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エビス先生の異世界学校経営論

 ホテイとアルデバランも引き連れてアメリケーヌ国から俺たちはベシャメル国のFOAB学園に戻ってきた。遠征チームが各地に散らばる前のメンバー全員が揃っており、どうやら戻ってくるのは俺たちが一番最後のようだ。


「待たせたな!」


 全員揃っていること、誰も作業らしい作業をしていないということはすべての条件がそろったらしい。


「かくかくしかじかでブルーオーシャンを手に入れた。あっちの世界に戻ってすべきこともできた。いち早く帰ってそれを成し遂げなければならないが、一時ご歓談としよう」


 姉貴はエンジと、ホテイはアルデバランと、他は何やら話しているのを見計らって学園メンバーを集めた。


「知っての通りこれでお前たちとはお別れになるし、今日が卒業式だ。最期の言葉を送ろう」


 女子たちは例外なくボロ泣き、ライチも必死に涙を堪えている。俺もだいぶ涙腺がまずいことになっているが、言葉を絞り出すしかない。


「チユキ、もう兄貴といい勝負できるだろう。もし勝てたとしてもボコボコにはするなよ、仲良く喧嘩するんだ。いいか?」


「しっかりボコりますわぁぁああ!!」


 泣きすぎて話聞いてなかったのか? 一応ツトムにも感謝してるんだからできれば白魔術使いと黒魔術使いできょうだい同士高めあってもらいたいものだ。


「ギョクロ、お前はもう暴発することもないし中級だし今のところこのチームを引っ張る存在だ。最強の赤魔導士目指して精進するんだな」


「精進するしっ……ぐすっ」


 素直さと破壊力は大きな武器になる。父親を反面教師として力の使い方を間違えることなく、人のために使って欲しい。


「ロアンは一番俺の教育法を体現するに近いと思う。治癒のロアン、短剣術のスイ二人で一人だという意識を強く持ってみんなをサポートしてやって欲しい」


「うぅ、分かり……ました」


 難しいお家事情もあるしこれから大変だと思うが、二人分以上の活躍を期待している。とっておきは使わせてやれなくてすまん。


「ライチ、リーダーシップも伸びしろも十二分にある。ゆくゆくはセルゲイを超える勇者になれるだろう。アルデバランのもとで腕を磨くといい」


「……うっす」


 唯一の男でもあるし、先頭に立ってみんなを守ってもらいたい。この世界も守る存在になることを期待している。


「そしてテトラ、いろいろありがとな。副担任としてこのクラスをお前に預ける。生徒たちが独り立ちするまで面倒見てやってくれ」


「ま、任せて下さいっ!」


 勝手に副担任として巻き込んでしまって申し訳ない気持ちはある。だが、この後のことを嫌がらず請け負ってくれたということは唯一の救いか。


「そろそろ始めるぞ! 呪文班よろしく頼む!」


 俺の歓談は終わった。名残惜しいが、あまり長居しても去りにくくなるだけだ。


「じゃあここに宝玉を置いて」


 ツトムの指示で地面に書かれた魔法陣の中央に俺がガイアアクアマリンとブルーオーシャンを、セルゲイがラピスラズリを置いた。


「ありがとな、ツトム」


「ふっ、こちらこそと言っておこうか! 詠唱開始!」


 ツトムにミサとフクロウも手伝い詠唱が始まった。詠唱が進むに連れて転移対象メンバーの足元が光り出す。


「……詠唱終了!」


『……えー、よくぞここまでたどり着いた』


 ツトムの詠唱終了宣言から間髪入れず明らかに加工された声が聞こえてきた。「ハロルド・オールドマン」って日本人じゃないもんな……翻訳しているのかもしれない。


『十分なデータが集まった、その功績を讃えてお待ちかねの「希望」をくれてやる。可能な限りで願いを一つ叶えてやろう』


「本当は二つあるが、優先すべきはこっちだ! この世界を滅亡させるな!」


