白魔術の素
~一月目・十六日~
「おざっす!」
「おはようライチ!」
「おはようございます」
「チユキ……だっけ? 早いね」
「そうですか?」
戦闘内で一番動くであろうライチには授業前にストレッチをさせるようにした。そのためいつも一番に来ていたのだが、今日はチユキの方が早かったのだ。
「おざまー……ユキッチー!? 何で!?」
「久しぶりですわねクロちゃん!」
「知り合いだったのか?」
「はい! 二人で初級ダブルスのライセンスを取りに行った仲ですわ!」
「えっ!? ギョクロ、お前『初級ライセンス』持ってるんだよな?」
「いや……あの……『ダブルス』の……ね、ハハハ」
まさかの詐称してたってことか!? しかしよく考えると「初級」を取ろうと思えば最低でも自分の魔法はコントロールできないと取れないはずだ。何故そこに気づかなかったんだ……
「ダブルスの意味分かってんのか?」
「二人揃って初級と同じってことだよね!」
「もう一つは?」
「うーん……」
「一人だとライセンスが無いのと一緒ってことだよ!」
「そ、そうなんだ~」
白々しいな。もし「メガフラワーの花粉採取」がランク55以上だったらもうちょっと早く判明してたってことか。
「どうせ近々取ってもらうことになるんだけどな」
「取れるの!?」
「頑張り次第だな。それに、考えもある。それは後日教えてやろう」
「うーい」
「それより白魔術なんだが、黒魔術さながらに白い粉が必要だ。だが今手元にないのでもらいに行こうと思う!」
◆◆◆
「おーい!」
「はいはーい! うぇ!? また何ですか?」
うぇって言ったよこの娘、どういうことかは詮索しないことにしよう。それはさておき俺たちはテトラの診療所へとやって来た。ここには安全なものから危険なものまであらゆる白い粉があるからな。
「ここって一応診療所だから何かしらの白い粉あるんじゃないかと思ってな」
「一応って……でも、ってことは白魔術に手を出すんですね!?」
「俺じゃねーけどな」
「そちらの少年か少女達のどちらかですか?」
「そういえば初対面だったな。こっちは騎士志望のライチでこっちは昨日から入った白魔術を知りたいっていうチユキだ!」
「そうでしたか、よろしくお願いしますね! さて、本題にいきましょう。白い粉はあるにはあるんですけどけっこう希少な物でお金がかかります。そこで、熱い犬の住み処に攻め込めば骨が大量にあると思うのでそれを骨粉にするというのはどうでしょう?」
「確かにそれなら大量の粉が確保できるな」
「私の分もお願いします! 花壇に撒きたいので!」
そういえば肥料になるんだったか? 頼まれるってことは任務扱いってことでいいんだよな?
「報酬出せるのか?」
「えっ!? 昔のよしみじゃないですか~」
「欲しいなら来いよ、ちょうど今日回復役が心もとないからよ」
「いや、今仕事中で……」
「行ってきていいよー」
「だそうだ」
上司らしき人の一声でテトラも一時仕事を抜けて付いてくることとなった。いつ来ても暇なあたり大丈夫なんだろうか?
◆◆◆
「そろそろ熱い犬の住み処に着くんですが、凶暴な種族ではありません!」
「楽勝そうっすね」
「えーっと、今日は戦わないですよ?」
「じゃあどうやって骨を奪うんっすか?」
「奪う訳じゃないんですよ。あっ、噂をすれば! すいませーん!」
角張った岩山に入ろうかというところでテトラは誰かに話しかけに行った。あれは……本当に人か?
「譲るのはいいらしいんですけど、ちょっと頼まれ事をして欲しいとのことです」
ちゃっかりしてんなー、でもまぁせっかく来たんだし俺たちにできることならやってやるか。
◆◆◆
「お邪魔しまーす、あつっ!」
「いらっしゃい旅のお方達、ワシは村長のバルベルと言うもんじゃ。熱いのは多目に見とくれ」
「ど、どうも」
その名の通りこの部族は燃えてる犬だ。と言っても言葉は通じるし、二足歩行なので人間に近いところはある。
「本題じゃが、見ての通りワシらは燃えておる。そのため主に木でできておるオランデーズ国には立ち入れんことになっとるんじゃ」
「大変っすね」
「分かるかい少年や、そこで君たちにオランデーズ国で作られているという耐火布を持ってきてもらいたいんじゃ。もちろん金は出すぞい」
「骨ももらえるんですよね?」
「もちろん、好きなだけ持っていってもらって構わんよ」
「分かりました。お引き受けします」
「よろしく頼むぞい、先に仕入れ費を渡すからこっちに来とくれ」
一応このパーティーではリーダーになる俺が代表として仕入れ金を受け取ってオランデーズ国へ向かうこととなった。にしてもこれ額が大きすぎやしないか? どんだけ仕入れるつもりなんだよ……
どうも!ロカクです!
今回は六話ぶり?にテトラさん登場です!果たしてどんな活躍を見せてくれるんでしょうかね?
ちなみになぜ「メガフラワーの花粉採取」がランク55ならギョクロが「ダブルスライセンス」を取っていたことが分かるかと言いますと、任務はそもそも5ランク刻みでしか出せません。それからエビス、ライチ、ツバキ(スゥ)のランクを足すと52です(準上級+無免許×2)ここでギョクロが正式な初級ライセンス持ちならプラス5で57となって普通に行けますが、ダブルスとすると無免許同様なのでプラス1でも53となって行けないんです。ほんの裏設定ですね。ちなみにのちなみにメガフラワーの花粉採取はランク20くらいですね。
ところで今現在なんですけど左目にイボっぽいのができて非常に痛いです。たまーになるんですけど何なんでしょうね?
眼科行かなきゃなのかなーって感じで今回はここまで!では、また次回!