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課題のヒントを森林で

 ~四月目中盤~


「さーてお前たち! 明日から夏休みだ!」


 病院の一件からしばらく経ったが何の音沙汰もなく普通に日々を過ごしている。そんな中日も長くなってきた今日この頃、夏休み突入前に風物詩兼地獄を生徒たちに与えようと思う。


「分かってると思うが夏休みと言えばただ休めるというもんじゃない、お前たちに宿題を課す!」


「ドリルかなんかっすか?」


 それも悪くはないが筆記をやらせたところであまり意味はないだろう。それよりもっと有益な……


「いや、違うな。夏休みの宿題は……必殺技を生み出すことだ!」


「それだけですか?」


 それだけと言われると聞こえは悪いがこの課題、過程(プロセス)が多い上にそこが肝になってくる。


「そんな簡単なもんじゃないぞ、企画から準備、試作、名付けて練習して完璧にできるようになって初めて完成だからな。新学期ギリギリまで完成しないことも覚悟した方がいいな」


「そう考えると厄介そうですわね……」


「っとまぁいきなりだし難しいだろうってことでいくつか譲歩してやろう。まず平等を期すために回復系も可とする! 必殺技と言ったら攻撃と思うだろうが、やりようによってはそういう方向もありだ。次に今月中は俺は学校(ここ)に居るから手伝うというか、ヒントくらいなら考えてやる」


 現代異世界には回復を必殺技としている例もある。それより、来月になったら俺は来訪者を探しに行こうと考えているためアドバイスをやれるのは今月残り12日間しかないというわけだ。


「さて、これにて一学期終了だ! 羽を伸ばすのも結構だが精進しろよ! 以上! 解散!」


 ふぅ、やっと俺も休……んでられないな、むしろもっと忙しくなるだろう。部活を見てやれないのは心苦しいし、またあいつに協力してもらうことにもなる。まぁあいつはもう非常勤講師みたいなもんだし……


          ◆◆◆


「難しいですわね……この件はまた次回考えましょう! 今日はここまでです、お疲れ様ですわ」


 夏休み三日目、今日は何やら問題を解決できないまま白魔術部は解散となった。ギョクロとチユキは先に帰ったが……


「先生! 課題のアドバイスをもらえますか!?」


「最初はロアンだと思ってたが……試行錯誤したのか?」


 原形あってのアドバイスなもんで、もしここ二日で何もしてなければアドバイスのしようがない。


「そうですねぇ……回復系でいこうと思ってイメージもあるんですけど効果を試せなくて……」


「なるほどな」


 ということはどこか実践できる場所にいけばいいのか。怪我人が居るところと言えば病院だがそこまで多くの被験者は必要ないだろう。となると……


「その技って人間以外にも有効か?」


「将来的にはそのつもりですが……」


「よし! そんじゃいっちょフィールドワークといくか!」


 確実とは言えないが、少なく且つそこまで深くない傷ならあてがある。ヒントを得るには絶好の場所だ。


          ◆◆◆


「着いたぞ!」


「はぁ……蚊に刺されませんかねぇ?」


「心配するとこそこかよ!?」


 やって来たのはベシャメル王国からそう遠くない森だ。ここなら若干怪我した鳥とかいるんじゃないかと予測したわけだがどうだろうなぁ……


「もしかしたらモンスターとエンカウントするかもしれんがここのはそう強くないしスゥでもいけるだろう。俺もいるから安心して実験台を探すといいぞ」


「はい!」


 大体冒険者が町を出て最初に通る道がこの森な訳で、初心者向けと言えよう。数年前まではなかなか近寄り難い場所だったようだが、ここ最近で引き返したやつなんて聞いたことがない。


(ここに来るのは学生時代以来か)


 一応ロアンから目を放さない位置にある木に腰かけてるわけだが、この森は以前来たときより遥かに整っている。何事もない上にいい感じの木漏れ日で眠くなって……


「ひゃっ!」


「どうしたロアン!」


 うっかり眠っている間にロアンが何者かににじり寄られている。モンスターか人間か……


「ヨウジョ……」


「どらぁ!」


 事件現場に駆け寄ると怪しい「何者か」が怪しいことを呟いていたので構わず蹴りを入れてぶっ飛ばしてやった。


「大丈夫か!?」


「はい……」


 ロアンの無事を確認している間に痛がりながらも「何者か」は立ち上がって……ん?


「お前は!?」


「いてて……あっ! エビス君!」


「先生この変態さんと知り合いなんですか?」


「変態って……」


「あぁ、こいつはユグっつってこの森の管理人兼ステージボス的な役割だな」


 俺がこの世界に来た当初、職業(ジョブ)を確立するために行っていた学校に入学して中級ライセンスを取った頃に実習でこの森を攻略させられた。その時はお互いに死力を尽くすくらいの接戦だったと記憶している。


「ところで何してたんだ?」


「パトロールだよ! と言ってもみんな出払ってるんだけど」


 何か違和感があると思ったら(ここ)に来てからユグ以外の生物に会っていない。以前は良くも悪くも歩けば生物にあたるような地だったというのに……


「みんな実家に帰ったのかなぁ?」


「いや、それはおかしいだろ。こうなるような心当たりはないか?」


「うーん……この前鹿のロッキーが亡くなった日から急に動物が減った気がするけど……関係ないよね?」


 動物一匹の死がここまで過疎化する原因に直結するか? 関係ないとは言いきれないが……もう少し探りを入れてから判断しよう。

どうもお久しぶりです!ロカクです!

こっちは3ヶ月ほどあいてしまいましたね……コマッタコマッタ(´-ω-`)

しかし!また復活しましたのでしばらくは(断定はできませんが)毎週投稿したいと思います!

改めてよろしくお願いしまーす!(*`・ω・)ゞ

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