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03.傾城傾人への思い

顔の美醜はその人の性格が出るとか出ないとか。

手の美醜はその人の人生が出るとか出ないとか。


果たして、どこまでが事実だろうか?


化粧品を使えばある程度の皮膚は手入れをされる。

薬品を使うと程度によっては年齢を感じさせないものとなる。

美醜と生き様と性格は、必ずしもイコールではない事が多い様な気がしないでもない。

そもそも、顔の形状や皮膚の質感で他者の事を判断出来るものだろうか? 自分自身の事も理解できないと言うのに。


詰まる所、人を見かけで判断したら…。

と言う、事。

傾城傾国:その美しさゆえに国を滅ぼすほどの美女。

     今回は、国ではなく一部の人を滅ぼした裏側の一幕。故にタイトルは人。



 人が恋に落ちる瞬間とやらを見逃して悔しいと、どこぞのアホ王子が言った時に思ったものだ。

「こいつ、死ねばいいのに」

 いや、現在進行形でそう思うのは何時もの事。

 別に不敬罪などにはなりはしない、口にはしていないのだから……どこぞの騎士団長はむっつりな顔しながら「いや、はっきり言って居たし。第一王子(コイツ)は聞いていなかったみたいだけど……通常仕様だが、何故そうなった」とか言ってるけど知らないよ、言わないよ。馬鹿馬鹿しい。

 何より、僕ら三人は幼馴染……と言うべきなんだろうな、と苦々しいようなそうでもないような、そんな気になる。


 僕は、こう見えても「元」魔法士団長だ。

 こう見えても……外見で人を判断するんじゃないよ、10年に一人の逸材で1000年に一人の魔法力の持主と言われていんだよ、現在進行形で。今は国から与えられた罰によって魔法力は死なない程度に国家の運営に当てられている。魔力が枯渇した程度じゃ簡単には死なないとは言っても、不便である事に代わりはない。かと言って、こういう風に目の前で無駄に城の常備品を使われると妙に腹が立って仕方がない。しかも、こいつらは基本人の話を聞かない上に見た目で騙されるのか馬鹿にしたそぶりしか見せない。

 ……これでも、身長は1メートルはあるんだよ! 自称だけどな!


 見た目が子供にしか見えないのは、飛びぬけて魔法力が多いせいだ。

 普通ならば暴走させたあげく己が死ぬか世界にでっかい穴をぶちまけるのかのどっちかでしかないが、僕にかかれば……嘘です。制御出来るようになるまでに随分と時間が掛かった。毎日死ぬかと思うほど苦しんだから耐性はついてるかもしれないけど、かと言ってそう言う性癖はないんだから味わいたいなんて思わない。

 本当の子供の頃は、それでも毎日寝たきりだった。強い魔法力を先天的に持っていると、子供の肉体では制御がしにくいから死亡率がやたらと高いからで……正直、親は早々に僕がもたないだろうと思っていたらしい。それは資料を見れば判る事だから仕方ないとは言いながら、なかなか伸びない身長に悩み、丈夫にならない体に嘆き、追い抜かして行く弟妹から顔を背けていた。

 とは言っても、後天的だから良いってものでもない。どうせ魔力が開眼するならばきっちり知識を植え付けられて全盛期を過ぎて中年と言う時期でも下降時期ならば発動してもある程度は抑えられるだろう。これは実証実験して確かめたい所だが、そんな試験体がそうそういるわけじゃないから実験も中々出来ないのは残念だ。


 そんな時に、窓から随分と身なりの良いアホが現れた。

 しかも、我が国の第一王子だ。

 下手をすれば王位継承もあるかも知れないと言っていたのは誰だったか……現在、第一と第二王女は色々と問題があって嫁入りが決まっている。面倒な話はさておいて、同腹の妹である第三王女か第一王子(このアホ)のどちらかが王位を継承するのは確かだろうといわれているから、顔くらいは一応知っていたが……。


 正直、当時の事を思い出すのは嫌だ。

 成長しない上に両親はどちらも女性的な体をしているせいか、鍛えても全く表面に現れない……暫く見ない間に騎士団の従者になっている弟を見たら僕の倍もあるマッチョになっていたからお兄ちゃん心配と言うより信じられなかったよ……どうやら、母方のおじさんの影響らしい。

 ミカに言わせると、イデンシとやらが影響しているらしく血の中にあるんだそうだ。


 だからかな……僕にしては、珍しく同情したんだよ。ミカに。

 あれ、ミカを知らないの?

 我が国どころか、この近隣一体の救世主、世界に誇る御子サマサマだよ。ホント、サマサマ。

 言っておくけどね、これ蔑んでるから。哀れんでるから。馬鹿にしてるから。

 本人は、どうやら響きが気に入らないのか自分はお姫様だって言って譲らないけど……姫って王女と違うの?

