わっ、可愛い」


 アリシアが目を輝かせる。

 彼女が手を伸ばすと、ハムスターたちはアリシアへと同じように礼を返していた。

 ……とても、礼儀正しい子たちだ。

 少しばかり空気が和んではいたが、今は重要な話の途中だ。


「シーフィ、おまえハムスターなんて飼っていたのか? というか、逃亡生活で持ち出したものがハムスターって……間抜けか?」

「は?」

「す、すみません。……ど、どうしたんだその子たちは?」

「……ブイトル兄さんと、バグラ兄さんよ」


 シーフィさんがそういった瞬間、皆が驚いたように目を見開いた。

 俺も、同じだ。

 ……兄さん、ということは恐らく長男次男たちのことではないだろうか。

 リガードさんが目を見開き、それからシーフィさんを見た。


「まさか、オストルア家の者たちはハムスターだったのか?」

「違うわよ! ぶっ飛ばされたいの!?」

「ひっ、いちいち睨むな。……さっきの魔剣の話から想像するに、まさか姿を変化させる魔剣でも持っているのか?」


 リガードさんの言葉に、シーフィさんはこくりとうなずいた。


「グロス兄さんが、手に入れた魔剣がどうやら相手をハムスターに変える力を持っているらしいのよ。それで、兄さんたちがやられたわ」

「……なるほど、な」


 にわかには信じがたいことだが、そういった魔剣があるというのは聞いたことがある。


「グロスも回りくどいことをするな。ならば、その魔剣とやらでブイトルとバグラを仕留めてしまったほうが早いだろう」

「ブイトル兄さんたちに挑むのは無謀だと思ったんでしょうね。勝てる可能性はあっても、確実じゃない。なら、不意打ちで変身させてしまって、それから仕留めたほうがいいって考えたんだと思うわ」

「……なるほどな」

「それで、具体的にやられた流れなんだけど……夜にちょっとした話があるって皆で集まってたときに、グロス兄さんにやられたのよ。あたしは、偶然魔剣の範囲から逃れたおかげで何とかなってすぐに逃げ出したけど、グロス兄さんがあたしに全責任を押し付けていったわけ」

「なるほど、な」


 リガードさんがその返答に納得した様子で頷き、腰を深く下げた。


「確かに、魔剣による影響だといったとしても、なかなか信じられることではないな」

「……そうでしょ? 魔剣だと分かったとしても、そんな能力があるかどうかなんて調べられるほどの鍛冶師なんてそうそういないし、仮に分かったとしても適当なことを言っていると言われればそれまでだし……どうすればいいのって感じなのよ……」

「……そう、か」


 シーフィさんはがくと肩を落としている。

 ……リガードさんは婚約者だからこそ招き入れたという様子だが、それでもシーフィさんの言葉のすべてを信じているわけではないようだ。

 感情的になってはいけない、というのが次期当主として必要なことなのかもしれない。


 そのとき、テーブルに乗っていたハムスターが動きだした。

 テーブルに乗っていたペンへと向かって動き、それを掴もうとしたので、俺が代わりに手に取った。

 ハムスターは体で支えるようにそれを持つと、ぺこりと頭を下げた。

 それから、近くの紙を指差す。


「……えーと、これでいいか?」


 俺が答えると、さらにハムスターは頭を下げた。

 それから、ゆっくりと文字を書き始めた。

 さすがにハムスターの体だからか、文字を書く速度はゆっくりだし、字も汚い。

 しかし、そこに書かれた文字は……リガードさんが口に出して読み上げる。


「ブイトルだ。助けて、か……」


 ハムスターたちはぺこりと頭を下げる。

 その様子にリガードさんは息を吐いた。


「シーフィ、よく訓練したな」

「ち、違うわよ! あんた、もう本当に信じ――」

「ああ、冗談だ。信じるに決まっているだろ。一応婚約者なんだからな……」


 リガードさんはあっけらかんとした様子でそういうと、シーフィさんは顔を真っ赤にうろたえる。


「……うえ?」

「あー、もう面倒くさいなぁ……一体何から手をつければいいのか……。フェイク、魔剣は確か、エンチャントの情報を読み取れればその効果を無力化とかできなかったか?」

 

 シーフィさんのそんな変化など一切見向きもせず、リガードさんは頭をかいていた。


「できると思います。実際に魔剣を奪い返せれば、元にも戻せると思いますよ」

「そうだよな。なら、奪い返せるような状況に持ち込んでしまえばいいんだな」


 しかし、そこにシーフィさんが言葉を挟んだ。


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