5割を占める下ごしらえ
「さて、たどり着いたわけだが王妃がどこにいるか分かるか?」
「えっ、まぁ……」
俺はセルゲイに頼んでファルガイア本家に連れてきてもらった。
「どこにいる?」
「地下牢ですけど……どうするつもりですか?」
「さっき言ったろ? 家庭訪問だよ」
「何の……ためですか?」
「何のためもなにもやんなきゃ行けねぇからやるんだ」
「ふっ、大事なことは教えてくれないんですね」
知りたいのか……
「それはともかく俺は今日のために上級ライセンスにも匹敵する技を開発した」
あからさまにセルゲイが息を飲む。
「その名も……グレーホールだ!」
「聞いたことないですねぇ、新しく開発したとのことなので当たり前ですが……どんな技なんですか?」
「これは今まで不可能だった建物内への移動を可能にするもので、ワープホールの上位互換だな」
「それなら守衛に見つかることもありませんね!」
「そういうことだ」
先日遊びで骨粉と黒粉を同比率で混ぜてみたところ発見したものだ。そもそも過去の研究者が誰も組み合わせようとしてこなかったのは不思議だが、白魔術と黒魔術の業界間で確執があるから相容れないものと考えられてきたために気づかれなかったであろう代物だ。
「この『灰魔術』で俺は大成する!」
「それはいいんで行くなら早く行きましょう」
「急に冷たいな!? まぁ行くけど!」
持ってきた粉は白黒同比率往路二人分、復路二人分、保険で一人分の計五人分だ。
「地下のどの辺にいるかは分かるか?」
「そこまでは……」
「階段はどこにある?」
「全て西ですね」
「なるほど、じゃあこの辺だなっ!」
持論では牢獄において外に出す気のない者は奥、つまり階段とは反対側に配置される。俺がこの世界に来てから王妃が公に出てきたという話は一度も聞いていない、このことから三年以上閉じ込められている可能性が考えられる。
「ちょっとそこに首突っ込んで様子を見てみてくれ」
「はぁ……あ、ここですか~」
「どうだ?」
「はい、問題ありません」
「おし! いくぞ!」
「あっ、私が先に……」
グレーホールから首を抜いたセルゲイの横を通って俺が先陣を切る。
「……はぇ!?」
「どうしたんですか?」
「いや、これ……」
「あー驚きますよねこれは、私も話に聞いてただけなんですけどね」
降り立ったのは王宮そのものかと思う程豪華な部屋、予想していた薄汚れたベットに鉄格子とはかけ離れすぎて戸惑うレベルだ。
「ここ牢獄だよな?」
「えぇ、しかし腐っても……失礼、王妃ですから守衛やお付きの者が牢獄を改造して入れてさしあげたようですね。王はここに来ませんから」
それだけ慕われてるってことはいい人だったんだろうなぁ。
「それはそうと王妃はどこだ?」
「そこにいらっしゃいますよ」
セルゲイが指差すベッドからは微かに呼吸音が聞こえる。時間も時間だし当然か。
「起こしていいか?」
「致し方ありません」
起こすのをためらわれるほどその寝顔は美しいが、どことなく健康ではない気がする。
「んじゃ、すいませーん! お休みのところ申し訳ないんですけどちょっとお話いいですかー!」
「ん……あ、あなた何者ですか!? 誰かー! この者を引っ捕らえて……」
「落ち着いてください王妃様」
「あら、セルゲイ?」
「お久しぶりでございます。この方はロアン様の先生、エビス殿でございます」
「初めまして王妃様」
「そうでしたか、あの子ももうそんな年にねぇ……いつも娘がお世話になっております。ところでなぜここに?」
娘の年を忘れるほどここにいるってことか?
「家庭訪問……と言いたいところですが、実のところ力をお借りしたいんです。実はですね……」
今起きていることについてある程度王妃に話した。
「えっ!? でも私にできることなんて……」
「いえ、ロアンの実の親だからこそできることがあるんです」
「というと?」
掛かった! んじゃあ早速賭けの第一段階に着手することにしよう。
「ここにこう書いてもらえますか?」
紙を一枚椅子に座る王妃の前に置いて指示をする。これによって戦力増強、作戦成功確率上昇が狙える。こっからもう一仕事して明日に備えるとしよう。
どうも!ロカクです!
若干って言ってたわりに20時間近く遅くなってしまいました~申し訳ないですm(__)m
来週は9割お休みですwwこれもまた申し訳ないですm(__)m
頑張って書き貯めときます!では、また次回!




