初級ライセンス試験~魔法使い組の場合~
「もしもし、俺だけど。暇だろ? ちょっと目が足らねぇからアルペジオの引率者待機室ってとこに来てくれ、んじゃ」
「暇じゃないですってぇ~!!」
ってな感じで連絡が来たんですが、断れなくて二手に分かれたという子供たちの内、魔法使い見習いちゃんたちの方を見ることになったので私の心の実況をお送りします!
『けっこうボール落ちてんね~』
『でも私たちの色のはありませんわね』
早速フィールドを散策するギョクロちゃんとチユキちゃん。ホントにそこら辺に無造作にボールは落ちてるんだけど……
『多分この無駄に集めてるボールは交換するんだよね~』
『そうですわね……クロちゃん危ないですわ!』
『えっ!? 何!?』
どこからか石礫がギョクロちゃんを目掛けて飛んできて、間一髪でチユキちゃんが助けたぁ! にしてもまだ時間はあるし、わざわざ奪いに来る必要があるのかな?
『気づかれねぇようにしてたんだが、まさか避けられるとはなぁ』
『何の用ですの?』
『なぁに、ちょっと遊ぼうかと思ってな』
遊ぶならもっと平和的な……じゃなくてこれは遊ぼうとしてるんじゃないね! 言葉のあやってやつだね!
『友好的じゃなさそうじゃない?』
『遊ぶっつーことは仲良くなるってことじゃねーんだよ!』
悪役にぴったりで、いかにもな子が出てきたね! さて、穏やかじゃないこの状況をどう切り抜けるのかな?
『やるしかなさそうですわね』
『でも二対一ならいけそうじゃない?』
『誰が一人だっつったよ! ガルバリウス!』
『んー』
何やらこのデカブツくんも見た感じパワータイプだけど、どう来るかはまだ分からないよね!
『退いてくれそうにありませんわね、でしたら先手必勝! 純白の……』
『地割る!』
『何? ジワ……うわっ!』
あー、やっぱりパワータイプだったかぁ。でも技を止められたら十数秒のブランクがあるはず! 時間稼ぎしなきゃ!
『飛燕冷笑拳!』
『クハッ!』
『ユキッチー!!』
一撃もらっちゃった!? 痛そう……あの口悪い子も物理タイプみたいだから「攻撃は最大の防御」を立証するコンビかもしれないね! にしても女の子にグーパン食らわせるなんて許せない!
『さすが学年一のパワーだな! 地面割るとか』
『ん』
『これで先生のお願いも完了だろうな!』
『んーんー』
『わりぃわりぃ、ちょっと口が滑っちまった』
お願い? チユキちゃんを倒すこと? でも最初はギョクロちゃんが狙われてたみたいだから標的は二人共ってこと? 一体誰が……
『……さない』
『あぁ? 何だって?』
『許さない!』
声を荒らげてギョクロちゃん激怒! そりゃ仲間がやられたらそうなるよね。
『やめ……』
『だったらどうすんだよ』
『あーしはお前らを殺す!』
それはダメだよ! たぶん試験ルールブックに……あっ、「過度な攻撃行為を行った場合強制失格及び10年間の試験参加禁止」って明らかにまずいよ!
『はぁあああ!! 紅蓮の中に沈め! 愛する者の焔光!!』
『こりゃやべぇ! 避けるぞガルバリウ……ん?』
ギョクロちゃんが放ったと思われた渾身の一撃は消えてしまった。確かに発動したはずだけど……時間差攻撃なのかな?
『ハッハッハ、どうやらハッタリだったみてぇだなぁ! お前も終わらせてやる!飛燕冷笑……』
『……』
ギョクロちゃん倒れちゃった! カメラ越しとはいえすごい力を使ったっていうのは分かったからもしかすると体内のエネルギーを使いきっちゃったのかも!
『チッ、おれぁ死体蹴りの趣味はねぇ! まぁ、もうスタート地点に戻る力もねぇだろうから今回の合格はお預けだな! 行くぞガルバリウス!』
『ん』
なんとか助かっ……いやいや、助かってないよ! このままだと二人共不合格になっちゃう!
『……巻きましたわね、そうですわ! クロちゃん! しっかりするのですわ! ……くっ、私に回復魔法があれば……』
ギョクロちゃんは完全に意識を失ってるみたいだね。私でも今のギョクロちゃんを回復させようと思ったらちょっと大変かもしれないなぁ。
『誰にも頼れない以上私がやるしかありませんわね!』
チユキちゃんはギョクロちゃんを担いで来た道を引き返し始めたね! グーパンは致命傷にならなかったみたい! ツバキちゃんなら完治とはいかないまでも意識は戻せるはずだから頑張って! チユキちゃん!
どうも!ロカクです!
一週飛ばしちゃったんで今日も投稿です!
視点変えやりたかったんで楽しく書かせていただきました!
では、次回もよろしくお願いしまーす(^-^ゞ