境界を願う正常な思考
判決を下す、連続殺人の罪にて有罪だ。
閉めきった部屋の中ですら全て僕に敵対する。何もかもの視線が悪意に満ちている。外を見たとしても、怖い顔の木々に紫色の空、道路さえも嘲笑っている。
全部壊してやる殺してやる、悪意を向けるなら悪意を返してやる、復讐してやる。向こうが先にやってきたんだ問題ないだろ?悪いことではないだろ?
だが、現実的に考えて殺害なんてやったあかつきには即効でつかまってしまう。そんなんでは復讐とかあったものではない。だから、データの中に世界を造り幾度も殺害し、果てには僕以上の不幸を何度も再現する。
非常に愉快な話だよ、その世界は不幸になるために生まれたんだから。そもそも、死にも生にも価値がない世界なんて、存在する意義も無いね。
タンスが変な顔をして見つめている、どうしてデータの中の出来事が罪になろうか、元々何も無いのだからどうなろうと知ったことでは無いだろ。しかしそこには何もないわけではない
テレビの上の段ボールがおちた、判決の音だ。ふざけるな何と言われようと憎んでやる復讐してやる。
カッターナイフを取りだし既に痛みすらも忘れてしまった腕を裂く、腐ったような紅い染みを床に残しながら、傷を残しながら呪う。復讐してやると、その思いだけで生きてきた。今更変えることはできないんだ。
辛さを忘れてしまったら、今までの出来事は劇の芝居。虚しい、虚しくて虚しくてもう全てを終わりにしたいくらいに。
今では思い出す、実感する為の痛みすらも無い。これは誓いだ。絶対に復讐することを忘れるな、過去を無くしてしまえば虚ろなだけだ。今の僕には復讐しか過去の繋がりは無い。
つきっぱなしのパソコンにメールが届いたらしい。数年開けていないドアがケタケタ笑っている。懐かしい匂いだ
もう支離滅裂で訳がわからない。思考と行動にズレができはじめている。僕の身体は思考どうりに動いてはくれない、虐待している。全く下らない奴はどうでもいい。
何故かこのパソコンはハックされている。犯人はワン・ビョントゥとか言うやつだ。何が目的だか知らないが、今までもやたらメールを送ってくる。そのたびにケタケタ笑われるのだ、勘弁してほしい。
最近の出来事としては、心について解説されただけだ。四層構造の球体が心で、傷ができた場合はそれぞれの層が成長し表面が剥がれることで修復するのだと、水が良いとも言っていた、現実の水を使うと細菌に感染してしまうらしいが、3日前ぐらいだ。
どうやら、僕の頭は下らないというか、訳のわからない事を考えるのが好きらしい。
メールを見ると、『そろそろ外へ出たらどうだい?俺はレー君を待ってるよ』僕を待つ人なんて居ないだろ、もう数年閉じこもり、誰とも会っていないのに