 地域によって、そういう方言を言う所もあるみたいだけど。

 自称「姫」なんて普通の神経なら考えられないし、そんな事したら不敬罪であっさり捕まって晒し首にでもなるのが普通。でも、あの時期は普通じゃなかったから……色々な意味で。だから助かったとも言える。


 第一王子(あのアホ)に言わせると、ミカは絶世の美少女なんだそうだ。

 僕が「そうかな?」と思ってたが顔には出ていたらしくて第一王子は「お前はお子様だからなあ」とニヤついた顔で言われた……おい、僕が幼女趣味(ロリコン)だったら色々問題だろうが。外見的に問題ないとか言われても嬉しくないし他人事だと思って好き勝手言いやがって……。

 貴族の令嬢は13歳で社交界に登場(デビュー)するので自動的に年齢的に少女と言うのもどうかと思う……ミカの外見的年齢はどう見ても15は超えてるだろう。貴族どころか平民でもあり得ない言動には、色々と言いたい事が山の様に沢山の人達にはあるらしい。僕も随分と驚かされたが、そんな驚きは子供の頃に下町で散々味合わされたので表面上は取り繕うくらい軽いものだ。

 確かに、痴女か気が触れたとしか思えない様な事ばかりする。あの第一王子が苦笑しながら「ミカはしょうがないな」と言いながら頭を撫でている姿を見たら正気と世界を疑った。なんだこの茶番? とか思ったくらいだ。

 だって考えても見てくれよ、あの王子は面白い事にしか興味がなくて、そんな理由でしょっちゅう城から抜け出しては暴れている。取り押さえられたり邪魔されないのは結果的に上手くなってるからだと王子は自慢してるけど、実際の所は王家にはバレバレで目こぼしされて後からフォローされてるだけだって言うのはひしひしと伝わってきて痛い。上手く行ってると思い込んでるのだって、その実を言えば掌の上で踊らされてるだけで、それを知らないのは当の本人である阿呆一人だけだ。当然、僕達はそれを知ってる……と言うか僕は気が付いてるだけで話題にしないのは正面から巻き込まれたくないからってだけだし実行してるのは僕じゃないけど、気にしないにも程があるんじゃない?

 確かに、王子が馬鹿やると色々と悪い奴らが割を食う事も多いし……でも王子本人も悪い奴じゃない。周りが甘い奴らばかりだって言うのは否定しないけど、下町でひっかけた浮浪児は今や騎士団長だ。人身売買などの組織が壊滅した数なんて今更数えるのも馬鹿馬鹿しい……て言うのは言い訳だな、うん。


 ある頃から、この国と言うより大陸そのものにちょっとした問題が起きた。当然、国は荒れ人心はどうにもならない憤りを貴族や王家にぶつけるようになった。

 同情はするけど……僕は、魔法士団長。

 王家に仇を成す者を殲滅し、この国を守るが僕ら魔法士団の役割。

 だから、同情はするよ? 殲滅されてカワイソーニネー?

 手加減はしないけど。したらこっちが色々な意味でヤられるし。


 そんな時、一人の女の子が舞い降りた。

 実際に見たわけじゃないから、本当に踊りながら降りてきたかどうかなんて知らないよ。

 ただ、その子が現れてから荒れていた人々の心が少しずつだけど穏やかになってきて。

 結局の所、何か派手な事があったわけではないけど……まあ、何とかなったわけだ。

 立役者を上げるなら、もちろん表立たずに働いた人たちだろうけど映像(ヴィジュアル)的にはミカが一番だろう。

 いつも笑ってて、前向きで、突飛と言うには斜めすぎて、非常識で……そう言うのは馬鹿って言う気がするけど、過保護者が続出だ。


 はっきり言うと第一王子には怒られそうだけど……僕の一番に近いくらい嫌いなタイプだ。

 でも、そんなある日。

 ミカは、珍しく夜中に一人だった。

「目が覚めちゃったんだあ……」

 とか言って。

 そこで、ミカの昔の話を聞いた。

 体が弱かった事、ずっと寝たきりだった事、一度も家族に抱かれた事がない事、会いに来る友達もいなければ会いたい誰かも居なかった事。

 本が、とても大事だって事。


 正直な話、同情だろうと思った。ミカに対する感情がね。

 第一王子の反応とかメチャクチャ面白かったし! でも、騎士団長はちょっと違うかなって思ってた。他の奴らが騒ぐから、うっかり聞くの忘れてたんだけど。


 で、前触れは幾つかあったんだ。

 第一王子は脳タリンだから知らないと思うけど、騎士団と魔法士団で手分けして色々と裏で動いていた。

 要するに、御子であるミカを欲しがってる他の国が実力行使してきた事とか。ミカに惚れた男の妻だか愛人だか恋人だかが逆恨みしてミカに色々してたって事。

 一番まずかったのは、法務省の大臣の筆頭文官の彼女に対してだ。とは言っても、別に彼女がミカに何かしたりしたわけじゃないし彼女のせいで何かが起きたわけじゃない。

 て言うか、問題はその周囲にあった。でも、それさえも彼女のせいじゃない。

 詳しい事は知らないけど、女王陛下の庇護下にある事が非公式になってるし第一王子だって知らないわけじゃない筈なのに放っておいたらどうなるか……想像しなかったんだろうな、単純に。

