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エビス先生の異世界学校経営論  作者: ロカク
中級ライセンス試験編
52/69

錠解

『位置について……レディー……ファイ!』


 ついに最終第二十戦目ライチ対エンジが始まった。両者共に武器は腰に携えた刀のようだ。


「てりゃぁあ!」


 まずはライチの先制攻撃。俺の暗黒時代の知識を駆使するとライチが使用する剣はバスタードソードというやつだ。片手両手どちらでもいける使い勝手は良さげな剣だが……買ったのか?


 しかし、ライチの初撃は見事にいなされた。エンジももちろん刀を出してきたわけだがあれは何だったか……そうだ、柳葉刀(りゅうようとう)だ! 確か中国の刀で見ての通り刀身の幅が広い。しかし残念なことに見た目がかっこよくて画像までは調べたものの戦闘スタイルは知らない。


「いい太刀筋じゃねぇの、久々に面白くなりそうだぜ」


「いや、あまり楽しませられないかもしれないっす」


「言うじゃねぇか」


 ライチは静かに目を閉じ、空気が変わったところを見るとただ煽った訳じゃなさそうだ。


「……!! 一ノ錠、解放!」


 ライチをオーラ的なものが包む。ここから必殺技に繋げるのか?


「はっ!」


「ぬっ」


 スゥが使っていた瞬歩よりさらに上をいくスピードでエンジに接近したライチはそのスピードに任せて腕を一振り斬りかかる。金属同士のぶつかる音が会場に響き渡り、強風を作り出す。


「へぇ、これを耐えるんすか」


「びっくりはしたけど効いてねぇぜ」


 エンジの防御力はなかなかのものらしい。


「そっすか、じゃあこれはどうっすかねっ! ニノ錠、解放!」


 よく分からんがそうポンポン解放していいもんか? 心配は尽きないが、さっきの一ノ錠と違うのはライチが手に持つバスタードソードにもオーラが広がったことか。


「魔力剣・飛!」


 縦横にシャドーをしたかに見えたライチのバスタードから斬撃が飛ぶ。直線的な軌道ではあるがなんせ縦横に広がる斬撃、かわすという選択肢はほぼほぼないだろう。


「ぐっ、重っ……」


 やはり受けることにしたようだが……


「ぐぉっ!」


 エンジはライチの斬撃を防ぎきれず体のあちこちに切り傷をつくる。勝負あったか。


「やるじゃねぇの」


「どうも」


 まだ決定打を与えていないというのにあのエンジの余裕さはなんなんだ?


「エンジィー! 死ぬ気でやんなさいよぉ!」


「わーってんよ、勝負はこれからだぜ!」


 死ぬ気でやれって昔よく言われた気がする。しかもあの声で、やっぱりあの人他人じゃないらしい。


「トランスフォーム! 青龍偃月刀せいりゅうえんげつとう!」


 懐かしさにふけっているとエンジの持つ柳葉刀の()が伸び、槍状に形を変えた。ネーミングはかっこいいのだが、あれは槍じゃないのか?


「行くぜっ! アルデバラン流奥義・五月雨連弾(さみだれんだん)!」


 アルデバランと言えば勇者一行の剣士か。学生時代に勇者学という授業で聞いた話だが、堅物(かたぶつ)で弟子はほとんどとらなかったという。それを逆手にインチキなアルデバラン流を名乗る輩が多くいたというが……エンジの「それ」は本物だろうか?


「づぁっ!」


 エンジの青龍偃月刀による無数の突きを防ぎきれずライチは声をあげた。持論ではあるが刃物というのは切りつけるより突き刺す方が防ぎにくく、一点に与えるダメージとしては切るより大きい。ましてや無数に突くとなれば点は線、線は面となり向かってくるだろう。本物のアルデバラン流かはともかくあの高速スピードで突きを繰り出せるのは努力かセンスの成せる業だろうな。


「おいおい、急転直下虫の息じゃねぇか。これで終わっちゃあ期待はずれだぜ?」


「はぁ、はぁ……ご冗談を、最終戦にはふさわしい……奥の手を……」


 ライチはあんまり煽り耐性ないからな、結局こういうの乗っちまうんだよな。


「見せてやる!」


「やめるんだ! ライチ君!」


 はて、またライチが何かやってくれそうだというところで俺の近くにいた全身真っ黒の布で覆われ、深くフードを被った、口元には髭がちらつく声からして恐らく男がライチに向かって叫ぶ。ライチの知り合いか?


「はぁあああああ!! 三ノ錠……」


「やめろぉーーーー!!」


「解放!!」


 黒フード男の制止も虚しくライチは三ノ錠を解放したらしい。そんなにヤバイものなのか……っていうかなんでこの黒フード男はそれを知っているんだ?


 ニノ錠を解放したときからさらに空気は変わり、何かライチがライチでなくなってしまったような……言うなれば人間をやめたような、そんな雰囲気だ。


「おっ! いい感じじゃねぇか、これなら俺もやりがいがっ……」


 瞬間、ライチが消えた。と同時に「何か」によってエンジは脇腹から出血、地面にぶっ倒れた。再び現れたライチ、地面に転がっているエンジに歩み寄る。


『エビスよ、大丈夫なんだろうな?』


 いつの間にか付けられていた小型通信機からホテイの声が聞こえる。その声に被って試合終了のアナウンスがされているがこの際それはどうでもいい。


「いや、これは……」


 ライチに自我は感じられない。あるのは殺気のみだ。


「全力で止めてくれっ!!」


 といいつつ俺も動く。一体誰が自我も留められないような技をライチに教えたのか。何かすごい止めてた奴はいたが……とにかく今はあのライチの皮を被った「何か」を止めるしかない!

どうもロカクです!

先週は飛ばしてしまい申し訳ありませんm(__)m

しかし!そのおかげと言ってはなんですが今日二話投稿します!

なんで一週間で一話できないのに二週間で二話はできるんだろうか……

何はともあれ次回もよろしくお願いしまーす!

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