第11話 アルゴス視点
オレはアルゴスだ。
現在オレは、魔物狩りに参加していた。
「おまえ、前にエンチャント受けてからどれくらい経ったんだ?」
「ん? ああ、一週間くらい前だな」
「それじゃあ、新しい武器に変えておいたほうがいいんじゃないのか?」
同僚の騎士がそんなことを抜かしていたが、オレはひらひらと手を振った。
「別に大丈夫だろ? 知っているか? オレたちの剣のエンチャントしている奴ってのは、フェイクって言ってな。超絶無能らしいぜ?」
「なんだそれ?」
「オレ、知り合いが鍛冶課にいるからよく足を運ぶんだがな。鍛冶長が教えてくれたんだよ。フェイクは才能ないからエンチャントに関しては気休め程度だってな。別に剣なんざ変えようとも変わらないんだよ」
「おいおい。無能かどうかは分からないけどさ、オレたちの仕事道具のメンテナンスを行ってくれている人にそういう言い方は良くないだろ? 実際、この剣で魔物を狩れているんだからそれだけで十分じゃないか?」
彼の言葉にオレはため息をつく。
つまらない男だ。共にフェイクの悪口でも話して盛り上がろうと考えていたというのに。
「そういえばよぉ、あそこの平民の騎士がこの前気持ち悪いことを言っててさ」
「アルゴス。いつも言っているだろ? 他人の悪口ばかり言うなって。聞いていてあんまり楽しくないんだぞ?」
「ああ?」
なんだこいつ? 他の貴族たちはオレの話題で盛り上がってくれているというのに。
他人の悪口は絶好の話題になるというのに、こいつは何も分かっていない。
彼とペアで魔物狩りなんて、ついてなかったな。せめて、知り合いの貴族と組めればもっと楽しく仕事が出来るってのによぉ。
しばらく魔物を探して歩いていくと、発見した。
「数は二体、ゴブリンだな。狂暴化しているそうだし、安全に狩るためにも、近くの騎士と連携して――」
そんなぬるいことを言っているので、オレはさっさと仕留めるために歩き出した。
「オレが行けばすぐに終わんだよ。さっさとやるぜ!」
「あっ、おいアルゴス!」
オレは静止の声を無視してゴブリンへと駆け出す。
ゴブリンたちは通常の個体よりもずいぶんと鋭い目つきでこちらを睨みつけてきた。
オレは握っていた剣を振り下ろす。ゴブリンはオレの攻撃をかわしてみせた。
「くそったれが! かわしてんじゃねぇぞ!」
魔力を込めまくって剣を振りぬいた。次の瞬間だった。
剣が悲鳴を上げるように音を上げ、その剣が砕け散った。
「え!?」
な、なんだよこれは!
オレが驚いて固まっていた次の瞬間だった。ゴブリンの攻撃がオレの顔面を捉えた。
「ぶべ!?」
い、いでぇ……っ! 血が出たのだろう。眼前が歪んでしまった。
追撃にゴブリンがとびかかってきて、その一撃に背中を殴りつけられる。
骨が砕ける音が響く。殴られた部位から焼けるような熱が全身を侵食する。
その熱はオレに痛みを伝えるには十分すぎた。
「い、いでぇよ! だ、誰がぁっ、だすげぇ!」
これまでに経験したことのないような痛みに、オレが訴えかける。
騎士がオレを助けようとゴブリンと交戦していたが、新しく現れたゴブリンに囲まれ苦戦していた。
「ぎゃぎゃ!」
ゴブリンが愉快そうな声をあげ、オレの体を棍棒で殴りつけてきた。
あまりの痛みに、オレはそこで意識を失ってしまった。
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