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スコーンが食べたくて婚約したら、王太子に溺愛された  作者: 水瀬みずか


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1/6

お忍びの王妃とスコーン令嬢

夜中にスコーンが食べたくて

妄想しながら書きました。

頭空っぽで読んで頂けたら幸いです。

 初夏の朝、侯爵令嬢シャルロットは、白いレースの帽子を整えながら広場を歩いていた。

街は朝の光で輝き、行き交う人々の声がにぎやかだ。

しかし、シャルロットの意識は一点に向いていた――焼きたてスコーンの香り。


「まあ。焼きたてのスコーンだわ。」

その香りに引き寄せられ、思わず足を止める。

侯爵令嬢としての立ち居振る舞いは完璧でも、心は完全にスコーンに奪われていた。


小さな洋菓子店の前で立ち止まると、目に飛び込んできたのは見事に焼き上げられたスコーン。

外はさっくり、中はふんわり。香ばしいバターの香りが鼻孔をくすぐる。

シャルロットは一瞬、時間を忘れたように見つめる。


――その時。


「きゃっ!」

突然、女性の声が辺りに響く。

シャルロットの隣を歩いていた婦人の帽子が、風に煽られて宙を舞ったのだ。


侍女らしき人物が慌てて追うが、帽子はすぐに人混みに飲まれてしまう。


「失礼致しますわ。」

シャルロットは咄嗟にスカートの裾を翻し走り出し、

舞い落ちる帽子を両手で受け止め丁寧に差し出す。


「こちらでございますか?」


帽子の主はフードを深くかぶり、顔はよく見えないが

しかしその声には確かな高貴さと優雅さが漂っていた。

「まあ!ありがとうございます。」

礼を述べ、婦人と侍女と思われる女性は去っていく。


シャルロットはしばし立ちすくみ、思わず小さく息をついた。

その後、視線をスコーンに戻す。

「あっ、売り切れてる……。」

心底残念そうに肩を落とすシャルロット。

広場に漂う香りだけが、彼女の心を慰めていた。



---


数日後――侯爵家の広間で、父母とシャルロットは朝食を囲んでいた。

その場に執事が入室し、金糸の封筒を差し出す。


「シャルロット、これは一体?」

父の眉がひそめられる。


封筒には王妃陛下からの丁寧なお礼状と、王宮への招待状が同封されていた。


「もしや、あの時の帽子のご婦人が、王妃陛下……?」

シャルロットは目を丸くして驚く。

母も、父も、慌てふためく。


シャルロットは封筒を抱えながら、自然と頬がほころぶ。

「王宮に招かれたということは、美味しいと評判の王宮のスコーンが食べられるのかしら!?」

胸の奥で、幸福の期待が膨らんだ。



---


王宮で迎えた初めての午後――

応接室に並べられたスコーンの皿を見て、シャルロットは息を呑む。


外はさっくり、中はふんわり。香ばしいバターの香りと甘みが口いっぱいに広がる。

その上には鮮やかなベリージャムと濃厚なクロテッドクリーム。


「な、なんという至高!!」

思わず声が漏れる。

王妃陛下は微笑み、優雅に言葉を添える。


「気に入っていただけて光栄だわ。あなたのように心から美味しそうに食べてくださる方は、珍しいのよ。」


そして、王妃は静かに微笑みながら手を取り婚約の申し出をする。

「ぜひ、息子の婚約者になっていただきたいのだけど、いかがかしら?」


シャルロットはスコーンに夢中で一瞬聞き流しそうになる。

しかし、脳裏に天啓が走る――

「王宮に嫁げば、このスコーンを毎日食べられる!!」


王太子妃としてやることはやるが、もし王太子殿下と合わなければ側妃でも召し抱えてもらえばいい。

そんな安直な考えで

目を輝かせ、満面の笑みで即答する。

「わたくし、喜んでお受けいたします!」


こうして、スコーンのために婚約を決めた令嬢と、

令嬢に執着する王太子との甘く騒がしい物語が幕を開けるのだった。

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