三大尉が一人、大剣使いフィーベル!
『第二ラウンドへ進出したみなさんこんにちはー!』
中級試験疑惑の第一ラウンドから一夜明け、昨日はなかったステージの周囲に第一ラウンド通過者と保護者及び引率者、それから多く観客が集結した。第二ラウンドはモニター越しではないらしい。
『昨日も軽く説明しましたがこの第二ラウンドはランダムマッチングによる一対一のタイマンです。ランダムと言っても所属が同じ者同士ではマッチングしないようになっています。それから勝利条件として相手を戦闘不能させるか降参させれば勝利となります。もちろん過度な攻撃はいけませんので仲裁スタッフをお呼びしました!』
そう言って司会のお姉さんが示す先には見覚えのある顔が並んでいた。
『みなさんご存じSGFの方々です!』
ワーワー!!
観客が湧いている。客観的に見ることがなかっただけにあいつらこんなに人気だったとは……俺はどうなんだ?
『みなさんお待たせしました! これから抽選を開始します! 中央モニターをご覧ください!』
一戦目から二十戦まで順に並べられたスロットのようなものが回っている。いないとは思うがうちの生徒に強くないやつが当たって欲しいと思うのはしょうがないと思う。
『中級ライセンス試験第二ラウンド対戦カードは……こちら!』
ガシャンという音と共に一戦目からスロットが止まっていく。当たった相手を知っている者は歓喜の声を上げていたり、はたまたため息をついている者もいる。
「お前たちの相手は……」
うちの生徒たち対戦は
一戦目ギョクロvsフィーベル(アルペジオ学園)
六戦目チユキvsオクタ(アルペジオ学園)
十三戦目ロアンvsカイゼル(アルペジオ学園)
二十戦目ライチvsエンジ(クロードセル学園)
となった。アルペジオ率の高さが気になるところだがまぁあれだけのマンモス学校から参加者が三大尉だけってことはないだろう。
『それでは十分後から一戦目開始していきたいと思います! 試合中、外野はステージに立ち入らないようお願いします! あとは試合に影響が出ない程度であれば自由にしてもらって構いませんので! では、もう少々お待ちくださいね~』
「ちょっと用事ができた。試合直前に声かけてやれないのは悪いと思うが、あっちから見てるからな! まずはギョクロ頑張れよ!」
「うぃ~」
この脱力感が良くも悪くもギョクロの持ち味であるが、この場においてもし内心緊張していたとしても緊張していなさそうというのはかなり良いことだ。
生徒たちのことが心配ながらも俺はSGF特別席へとやって来た。
「エビちゃんおっはー!」
「おっはーって、こんな任務があるなら連絡してくれても……」
「すまんなエビスよ、対して難易度も高くないことから全員は必要ないのでエビスとフクロウに関しては生徒たちの鼓舞に尽力してもらおうというわけだったのだ」
今日も今日とてハイテンションなミサは置いといてホテイの話によると気を使ってくれていたらしい。
「我が可愛い妹も出るんだからどっちにしても来るつもりだったけどね」
「お前キモいな……ですよねテトラさん!」
「え!? えぇ……」
ホテイを中心に女子サイドと男子サイドに分かれており、ミサとツトムが内側、テトラとオオグロで各サイドの外側に座っているため話を振られないと気を抜いていたテトラは急に振られて驚いたらしい。咄嗟のことで本心ではないにしてもオオグロの毒づきにテトラが乗っかる形となったがツトムは全く堪えていないようだ。
「しかしエビスよ、分かっているとは思うがこの対戦カード……かなり面白いな!」
「えっ、それどういう……」
「ハァーッハッハッハ! 実に愉快だなぁ!」
ワクワクしているホテイが不安を煽る。その脇から入ってきたこの聞き覚えのある声で、その上視界に入っておらずこの会場でここに立ち入れるのはもう一人しかいない。
「エビスゥ、やっと君に引導を渡せそうだよ。なぜならうちの三大尉全員……」
『時間となりましたのでこれより中級ライセンス試験第二ラウンド一戦目、FOAB学園所属ギョクロ選手対アルペジオ学園所属フィーベル選手の対決を開始します! レディー……』
「FOAB学園と対戦なんだ」
『ファイッ!』
全員!? ライチ以外は三大尉と当たってるってことか!? 正しい表現かは分からんが本当に正確なランダムマッチングかよ!? いや落ち着け、今はとにかく戦況を見る!
「私は三大尉が一人フィーベル! 最初の脱落者はあなたよ!」
「ふーん」
そこはそっくりそのまま返してやる! とかやる気のある返しをだなぁ……話術までは教えてないけども! 適当な相槌ほど会話が終了する返しはないぞ!
「ふーんって、ちょっとは恐れなさいよ!」
「多弁は銀だし!」
「何訳分からないこと言ってるのよ! っと、そろそろ始めるわよ!」
とりあえず精神勝負はギョクロ優勢か、これも教えてないが……意外と教えてないことあるな。
両者の様子を見るにまず相手のフィーベルは両手で持つ大剣を使うらしい。重さがありそうで振り回せるのか心配になるところだが三大尉の一人が使えない武器を持っているとは考えがたい。
対してギョクロは魔導師帽にマントといかにも魔法使いといった様相、一つ奇妙に見えるのは腕、手元をすっぽりマントで覆っているため武器が見えないこと。これは初見殺しで良い作戦だ。
「はぁぁああああ!!」
ギョクロに向かって走り出したフィーベルは予想通り大剣を地面に引きずりっている。決して速くないのでギョクロは余裕をもって距離を取る。と、次の瞬間フィーベルの大剣がバチバチと光を放ち始めた。
「チャージ01! ソニックウェイブ!」
「うっ」
持ち上げることすら不可能と見られた大剣をフィーベルが水平に振り切ったと見るや否やギョクロに衝撃波が飛び、避けきったかに見えたがマントの留め具を弾いた。
「マント壊れちったよー、まじガン萎え~……からの激おこぷんぷん丸だし!」
ついに姿を現したギョクロの新武器扇子、意外な装備に会場がざわつく中ギョクロはどんな必殺技を出すのか見ものだな。
どうも!ロカクです!
某オセロゲームをやっていたら一時間遅刻しましたw
戦略ゲームが好きなのでいろいろ模索していけたらと思います。
次回もよろしくお願いします!




