神の恵みで終止符を
本性を表したユグは今まさに俺に牙を向けている。俺が学生時代初めてユグと戦ったときは中級だったこともあり、数人がかりで数の暴力でもって制圧した。だが今は紛れもなく一対一、俺も強くなっているとはいえ苦戦は必至だろう。
「君を倒せばこの世界は平和になり、僕は英雄になれるんだ!」
平和主義に英雄願望ってどこのヒーローだよ! さながら俺は悪役な訳だが、そんな俺がやられたところで滅亡は免れられるのか?
「今のお前じゃなれねぇよ!」
「僕を否定するのかぁ!!」
さっきから森の木々が枝を束ねたドリルでもって襲いかかってくる。さらに今のやり取りが火を着けてしまったのかスピードが一段と速くなる。
「ぐっ……いってぇ……」
「いくらエビス君でもかわしきれないさ! なんたってここは僕のホームだからね! ちなみに枝先には高濃縮のメヨツクドを仕込んであるから、当たっちゃったらみるみるうちに……」
「マジかよ……」
枝がかすった左腕の感覚がほぼない。右利きではあるが普段無意識に左腕も使ってバランスを取っているため体躯が安定しない。避けてるだけじゃやられるのも時間の問題……か。ならば……
「さっさとぶっ倒す!」
「その体でどうしようって言うんだい?」
不利な状況に違いはない。が、この数のドリルをこのスピードで操るユグの消耗も激しいはずだ。
「もう楽にしてあげるよ。これで終わりだ!」
四方八方から全ての枝が俺に集中する。ここで消えてやる……訳には行かない。
「神の恩恵verイフリート!!」
「何っ!?」
とりあえず俺を襲う木々共は焼き付くしてやった。この技は灰魔術を研究しているときに偶然発見したもの。グレーホールを作った際にどこに繋がってるか気になって手を突っ込んでみたところイフリートを引き当てたわけだ。結局向こう側がどうなってるかは分からんかったが……
「よく来てくれた! ついでにこの森ごと焼いてくれるか?」
「仰せのままに」
「させるかぁ!」
万策尽きたのか直接殴りかかってくるユグ、やはり武器一つでは最初の試練以上にはなれまい。
「あ、先にあいつを軽く燃やしてくれ」
「御意」
「ちょ、待っ……うわぁああああ!!」
「軽くだぞー!」
どうやら力加減が難しいらしく強火で焼いている。弱火のつもりなのか?
「よし、その辺で! お疲れさん!」
さすがに弱いものいじめみたいで心が痛んできたため攻撃の手を止めた。とはいえしばらく立ち上がれんだろう。
「あのなぁ、お前の平和主義に関しては大いに称賛する。英雄願望についても昔は俺にもあったし否定はしない」
聞こえているかは分からんがとりあえず続ける。
「でもなぁ、こんな回りくどいことしなくても森のやつらは話せば分かるだろうし俺に言えば全部任されてやる。つまるところ周りを信じろってこった」
「うっ……」
ユグは地面の土を掴み、数滴の水を落とした。俺は断じて泣かしてなどいない。その水は……樹液的なあれだろう。
「ロアーン! いい実験材料ができたぞー!」
「えっ……はーい!」
これでまた動物たちが戻ってくればこの森も元通りになるだろう。森の主として精進しろよと思いつつ俺はいつの間にか半身感覚がない。できれば後で毒を……
「先生!? エ……せ……」
◆◆◆
「ん……ここは……」
「気づきましたかエビスさん! ここはうちの診療所ですよ!」
また白い天井だが前回と違って今回は診療所らしい。そんな変わったもんではないが……
「それにしても危なかったですよエビスさん! ロアンちゃんの応急処置が良かったから助かったものの、最悪死んでましたよ!」
「そうか……ロアンはっ!?」
「時間も時間なんで帰宅してもらいました! 何か『できる気がします! 先生の目が覚めたらありがとうございましたとお伝えください』って言ってましたよ!」
あれから何事もなかったってことか、よかったよかった。
「それにしてもエビスさん最近病院送り多くないですか? 大丈夫ですか?」
「まぁ……大丈夫だ」
わりと大丈夫じゃないかもしれんが、こんなところで弱音を吐いてもいられない。早く正式に元の世界に帰る方法を見つけなければならないし、ボーイッシュガールを見つけ次第止めなければこの世界で肩身が狭くなる一方だ。しかしもっと何年も子供たちの成長を見届けたいもんだが……
どうも!ロカクです!
早速ですが前回書いた投稿時間の件ですが、午前中にはということにします!起床時間がバラバラなのでこの時間!と断定できませんが……
何するにも時間をある程度決めてキッチリした生活をしなきゃなぁとは思ってるんですけどなかなかうまくいきませんね!
それでは次回もよろしくお願いしまーす!
(^-^ゞ