 法務省の大臣の一人に付いている筆頭文官である彼女の婚約者が、ミカの信者になってしまうなんて……それを正面切って止める事もしないって何? お前らミカの信者じゃないの?

 やっぱりその場に居なかったら……仕方ないじゃないか、僕はこれでも忙しいんだよ。他の奴らと違って僕がいなかったら回らない事は結構多いんだ。この城なんて魔法士団が全員逃げ出したらどうなる事か……まあ、つまり法務省って所には何人か大臣が居て、その中でも有名な大臣の一人の女性秘書って言うのがいるんだけど。

 彼女、表情の動きが少ないから勘違いされやすいんだけど。感情の揺れは結構ある。

 ただし、優秀。超優秀。しかも芸術的なまでな美しいけれど動かない表情と体型で隠れファンは結構いる。

 彼女のファンの第一人者が、現代の王家の中心人物達ってあたりが笑えないんだけど……第一王子はしょっちゅう出来を彼女と比較されていた劣等感により可能な限り逃げていたからまともに顔も見た事ないんじゃない?

 上司が法務省でも血も涙もない悪魔の代表格にのし上げられてる奴だから、よくやってられると言う意味では間違ってないだろう。法務省とはいわば法の番人だから、万人受けはしない職場だし数少ない女性だから嫌なことはよく言われる。でも冷静でいるから「鋼鉄の貴婦人」や「氷の魔女」とか色々言われていたりする……魔法士団では基本的に、そんな事は言わない。思ってるかどうかは知らないし別だけど、魔法士団は完全実力主義だ。何しろ魔力が大きすぎれば僕みたいに成長が限りなくゆっくりになる者もいるし。

 事もあろうに、その婚約者は筆頭文官の前でミカに愛を囁き。法務省の大臣には「ミカを見習って愛想の一つでも出せるようにならなければ婚儀は遅れるばかりだぞ」と言われ、ミカに触れたと言って第一王子は怒り……ま、その後は君達も知っての通り。

 や、もうその話を聞いた後で「まっずいなあ」とは思ったんだよ。だから仕事サボってミカの側にいたんだよ、少しくらいなら盾にはなれるからさ……とりあえず、掌でぶたれるくらい覚悟していたら超度級の都市壊滅レベルの魔法を叩き込まれた気分だ。

 だから、前から筆頭文官の扱いには気をつけろと言ってあったんだけどな……あのバカ大臣。


 僕は、騎士団長みたいに結婚して呪いを防ぐ事なんて知らなかったし……この外見のせいでそう言う話が来ないとか言うなよ。僕がいっぱしの成長をする頃には相手が生き残ってる確率が低くて嫌がられてるとかも言うな。

 魔法の研究をする為にちょっとだけミカに協力してもらって禁術を使ってみたかったんだけどな……魔法力は城の運営に宛がわれてるし、魔法士団長の地位は取り上げられるし、しかも下っ端からやり直しで散々だ。


 でもね?


「やかましい! 人の魔力を無駄に使ってるんじゃねえよ!」


 だからと言って、下っ端の官吏ごときに馬鹿にされる覚えもないんだよね。

 第一王子(あのアホ)みたいに追い出されても良かった気はするけど、少なくとも新婚色ボケ馬鹿になった騎士団長の結婚式くらいは見たいし。

 と言っても、魔法士はそう簡単に国からも王城からも離してもらえないんだよなあ……。

 研究も早く再開したいし……ま、時間だけはたっぷりあるから暫く考えますかね?

魔法士団長(元):

名称未定。自己申告の身長は1m。実際は98センチ。

外見が幼いままなのをコンプレックスに思ってる。

実はミカに惚れていたのではなく似た様な過去を持つ同情でした。

もっと長い時間を一緒にいれば話は違ったかも知れないけれど、書類に判子を押すだけで良いと言うわけでもない為に接触時間が短めだったというのもあり。それでもかなり仕事を放り出していたのだから駄目っ子である。

ある程度以上の魔力持ちは国に登録、管理してないと枕を高くして眠れないよねえと言う事で。

ちなみに、王子が見逃したのは騎士団長がマーシャに一目ぼれした瞬間を見逃したのを悔しがってました。

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