最後の最後の切り札
「さぁて、この世から消えてもらいましょうかねぇ……海老沢末広先生?」
俺もグレイも縛られて絶体絶命のこの状況、何か策は……この際しょうがない!
「テトラ! 何とかしてくれ!」
「何とかって……無理ですよ! 私には攻撃手段がありません!」
「オオグロの槍取って振り回せ!」
「分かりました!」
のびてるやつの武器を無断で借りてもバチは当たるまい。
「そんなことさせるわけがありませんねぇ」
「ひゃあ!」
「テトラ!」
テトラの足にも黒い蔦が絡み付きいよいよこっち側で動けるやつはいなくなった。
「さぁて、苦しめて苦しめてジワジワ消えてもらいましょうかねぇ」
「ぐっ……ぐぁ!」
締められ過ぎて呼吸もままならなくなってきた。消えたくない! 死にたくないのに……
「これで私の夢が……」
「悪党滅亡!」
「な……にっ……!?」
上空から可愛らしい顔のついた台形の金属塊が落ちてきてギョクロ父を潰した。と同時に俺たちを縛っていた蔦も消えた。
「ゲホッ! ゲホッ! ……ホテイか!?」
「あぁ、遅くなってすまなかった。情報が交錯していてな、もっと早く王妃からの頼みだと分かっていれば良かったのだがな」
伝え方がまずかったか……
「それよりあんまり潰しすぎないでくれ」
「わかった」
「ギョクロのお父さん、ロアンはどこですか?」
「そこの……袋の中だ……」
次期王女候補を袋に入れるとは不届きもいいところだな。
「ありがとうございます。ホテイ! その人拘束しといてくれ!」
「了解した!」
まだ半分潰されているギョクロ父をホテイに任せて俺は指示された袋に駆け寄った。
「ロアン! 大丈夫か!?」
「……zzz」
しっかり息もあるし外傷もない。眠らされているだけのようだ。
「あとはあっちが片付けば……どわっ!」
「終わりました」
向こうをみやるとそこには座り込む生徒たちと倒れた黒服、無事に終わったらしい。
「ふー、これにてロアン奪還作戦完了だ!」
ギョクロ父、ジュロともう一人を警察に引き渡し、行動不能の三人を車に乗せた。
「ギョクロ、これから……その……大丈夫か?」
「……うん、大丈夫っしょ!」
「我が家に……と言いたいところですがあの兄がいますから……」
「だろうな、お家騒動でゴタゴタしてる上にいつ起きるか分からんロアンの家に行くのもなぁ……」
「うちも肩身狭いっすからね」
「男の家はダメだろ」
大丈夫だと言う当事者を他所にどこでギョクロを引き取るかの話が進む。
「うーん……そうだ! 学校に住むのはどうだ? 俺が仮住まいにしようと思って一部屋確保してるんだ」
「それだとエビスさんの家にいるのと同じじゃないですか?」
「じゃあどうするよ?」
「私の家しかないですかね」
「本当か!?」
いつも乗り気じゃないテトラからの予想外の提案に思わずテンションが上がった。確かにテトラの監視下にギョクロを置いておけば俺も安心だ。
「そんじゃ、よろしく頼むわ。ギョクロいいか?」
「よ、よろしくお願いします」
ここであんまり抵抗しなかった辺りやっぱ寂しいんだな。
「明日は休みにして、明後日からまた元気に学校に来るように! セルゲイ! ロアンが目を覚ましたら伝えといてくれ」
「かしこまりました」
同じ組織に所属していた仲間の裏切り、またその組織の仲間たちからの助け。良くも悪くも子供たちの経験にもなった家庭訪問はこうして終わった……
どうも!ロカクです!
いやー、これにて家庭訪問編終了です!
自分的には長かった気がしますがいかがでしたでしょうか?
また日常パートに戻るのかな?どうでしょう?
ってなわけで次回もよろしくお願いしますm(__)m




