悲劇の始まり・・・
黒岩は鹿児島本線下り、
快速電車で帰路についていた。
今日は特にこれと言った事件もなく、
平凡な一日を過ごしていた、
正確に言うと、刑事課に所属している
黒岩にとっては、非凡である。
(明日も事件がなきゃいいが…)
これが刑事の本音であろう。
原田駅について
電車を降りた瞬間だった、
黒岩の携帯がけたたましくなり始た、
電話番号を見て、
黒岩は先程の自分の願いが
もろくも崩れ去る音を聞いてしまった。
「おい黒岩、電車の中で殺人だ!」
「お前今どこにいるんだ!?」
「原田ですけど…」
「それならもうすぐ、
快速が来るからそれに乗れ!」
「どこに行けばいいんですか?」
「それが例の列車だ!」
「乗務員はなにしてるんですか?!」
「さっき110番あったから、
そこまで情報がいってないんだよ!」
「まだ犯人が車両にいるんだ!
とにかく行け!」
プッ…
黒岩は急いで、
原田駅に戻った、
無情にもその電車は、
停車間際だった。
「警察だ、列車を発車させるな!」
そう駅員に伝えると、
駅員はすぐに主発信号機を赤にした。
そのとき一人の男性客が、
階段をかけ降り、
駅員に
「男の人が車内でたおれてます‼」
と伝えた。
駅員はこの時初めて、
なぜ黒岩が電車を
止めたかがわかった…
車内を見ると、身長2Mはあるのではないかというほどの
大柄の男が倒れていた・・・
福岡県警から、
先程黒岩に電話を掛けた
中尾警部が来た。
「すいません、犯人を捕まえることがで きませんでした…」
「そうカリカリするなよ、
今回のことは前の責任ではない。」
確かに、黒岩がついたときには
電車がホームに到着し
ドアが空いていたのだから、
黒岩には責任がない。
しかし、そのとき犯人を
改札口の外に、
出してしまったのは、事実である。
黒岩はそれが悔しくて
たまらないのだ。
「警部!」
中尾が振り返る、
後輩の杉本の声だ。
「どうした?」
「被害者の身元がわかりました。」
「福岡県大野城市に住んでいた
山下和正21さいで、
今日は一人で海の中道
にいってたとそうです。」
「一人で?
何しに行っていたんだ?」
「奥さんの話にによると、
どうも借金のさいそくに行ったとか」
「となると、一番怪しいのは
取り立てられた相手となる。」
「山下の人間関係を洗ってくれ!」
「はい!」
「黒岩、
お前も杉本と一緒に行け。」
「はい。」
黒岩と杉本は、
まず海の中道へと向かった。
「きれいなとこですね~」
「そうだな。」
「黒岩さん元気出してくださいよ~?」
黒岩は無言のままだった…
「あの女の人ですかね?」
実は取り立て相手はすぐに、
わかっていた。
中島ゆか21さい
S大学の四年生だ。
黒岩が、海の中道へと
呼び寄せていたのだ。
151cmぐらいの小柄な身長だが、
どことなく、ハーフみたいな
顔つきである。
杉本が質問する。
「こんにちは、
中島さんですね?」
「はい…」
「今日はどうしてここに呼ばれたか
わかってますよね?」
黒岩が強めの口調で聴く
「山下さんのことですねよね?」
「二、三お聞きしたいことが
あるのでお答え願います。」
「警察は、私を疑っているんですか?」
「まだそこまでは…
とにかく質問に答えてください。」
「はい…」
「昨日はどうして、山下さんと
会ったんですか?」
「先月財布を落として
困っていたときに。
山下さんが1万円
貸してくださって…」
「一万だけですか!?」
「はい一万です…」
「どうしてわざわざ
一万を返すために
ここに?」
「その…山下さんに、
お礼がしたいと伝えたら、
(今度水族館に
一緒に行きませんか?)
と言われて。」
黒岩と杉本は黙ってしまった。
なぜならたった一万のためだけに、
人を殺すと思えなかったからだ。
しかも、話を詳しく聞くと。
水族館での費用も全部
山下持ちで、一万も
返してないそうだ・・・
黒岩と杉本は帰りの電車
を海ノ中道駅で待っていた。
「黒岩さんはどう思いますか?」
「中島は白だと思う」
「そうですか・・・」
「何か引っかかるのか?」
黒岩は、完全に中島は白だと確信していた
いや、白じゃないとおかしいのである・・・
なぜなら中島と話を終えてすぐに、
中尾から司法解剖のの結果が電話で伝えらたのである
その結果というのが、
(頭を強く打ったのが原因とみられる脳挫傷が死因)
という事であった・・・
150センチの小柄の中島が
195もある山下を帰宅ラッシュの車内で
頭に致命傷となるほどの、
攻撃できるとは到底思えなかったのである・・・
「まもなく、宇美行きの電車が参りますご注意ください」
白のベースにブルーのラインが入った
国鉄型の古い気動車が入って来た
車内に乗り込もうとした時、
杉本はおもいっきり、頭をぶつけてしまった・・・
黒岩はその時、ピンと来たものがあった・・・
part1おしまい
2につづく・・・




