四限目・道徳
~一月目・十一日~
「さて、久々に全員揃ったわけだが。昨日はどうだった回復組!」
「面白かったよ!」
「勉強になりました」
「それは何よりだ。今日は今までやってきた剣技・魔法・回復のどれよりも大事なことを教える! それは……」
うん、いい集中力だ! これだけでも入学当初からは成長したと言えるだろう。
「道徳だ!」
「「「……」」」
分かってはいたけどそんなあからさまにポカーンとするかね?
「難しいことじゃないが、これによってお前たちの業界での生き易さが違ってくるはずだ」
まだ全員子供だから難しいかもしれんが、ダンジョンでは年齢なんて関係ない。現に幼少で活躍している子もいる。
「まず想像してもらいたい。とある一匹のボスを倒す任務があるとする。ダンジョンに行くとボスと自分達の間に約百匹のザコ敵がいるとして、この場合どうやってボスまでの道を開く?」
「ザコを全部ぶっ倒すかな」
「まぁそうしたいところだろうな。だが、それが正解じゃないのは何となく分かると思う」
「ではどうするんですか?」
「ふむ、答えはザコ敵を倒さずしてボスのみを倒す! とは言っても途中でそのザコ敵は妨害してくるだろうから正確にはザコ敵を押さえつつボスを倒すってことだ」
「なーんでそんなめんどくさいことすんの?」
「これは相手への敬意であり、無用に命をとらないってことだ。そのためにも今後みね打ちとかバインドを取得してもらうことになる。そして万が一『そう』しなければならなくなった時は……」
人間である以上間違えた思考に至るときはほぼ間違いなくある。生徒が道を逸れそうになったとき正常な方向へと導くのもまた教師の役目と言えよう。
「俺に一声かけること!」
「「「??」」」
俺が代わりにと言いたいところだが、生憎俺も手を汚したくない。ならば一声かけさせることで冷静になる時間を取るべきだ。
「俺がいないこともあるだろうけど、そういう時はパーティーのリーダーにでも言った方がいいな。というわけで今日はここまで!」
こういった授業をしていくことで慈しみってもんを分かってくれたらいいと思う。どんな業界でも人間関係以上に大事なことってそうそう無いからなぁ……
どうも!ロカクです!
今回はさすがに短すぎましたかね~不足感が残ってしまったらすいませんm(__)m
そういえばこの前今世紀最悪なほどの腹痛が起こったんですが、私の座右の銘「不幸なことが起こったらそれは幸福の前兆」っていう言葉があるのでたぶん近々いいことが起こると信じてます。
最後に、ここからは土曜のみ更新になりますのであしからず。
では、また次回!