諜報活動
※軽い下ネタあります。
苦手な方はお引き返し下さい。
王太子付きの諜報員――若き青年騎士アーサーは、今日も殿下の命を受けて密かに令嬢シャルロットの行動を探っていた。
「殿下があれほど心を乱されるとは。あのご令嬢はいったい何者なんだ?」
彼にとっても、王太子の婚約者であるシャルロットは謎に満ちていた。
無邪気に笑い、控えめに微笑む姿の裏で本当に菓子職人アランと親密なのかどうか。
殿下は心底疑っているのだ。
その日の午後、アーサーは偶然シャルロットが王宮内の厨房アランの元へ立ち寄る場面を目撃した。
彼女は明るい声で楽しげに語りかけている。
会話内容を殿下に報告しなければならないが、
勘付かれては困るのであまり近づくこともできない。
「アランの……(スコーン今日は)……いつもより大きいのね。」
アーサーの耳がぴくりと動く。
所々途切れて聞こえなかったが
「シャルロット様が楽しみになさっていたので気合が入りました。」
「まあ……でも、大きすぎて、一度ではお口に入り切りませんわ。」
――ガシャン!
アーサーは隠れていた樽を蹴飛ばしそうになった。
慌てて口を押さえる。
(な、なんて……な、なんてことをおっしゃっているんだ、シャルロット様は……!?)
――そしてその夜。
王太子の執務室に、報告を持ち帰った諜報員アーサーの姿があった。
「殿下、あまりに信じがたい内容です。シャルロット様はその……。」
「どうした。はっきり申せ。」
「はっ!このようなやり取りがございました。」
――バンッッ!
王太子は報告書を破り捨て執務机を叩きつけた。
蒼白になった顔に朱が差し、全身を震わせている。
王太子の脳内では、愛しい婚約者がアランに頬を染め、許されざる行為に耽っている妄想が駆け巡っていた。
それはまるで現実かのように生々しく、嫉妬と怒りが沸騰する。
「アーサー!」
「はっ!」
「明朝、アランを捕えろ!不敬罪だ!宮廷の秩序を乱す大罪人として、断罪してやる!」
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翌日。
だが、シャルロットは王太子に呼ばれると、何も知らぬ顔で微笑んでいた。
「殿下。ご機嫌麗しゅうございます。」
「シャルロット。私に、隠し事はないか?」
「?隠し事でございますか?いえ、ございませんわ。」
王太子の目はぎらぎらと光り、嫉妬と独占欲で燃えている感情を必死に抑え込み
「そうか。」
ただ一言残してその場から去っていった。




