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宮廷鍛冶師の幸せな日常 ~ブラックな職場を追放されたが、隣国で公爵令嬢に溺愛されながらホワイトな生活送ります~  作者: 木嶋隆太
第二章

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第48話


 ホーンドラゴンの討伐が無事終わり、俺は久しぶりに店へと来ていた。

 とりあえず、商品を急いで追加しないといけない。

 そう思っていたのだが――。

 開店数時間前から、外にはたくさんの人であふれていた。


 な、何事だ?

 俺は困惑しながら、アリシアとともに外を眺めていた。


「な、なんなんだアレは?」

「わ、分からない。たくさん、人がいる……」


 理由は分からないが、外にはたくさんの人がいる。

 そのすべてが冒険者っぽい服装だった。

 一体、何があったんだ? それに、皆俺の店の前で待機している。

 え、営業妨害だろうか?

 アリシアとともに不安げに外を眺めていると、レフィがやってきた。


「フェイク様。外の冒険者たちに話を聞いてみました」

「な、なんだって?」

「オーダーメイドをお願いしたいそうです」


 オーダーメイド。

 なるほど、だからあんなにいるのか。

 いや、でもまだ開店前だぞ?


「もしかして、ホーンドラゴンの件があったからか?」

「そのようです。皆、ホーンドラゴンを倒したベルティ様の剣を打ったことを知っていますので、それでフェイク様にぜひとも剣を打ってほしい、と」


 ……な、なるほど。それで、開店前から列を作り、我先にと注文したいというわけか。


「どうするのフェイク?」

「もちろん、全部引き受けるつもりだ。せっかく、お店に来てくれたんだからな」


 この店をもっと有名にするためにも、ここで断るわけにはいかない。

 俺の手が追いつくまでの間は、全部引き受けるに決まっている。


「レフィ。とりあえず、外の人たちの中からオーダーメイドを受けるっていう人を裏口に回してくれるか? あっちから鍛冶工房に通して、一人ずつ注文について話していこうと思う」

「分かりました。すぐに対応します」


 ぺこりと頭を下げ、レフィが外へと向かう。

 

「それじゃあ、お店の方は私で対応する。任せて」

「ああ、分かった。それじゃあ行ってくる」


 俺はアリシアに店をお願いし、店の裏側にある鍛冶工房へと向かった。

 



 ひとしきり、オーダーメイドを引き受けていった。

 もらった注文は合計五十六本だ。

 来てくれた順番に引き受けた。


 基本的にオーダーメイドを受けるときに今持っている剣も貸してもらっているため、工房内には現在十本の剣が並んでいた。

 これは今日と明日で製作する分の剣だ。

 それ以降は、もう一度お店に足を運んでもらい、適宜剣や素材を渡してもらうことになった。

 すぐに対応できない人には、木札で作った予約券を渡してある。それを持ってきてもらうという形だ。


 正直言って、滅茶苦茶大変だ。

 オーダーメイドともなると一日に作れる数は三~五本程度が限界だろう。

 多めに見積もって、今の注文だけでも二週間近くは必要になる。

 

 けど、せっかく来てくれたんだ。できれば最高の剣を作らないとな。

 オーダーメイドの対応をする前に、一度店の様子を見に行く。

 すると、店内は賑わっていた。

 かなりの人たちが俺の作ったものを見て回っている。


「あっ! フェイク様!」

「オレ、ホーンドラゴンの戦いに参加していました! フェイク様の活躍、この目でばっちり見てました!」

「あ、ああ……ありがとう」


 俺に気付いた客たちがどんどん声をかけてくる。

 べ、別に俺は剣を届けただけなんだけど……。

 俺がホーンドラゴンを討伐したかのような盛り上がりに、困惑しながら対応していく。


「もう、本当凄かったです!」

「ばっさばっさと魔物を切り倒し……!」

「怪我をしている人たちを救い!」

「そして、そしてなんといってもホーンドラゴンを弱らせるための一撃を放った!」

「凄かったです!」


 な、なんか噂に尾ひれついてないか……?

 事実と間違っている部分はやんわりと否定しつつ、彼らとの話しをして……。


 開店から一時間ほどが経ち、ようやく店も落ち着いた。


「……店の商品もそろそろ減ってきたな」

「……うん。みんなフェイクが造った剣ならって買いに来ちゃってる。しばらく、オーダーメイドも増えそうだし、それをメインにする?」

「それも……そうだな」


 正直言って、今の状況で店の剣まで用意するのは無理だ。

 時間がもっとあれば、対応したいけど……。

 そんなことを考えていると、またお客さんが入ってきた。


「って、イヴァスたちか。どうしたんだ?」


 少しほっとする。

 イヴァス、ウェザー、エルナ。それに新人冒険者の人たちの姿もあった。

 皆どこか胸を張っている。なぜか誇らしげにしている。


「ふふん。フェイクさん、お久しぶりです!」

「ああ、久しぶり。いつも以上に元気だけど何かいいことでもあったのか?」


 イヴァス、ウェザー、エルナ。

 それに、新人冒険者の子たちはどこか誇らしげに胸を張っている。

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― 新着の感想 ―
[一言] フェイクが有名になる前にフェイクの剣を購入してたから誇らしいんだろうなw
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