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宮廷鍛冶師の幸せな日常 ~ブラックな職場を追放されたが、隣国で公爵令嬢に溺愛されながらホワイトな生活送ります~  作者: 木嶋隆太
第三章

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112/202

第1話


 ゴーラル様からの頼みを受け、俺はこの街を離れることになった。

 何でも、息子さんが管理している街付近に迷宮が出現してしまったらしい。

 

 だから、俺はその手助けをするために向かうのだが、すぐに出発するというわけではない。

 店に来てくれるお客様達に話をする必要があるからだ。


 だから俺は今日も鍛冶工房にて、店を開いていた。

 数日の間、お客様たちに話をしていたのですでにほとんどのお客様には認知してもらっている。店の外には、しばらく店を閉める旨を書いた看板も置いているしな。


 ゴーラル様の話を聞く前に引き受けてしまっていたオーダーメイドも昨日すべて終えた。

 とりあえず。これでお客様の信頼を大きく損なうようなことはないだろう。


 そんなことを考えながら、店のほうで商品の整理を行なっていると、イヴァスがやってきた。

 今日は一人のようだ。いつも、明るい表情の彼が今日ばかりはどこか真剣みのある顔つきであったため、どうしたのだろうと目で追ってしまう。


 彼はまっすぐに俺のほうへとやってきて、俺の前で足を止める。

 いつもと違って、どこか真剣な顔つきであり、そこに僅かながらの疑問を抱きながらも、ちょうど良いタイミングだと思った。


 そういえば、まだ彼にはしばらくこの街を離れることは伝えていなかったからだ。


「フェイクさん! リールナムの街に行くという話は本当ですか!?」

 

 先に口を開いたのはイヴァスだ。

 リールナム。 

 それはゴーラル様の息子がいる街の名前だ。

 真剣な表情で問いかけてきたイヴァスに、恐らく彼が俺の状況を誤解しているのだろうことを理解し、苦笑する。


「行くって言っても一時的なものだからな? 向こうでの用事が終わったら、また戻ってくるよ」


 俺の言葉に、イヴァスはそれでもまだ不安を拭いきれないようで、質問を重ねてくる。


「い、一生ではないんですか!?」

「もちろん。予定が終わったらまた戻ってくるよ」


 俺が答えると、イヴァスはきょとんと目を丸くする。

 彼の表情の変化に苦笑を返すと、それからホッとしたような息を吐いた。


「あっ、そうだったんですか。これから、剣を作ってもらうときはリールナムに行く必要があるのかと思っていましたよ」

「そんなことはないよ。ただ、しばらくは忙しくなりそうだけどね」


 俺がリールナムに行ってやることは、魔物と戦うための武器を揃えることだ。

 リールナムにも鍛冶師はいるが、彼らでは人手が足りないから俺が呼ばれたわけで……そう考えれば、しばらくはこの街に戻ってはこれない可能性はあるけど。

 どのくらいかかるかは、迷宮の問題次第になるからなぁ。


「そうなんですね。やっぱり貴族の鍛冶師さんって大変なんですね」

「そう……なのかな?」


 イヴァスの表現にどう返せばいいか迷い、俺は曖昧に頷くしかなかった。

 他の家の事情を良く理解していないからだ。

 しかし、俺のそんな中途半端な返事に対してイヴァスは特に何か言ってくることはなく、腕を組んでいた。


「リールナムといえば、近くで迷宮が発見されたって聞きましたね」

「やっぱり、冒険者の間でも話題になってるのか?」

「そうですね。迷宮があるとその付近にも魔物が発生するようになりますし、迷宮から溢れる魔力が原因でなんか色々大変だって聞きましたね」


 イヴァスは腕をわちゃわちゃと動かして話している。

 子どもっぽい動きだ。


「なんか色々っていうか、迷宮の魔力が原因で周囲の土地とか魔物にも影響が出るんだよな」

「それです! ただ、悪いことばかりでもないとも聞きましたね」

「確か、土地によっては作物が育つようになることもあるんだったっけか?」

「あっ、なんか聞いたことあります!」


 イヴァスの言葉に苦笑する。

 迷宮については、まだまだ解明されていないことが多いのだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 小説がウェブより早い珍しい作品ですね。
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