 こっちの世界に来た五人目が幻想破壊を実行すると滅亡することになっていたはずだ。それは絶対に阻止しなければならない。


『それは願わずとも叶うことになる。この世界はしばらく残しておく、事後観察も必要だからな』


 しばらくかぁ……とりあえずそれでいいか。


「そりゃ好都合だ。それじゃあ改めて俺の、俺たちの『希望』は……こっちの世界の住人で冒険者ライセンス上級以上を取ったらそっちの世界に渡れるようにしてくれ!」


『……ほぅ、了解した。すぐにとはいかんが、近い内に実現してみせよう。カフィア早く帰ってこい』


「命令される筋合いはない! バカ兄貴!」


 手伝わせる気満々か。どこの兄妹も相容れないらしい。


「よし、じゃあツトム頼む!」


「おーけーそれじゃあまたいつか! 幻想破壊!」


「エビスさんっ!」


 テトラの呼びかけに意識を向ける。「エビス」と呼ばれるのも慣れたもんだな、これが最後か。


「全員元気に生き延びること! それが俺の異世界学校経営論最終章だ!」


 拳を突き上げてキメてみせる。体が粒子状になって今まで体験したことない感覚に陥った。そうしてホテイ、カフィア、ナバロ、姉貴、俺の五人は前世界へと帰還した……


          ◆◆◆


「入学おめでとう、このクラスの担任になった海老沢末広だ。よろしく」


 あっちの世界から戻ってきて二年、何とか下積みを乗り越えて俺は中学一年生の担任になった。そして今日、入学式で担任として初の生徒を迎えることとなった。


「名前呼んでいくから返事するように、まず稲葉露杏(いなばろあん)


「はい!」


 真面目そうでいい子なのは相変わらずか。


猪宮千雪(いのみやちゆき)


「はい」


 転校生ならまだしも入学式で制服違うことなんかあるか? せめて制服は合わせてこいよ! それは近くのお嬢様学校の制服だ!


「……九尾玉露(ここのおぎょくろ)


「うぃ~」


 その褐色の肌は拘束的に大丈夫なのだろうか。俺は一昔前のよしみで目を瞑ってやる。


「……信楽雷地(しがらきらいち)


「うぃっす」


 顔に傷が増えている。体育会系のノリは嫌いじゃないが、ちゃんと返事しような。


「稲葉、猪宮、九尾、信楽はこの後教卓前集合な、じゃあ解散」


 ホームルームが終われば今日の日程は終わり。呼んでいない生徒たちが帰り始める中、四人は教卓に集まった。


「意外に早かったな、もう上級になったのか」


「余裕っすよ」


「らいちん最後だったじゃん」


「ふっ、そうか」


 ずいぶん昔のようだがまだ二年か、またこうして会えたのは偶然か運命か……どちらにせよその頑張りを認めて歓迎しよう。


「ようこそ、剣も魔法もないこのくそったれな世界へ!」

どうも!ロカクです!(*・ω・)ノ

いや~ついに最終話になりました!

前回後書きであと2話って書いてたんですけど、ここでまとめた方がきれいかなということでここで終わりにしました!


ここからちょっと振り返らせてもらいます。

実はこのエビス先生2016年3月19日に1話目投稿してるんですが、4年半前の自分に言いたい!アホか!と。

この物語最初から最後までちゃんとしたプロット作らずにやってきて結局登場人物増やしすぎて人を生かしきれなかったという悪手をやってしまいました。

4年半前の自分は未熟だったということですね(´^ω^)

それが学べただけでも良しとしませんとね!


書ききれなかった部分も本当はあるんですが、これ以上引っ張るのはどう考えてもよくないということでここで終わらせて頂きました。


私のなろうでの長編1作目を多少なりとも楽しんで頂けたとすれば幸いです。


他作、自作に向けていろいろ学ぶことができたのでロカクの次回作をお楽しみに!

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