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ピエロ  作者: ゆぽ
3/20

3,ひとりの朝と夜を過ごす少女

「ただいま」

 返事が来るわけでもないのに、私は家の中の闇へ声をかける。

 いつもこの時が一番孤独を感じる。

 そして私はリビングへと向かい、ダイニングテーブルの上にランドセルを荒く置き、冷蔵庫の中を見る。

「今日もだねぇ」

 呟いて、私は鍋に水を入れ、火にかけた。軽く塩も入れる。


 それから、テレビの電源をつけ、水が沸騰するまで待つ。


 あとは、パスタの麺を入れて、茹でるだけ。

 適当にあった野菜でサラダも作り、茹であがった麺にレトルトのミートソースをかけて、テーブルへ持っていく。


 テレビでは、隣町で強盗事件があったことを生放送で伝えていた。

 犯人は目撃者を次々と射殺していったらしい。物騒な話だ。

「明日、学校休みかな」

 不安と喜びとが押し寄せる中、私はパスタの最後の一口を食べた。


 そして、いつものようにシャワーを浴びて、いつものようにテレビのニュースをつけたまま、パソコンを起動する。

 ずいぶん前の型のため、少し時間がかかる。

『犯人は、老夫婦の自宅を立て続けに襲い、逃走の際、目撃者を射殺しました。現在犯人は、旧第一小学校の廃校舎に潜伏している模様です――……』

 十時前になっても、同じ内容を繰り返していた。


 パソコンの起動が終わると、私はインターネットを立ち上げる。

 そして、検索ボックスに「ピエロ」と入力する。

 出てきた結果から、赤く色がついた、前に開いたことのあるページを再び開き、中のコンテンツを見ていく。


 私は調べていた。

 ピエロは、私が「ピエロみたいだね」といったその時に、「その通りだよ」と言ったのだ。

 それは、昔から彼がピエロだったということ。

 彼は派手な化粧こそしてはいないが、ピエロなのだ。

「あぁ……」

 眠い。



 気がつくと朝だった。

 私は省電力モードになっているパソコンの画面を見て、そしてテレビを見た。

 画面の左上の時計は、六時五十分だった。

「眠いなぁ」

 私は呟き、あくびをした。

 しばらくぼーっと朝のニュースを見ていて、そして七時の少し前に、かすかにノイズが聞こえた。

 そのノイズはだんだんと大きさを増し、テレビの時計が七時を指したとき、放送が入った。

『昨日起きました強盗事件の犯人がこの町内に潜伏している可能性があるため、学校は休みになりました。なお、外出も控えるようにしてください』

 嬉しいような、悲しいような気分だった。




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