アオ
「よし、全員揃ったな? これより非常に重要な話をするぞ!」
ロメスコから帰ってきた翌日、早速昨日あったことを生徒達に話すことにした。どうせミサからテトラ経由で生徒達もあの話を聞くことになるだろうと踏んだからだ。人づてに聞くよりも俺が話してこそ筋が通るってもんだと思う。
「えー、昨日俺はロメスコに行ってたわけだが……」
本当に言っていいのか? これを言うことで誰か自暴自棄になったりしないか?
「実は……」
「それってこの世界が作りものであーしたちもゲームで言うところの最初から設定されてるキャラの……アルファベット三文字くらいの……とにかくその話しようとしてる感じぃ?」
「「「「えっ!?」」」」
まさしくその通り、その通りなのだがなぜそれをギョクロが知っている? 発言者本人を除いて一同驚いた。
「えーっと、何でそれを知ってんだ?」
「テっちゃんが誰かと電話しながら言ってたし!」
「テっちゃ……あーテトラか!」
軽く忘れていたがギョクロ父の犯行以後、ギョクロはテトラと同居していたんだった。それで聞き耳を立ててたわけか……聞こえてきただけかもしれんが。
にしてもどれほどの範囲にこの話が知れわたっているのか、発信者に関してはミサ一択だが……なぜテトラは俺に連絡してこないんだ? あいつの性格なら問いただしてきてもおかしくないはず。
「……ギョクロの言う通り、お前達も……」
「その話ちょっと待ったー!!」
これから生徒達に詳しく説明しようかというところで扉を激しめに開けてテトラが校内に入ってきた。
「エビスさん!! 一体どういうことなんですか!?」
「来たか……」
頭の中で噂をしたからか時間差で来たテトラ、せっかくだしまとめて説明してやろう。
「これから話すからまぁ聞けよ。えー、改めて俺を含めて五人が他の世界からこの世界に来てる。んで、昨日俺はロメスコに行ってたわけだがそこでその五人以外はCPU、つまり作られた存在だという話を聞いた。話してくれた本人もある男に騙されたらしく嘘は言ってないように思うわけだ」
「そんな……」
「いやお前、ミサから聞いたんだろ?」
「そ、そうなんですけど! 途中で寝落ちしちゃったんですっ!」
「そういうことか、まぁこのこと自体はいい話とは言えんのだが何やら俺たちが正攻法で前世界に帰った暁には希望があるらしいんで気を落とすな」
「「「「「希望って?」」」」」
テトラ含め生徒たち全員がハモった。希望に関してはテトラもギョクロも聞いていなかったらしい。
「それに関して詳しくは知らん。俺に対する希望とすると……ん~、何のことなんだろうな?」
「その事に関してちょっとしたお土産を持ってきたよ」
「うわっ! ……機械兵? ってことは……」
いつのまにか俺の背後に立っていたのはカフィアの洞窟にあった型の機械兵だった。そのヘッド部分から発する音声はカフィアの声のようだ。
「エビスさんそれは?」
「これはなぁ……」
「僕はカフィア、この世界を作った張本人だよ」
「この機械兵をどっかで操作してるやつがこの世界やお前たちを作ったってことだ」
「はぁ……」
納得したようなしてないようなテトラの反応に加え、生徒たちも何とも言えないような顔をしている。
「んで、土産ってのは?」
「そうそう、これだよ」
「これは……ガイアアクアマリン!? 何故にこれを?」
機械兵に手渡された輝く石はガイアアクアマリン、先日ロメスコヘ赴いて取りに行ったものの必要なくなったという代物だ。
「実はね、このガイアアクアマリンこそ『希望』を手にするために必要なアイテムの一つなのさ」
「そうだったのか、わざわざサンキューな」
「まぁこれは僕のためでもあるから」
「ふーん」
ガイアアクアマリンを俺に渡すこと、それすなわち俺が「希望」を手にいれることがカフィアのためになる? どういう事か気になるところだがそれより聞くべき事がある。
「ガイアアクアマリンが『必要なアイテムの一つ』ってことは他に何が必要になんだ?」
「察しがいいね、他にはブルーオーシャンとラピスラズリという二つの石が必要になるんだよ」
「なんか全部青っぽくないか?」
「まぁそれは作者のこだわりだよ」
どうやらカフィアは青が好きというのは伝わった。しかし正直そんなことはどうでもいい、問題は……
「その石はどこにあるんだ?」
「どこだったかな~」
この世界の制作者であり意図せずプレイヤーとなったらしいカフィアはやっかいな制作者の顔を覗かせる。自分もプレイヤーも楽しめるようネタバレしないという精神だろうが、そこは同じプレイヤーとして協力してほしいところではある。
「ん~……まぁもう僕としては帰りたいから答え言っとこうかな! まず一つは……そこだ!」
カフィアの影武者機械兵はロアンの方をランサー状の右腕で示す。
「ロアンが持ってたのか!?」
「私知りませんよ!?」
「その子というよりはそのドラゴンだね」
そう言うと機械兵はロアンとドラゴンの前に歩み寄り、右腕を振りかざした。まさか!?
「おい! ま……」
「このブラウシュバルツドラゴンの額にある石こそラピスラズリだよ」
「えっ!? あぁ、そうなのか」
このドラゴンもカフィアの仕掛けたイベントの一つだったと考えるとギョクロが飼育部を作りたいと言ったのも最初から設定されていたわけだ。とすると……改めてなんか複雑だ。
「この石を取れば希望が手に入るわけだけど……どうする?」
「どうするってそりゃ取るだろ」
「それでそのドラゴンが死ぬとしてもかい?」
「なっ!?」
その場の人間全員が息を飲む。まさかそんな弊害があるとは、仕込まれていたとはいえもはやマスコットと化したこのドラゴンをそう易々と希望の引き換えにできるわけがない。母親と認識されたロアンはもちろんドラゴンを心待ちにしていたギョクロだって、ライチやチユキだって可愛がっている。希望がなんなのか分からないのに、俺たち前世界の人間たちにのみ適応される希望かもしれないのにこの小さなドラゴンを犠牲にするなんてそんな横暴がまかり通るのか。
「それは今すぐ判断しなくてもいいよな?」
「もちろん、『最後の日』に決断してもらったんで構わないよ」
「そうか……うん、ガイアアクアマリンに関してはありがたくもらっとく。今日はもう帰ってくれ」
「そうだね、用事も終わったし機械兵は撤収するよ。じゃあまた」
そう言って出ていった機械兵の扉を閉める音の後、しばらく風邪の音だけが耳に届いていた。ここのところ秋めいてきて肌寒くなってきたし、現世界の冬は何か起こりそうだ。
どうもおはこんです!ロカクです!
二ヶ月あきましたが、ようやっとできたのでupしたいと思います!
もはや曜日バラバラですけどw
早く更新したいところなのですがまぁ忙しくてですねぇ……(´・ω・`; )
また二ヶ月あくのか!?はたまた明日にでも更新されるのか!?お楽しみに!
ではまた次回!




