3日目
その夜も今までの夜と大して変わったことは無かった。
もう一度不思議な体育館でみんなと遊びたい。
少女が私に何を言っていたのかを知りたい。
怖い思いをしたという記憶はあるけれど、それを重要に感じている自分はどこにもいなかった。
そんな簡単な気持ちで私はまた夢の中に入っていった。
目を覚ました私は螺旋階段の1番上にいた。
誰の姿も無い…
急いで階段を駆け降りた。
しかし、降りても降りても地面が近づいているようには感じない。
仕方なく私は目を閉じた。
「お願い」
「もう一度だけ」
そう願った
願って願って目を開けて走って…
ようやく一番下が見えた。
ドク ドク ドク
高鳴る鼓動
私は降り続けた
一番下に着くと、私の鼓動は更に高鳴った。
深呼吸をして私はゆっくりと扉を開けた。
ギー
扉を開けるとそこには私の大好きな景色が広がっていた。
天井らしくない天井から差し込むやわらかい太陽の光…
つる植物が顔を覗かせる壁から入る、ほどよく暖かくて優しい風…
これが、不思議な体育館
私は嬉しくて嬉しくて飛び出した。
だけど、そこには私の好きだった不思議な体育館は無かった。
いや形はある。
だけど、違う…
今まで遊んでくれていた子ども達の目は無く、口だけが動き、私にゆっくりと近づいてくる
他の人たちも黒いモヤのうなモノに包まれ、近づいてくる
あの時計の秒針の動きが速い
後ずさる事しかできない
怖い…
助けて…
子ども達の口が笑っている
不気味に笑っている
私の体にモヤがまとわりつく
はらってもはらってもまとわりつく
「いや!助けて!」
そう叫んだ瞬間、誰かが私の右手を握った。
少女だ
あの黒マントの少女が私の手をしっかりと握ってくれている。
そして、勢い良く引っ張り、螺旋階段に続く扉の方に走る。
扉の前に着き、扉を開けると、少女は私の体を強く中に押し込んだ。
「逃げて」
そう話す少女の声がはっきりと聞こえた。
私は螺旋階段を上り始めた。
一度だけ振り返り少女を見つめようとしたけれど、ちょうど扉が閉まるところだった。
走った
何段もある階段を駆け上がった
何故か流れる涙を拭きながら…
「逃げて」
その言葉が何度も頭を巡る
1番上に着いた。
もう下は見えない。
目をつぶると私の体は光に包まれた
悲しかった
目を開けるとそこにはいつもの景色が広がっていた。
私はこの不思議な体験をただ一人、朝、姉だけに話した。
「それは夢じゃないね。というより、夢という名の‘’魔物‘’だね。」
姉はソーセージを食べながら笑顔でそう言った。
「まもの?」
「悪魔ってこと。その女の子がきっと助けてくれたんだね。どんな悪魔でも食べられたら、どうなるか…」
姉はニヤついていた。
「どうなるの?」
「さぁ〜ね。」
からかうよな笑顔を私に向け、先に玄関を出てしまった。
「待ってよ、お姉ちゃん!!」
姉の事を別に信用しているわけではない。だけど、あの経験をしたのは私自身だ。今でもあの不思議な感覚は忘れられない。
私は今でも不思議な夢を見る
しかし、もう二度と思わないようにしている
もう一度、同じ夢を見たい!と…




