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エビス先生の異世界学校経営論  作者: ロカク
ロメスコ遠征編
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ハロルド・オールドマン

 恐らくカフィアが操縦していたであろう機械兵が帰り、教室は沈黙に包まれていた。なんせこのブラウ……なんとかドラゴンが持つラピスラズリが「希望」の鍵だが、カフィアによるとそのラピスラズリを使えばこのドラゴンは死ぬという。しかしこの空気では今後の予定が狂うことになるかもしれん。ここはひとまず……


「ラピスラズリの件は後回しにする」


 現時点で絶対にドラゴンからラピスラズリを取らないとは言えない。


「まぁ、どんな内容かも分かってないのにそんなことのために俺らのファミリーとなったこのドラゴンを犠牲にするっていうのはどうにも気が引けるからな。とはいえ希望ってのがどんなもんかは気になる。っつーことでうちのドラゴンが死なない方法を考えながら先に他の必要事項をこなすっていうのはどうだ?」


「なるほど、それが得策ですね」


「希望はどうでもいいけどシュバルツが犠牲になるのは嫌なんですけど!」


 ライチは理解を示してくれたがギョクロはごねている。だからドラゴンが死なない方法を考えるといっているんだがなぁ。というかあのドラゴンにはいつの間にシュバルツという名前がついたのか。


「まずは……希望には何が必要かもっかい整理しときたいよなぁ……」


          ◆◆◆


「みなさん、集まっていただきありがとうございまーす」


 ここで言うみなさんというのはカフィア、ナバロ、姉貴の三人だ。希望を手にするのに必要なモノを整理し、これからどうするか協議するためFOAB学園の一室に集まってもらった。


「結局連れてこられるんだもんなー」


「迎え付けただろ」


 毎回恒例オオグロをパシってみんなを集めさせた。カフィアにしてみればさっきロボットを遣わせたのに結局自分本体が呼ばれるのかと不満らしい。


「それはさておき、今一度現世界(こっち)に来た順番を確認したい。まずカフィア」


「最初だよ」


「よし、ナバロ」


「サンバンです」


「うん、姉貴は?」


「四番ね」


「オッケーオッケー、そして俺が五番なわけだが、一人いないよな?」


 いないのはもちろん二番目のやつなわけだが、この中でその二番目に接触している者がいる。


「今居ない二番目のやつにも協力してもらった方が事を進めやすいだろう。カフィアとナバロ、お前たちは二番目のやつに会ってるはずだ。顔見てるだろ?」


「まぁ会ってはいるんだけど……」


「カオはミてナイです」


 会ったのに顔は見てないとはどういうことだろうか。


「二番目さんは僕が幻想破壊で得た情報、『呪文』を教えたとき仮面とフード付きローブで完全に身バレを防いでたからね」


「ワタシのトキもオナジです」


「でも、声は変えてなかったよ。女だったかな? それと特徴的なことも言ってたね」


「ほぅ、というと?」


 身バレしたくない割にはそんなありがたいことをしてくれてたのか。


「呪文を伝え終わってからの別れ際に『正義の名の元に、御武運を』って言ってた」


「正義……か」


 ただ正義を掲げているだけで関係ない可能性は大いにあるが、身近な人間で心当たりがある。もしかするとあいつが……


「オーケー、この件に関しては十分だ。次に、今回集まってもらった最大の理由『このゲームの終わり方』についてだ。カフィアは立場上言えないことがあれば黙っておいても構わない」


「そうさせてもらうよ」


「んじゃ、俺が現世界(ここ)に来て知った情報を考察を交えながら話そうと思う。まず、この世界はカフィアとカフィア兄によって作られたゲームだ。そして、俺が考えるにカフィアの兄というのは……伝説のゲーム制作者ハロルド・オールドマンだ」


 ゲームをするものなら子供から大人まで誰もが知っているゲーム制作者であるハロルドは「ゲーム制作者」と言うようにプログラミングのみならずキャラデザから音楽まで手掛け、しかも高品質という超人らしい。それに肉薄するほどの実力として弱冠11才にして世間に名を知らしめつつあるカフィアが最近では兄を手伝っているという。


「そうだよな、カフィア・オールドマン?」


「……」


 否定をしないということはそういうことなのだろう。


「まぁ、そのハロルドが作るゲームこそが『希望のゲーム』だ。そのゲームをプレイした人が何か得るものがあって、不安や悩みを解決する。それがカフィアの言うこのゲームにおける『希望』ってやつだ。おおかた俺たちはデモプレイをやらされてるってこった。つまり、この世界に呼ばれた俺たちは解決すべき不安や悩みがあるってことだ」


 俺も引きこもりゲーマーの端くれ、ハロルドのいちファンでもある。自然と入ってくるハロルドの情報と中級ライセンス試験で言っていた前世界の学校における姉貴の失敗、ハロルドがカフィアをこのゲームに入れる理由を繋ぎ合わせればこの結論に至るのは難しくなかった。


「俺がこの世界に呼ばれたのはデモプレイを行うことともう一つ、このゲームをエンディングに導くことだ。ハロルドが俺か俺に代わる五番目を呼ぶタイミングはいつでも良かったはず。だが、もうデモプレイは十分ってことで俺の手で終わらせろということなんだろう。この世界は居心地がいいとは思う、理想が現実になってるわけだからな。だが、だからこそここらで幕を下ろすべきだと思う」


 賛同してもらえるとありがたいが……


「そうだよね、エンジの成長を見届けられないのは惜しいけど帰る方法が分かってる以上いつまでもここにいるわけにもいかないよね……よし! 私はそれでいいよ!」


「僕も早く帰ってお兄をぶっ飛ばしたいから意義なしかな」


「ワタシもコノセカイにキテジュウブンにジシンがツキマシタ。サンドウします」


 姉貴、カフィア、ナバロ各々から前向きな発言を得ることができた。


「よし! それじゃあここに『前世界帰還作戦』を立ち上げることとする! 俺はひとまず明日にでも前世界から来たもう一人かもしれない奴を引き入れに行ってくっから、みんなはその時に備えておいてくれ!」


 こうして会議はお開き、三人は散々に帰っていった。話はまとまり、これで次に進むことができる。しかしあいつが『もう一人』となると……

前回投稿から7ヶ月も経ってしまいましたね~

申し訳ないっ!m(__)m

まだ書いてたのかと思われるかもしれませんが、まだ完結してませんのでね!当然かもしれませんが完結までは書きますよ!

3月から捗る予定なんで・す・が、あまり期待しないで待っていてください!

では、また次回!

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